面白くて参考になったゲームの感想メモ 2022年4月
留意事項
・ネタバレを気にせず書いてます。ネタバレを避けたいゲームは飛ばすのを推奨します。
・ゲームの評価と感想、ゲーム開発で参考になる点が混ざって書かれてます。
1. ソフィーのアトリエ2
プラットフォーム: Nintendo Switch (Steam)
ジャンル: 錬金術RPG(※筆者の解釈)
プレイ時間: 110時間程度(エンディングまで)
雑感
2022年4月時点でSwitchで遊べるRPGとしては、至高の神ゲー。アトリエシリーズは初プレイだったのが、一発でファンになった。今後のシリーズも買いそう。全体的に素晴らしい出来で、機会を見つけては全力で推したいゲームだが、発売時期がポケモンアルセウスやELDEN RINGと被ってしまったのは不幸だった。
シナリオ: ★★★★★
キャラモデル: ★★★★★
ボイス: ★★★★★
戦闘システム: ★★★★☆
錬金システム: ★★★★★
発売時期: ☆
シナリオの良かった点
・なんでも錬金術で解決する
主人公のソフィーが錬金術士である意味がある。変にひねらず良い。
・シナリオのお楽しみポイントがあまりにもジューシー
ソフィーとラミゼル(ソフィーの祖母)、二人のプラフタ(ソフィーの師匠であり錬金術ライバル)といった、関わりが深いが時間軸を異にする二人のやり取りがあまりに楽しい。Fate/stay nightで例えると、凛とアーチャー、あるいは士郎とアーチャーのやり取りにニヤニヤできるのに近い体験を得られる。
・導入と舞台設定が秀逸
ゲームシナリオの導入は難しい。プレイヤーがアバターとなる主人公に共感できる導入にするのが望ましい。これを達成するため使い古された手法が、記憶喪失である。記憶喪失はあまりに便利なのでつい頼りたくなるが、プレイヤーに食傷な印象を与える恐れがある。
ソフィーのアトリエ2では、異世界転移によって主人公が見知らぬ世界を目の当たりにするのと、プレイヤーが新しいゲームを目の当たりにする体験が重なって、記憶喪失と同じ共感効果が達成されていた。
一方で、記憶喪失のキャラクターも登場し、記憶喪失の便利な点は主人公以外のキャラクターで利用していた。
「異世界転生」としてよく使われる手法ではあるが、ソフィーのアトリエの場合は、前作があってそれに繋がる物語を異世界転移で提供しており、これによって前作未プレイの人でも完璧に楽しめた。
続編を初見の人でも楽しめる舞台設定として、異世界転移は大いに参考になると思った。
また、異世界となる舞台が夢の中なので、基本何でもありである。人々は年を取らないし、元の世界と時間の流れも異なり、様々な時代の人が一箇所に集っている。現実世界とは大きく異なる設定だからこそ新鮮な物語を展開できるのが利点だが、夢の中という設定は「中世じゃがいも」のような不都合も握りつぶしやすく、使いやすいと思った。
もちろん、ソフィーのアトリエ2は一流の仕事をしていて、夢の中という舞台をご都合設定として終わらせず、物語の最後にも回収していく訳だが…。
まとめると、「続編を初見の人でも楽しめるようにする」という困難な課題を、導入と舞台設定の巧さで解決するだけでなく、更に物語全体でも回収してとても綺麗にまとまっていた。
戦闘システムの良かった点
・仲間全員で戦うバトル
仲間にできるメンバーのうち、戦闘に参加しないベンチウォーマーがいるのは、旧時代的で避けるべきものと思っている。
例えば、ドラクエ11(S)は馬車の仲間との交代を駆使して戦う必要があるバランスになっており、良い事例である。
ソフィーのアトリエ2では、メインの戦闘メンバーは3人で少ないが、後衛に配置した仲間が前衛をかばったり、前衛と後衛で協力技を使いながら入れ替わることで、仲間の6人全員で戦っている感を味わえるし、実際全員で戦っている。
バトルオタクとしてはもう1声凝ったシステムがほしかったが、錬金システムの奥深さを踏まえると、ゲーム全体の複雑さの程度としては適切だったと思う。
錬金システムの良かった点
アトリエシリーズは初めてなので、アトリエシリーズでは定番の仕組みかどうかなどを踏まえずに記すことを許してほしい。
錬金はパズル形式で、素材ごとの色や形、スキルを組み合わせる必要があって、なかなか頭を使う。この複雑さにプレイヤーが折れないよう、UIがちゃんと工夫されており、視認性や試行錯誤のやりやすさが確保されていて、複雑な仕組みを十分に楽しめるものになっている。
また、素材を集めて錬金や合成するシステムは、一度錬金したレシピを覚えておかないといけなかったり、また同じ素材を集めて錬金し直すのが億劫になりやすいが、ソフィーのアトリエ2では、この億劫さを「複製」と「補充」で解決している。
「複製」では、文字通り錬成品のコピーができる。ポケモンで例えると一度6Vモンスターを孵化したら、それをコピーして6Vを量産できる。これにより、最初の一回の錬成で至高の逸品ができるよう集中して臨むことができる。(※ポケモンでこんなコピーをしたら不正プレイでお叱りを受けるが、そんなめちゃくちゃを公式のシステムでできてしまうのが「複製」。)
「補充」では、消費アイテムの回数を回復することができる。使い捨てアイテムを消費して失ってしまうと作り直すのが面倒なので、使い捨てアイテムというのは使い渋ることになりがちだが、本作ではガンガン使うことができる。使用回数が回復可能なので、体験としてはMPを消費して魔法を使うのに近いものになっている。物を作る錬金術士ならではの体験を存分に味わえて、システムとキャラ設定が噛み合って見事だった。
まとめ
・錬金を存分に楽しめる。
・RPGとしてあらゆる面で高品質
・発売時期が最悪だったので遊んでない人も多いと思うけど神ゲーなので今からでもぜひ遊んでみてほしい
2. Pokémon LEGENDS アルセウス
プラットフォーム: Nintendo Switch
ジャンル: オープンエリアポケモン(※筆者の解釈)
プレイ時間: 30時間程度(エンディング1回)
雑感
ポケモン+オープンエリアという無難じゃない内容だったが、普通に面白いゲームで感心してしまった。
従来のように戦闘中に弱らせて捕獲するのもできるが、ポケモンに気づかれないよう近づいて背後からボールを投げつけた方が楽なので、ここに駆け引きが生まれているのが新しかった。
良かった点
・見やすいマップ
画面上に目的地の方向と距離が常に表示されるので、3Dマップになれていないポケモンオタクにも優しかった。全3Dゲームに入れてほしい仕組み。
次の新作にも期待できる?
発売予定の新作『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』では、オープンエリアでなくオープンワールドになるらしい。「ポケモンアルセウス」が普通に面白かったことから、新作のポケモンスカイオ(※筆者による独自の略称)も最低でも普通に面白いことが期待できると思う。
3. ポンボール
プラットフォーム: iOS(Android)
ジャンル: アーチャー伝説+ブロック崩し(※筆者の解釈)
プレイ時間: 不明(ステージ86まで)
課金額: ¥2,000程度
雑感
上っ面だけで言えば、アーチャー伝説をブロック崩しに焼き直したものなのだが、ゲームバランスの設計に革命的なものが仕込まれている。
ゲームキャストさんの記事によれば、このバランスに関してこのように紹介している。
ゲームに難易度は必要か不要かと議論になることがしばしばあるが、適度な難易度を乗り越えたときが楽しいことは同意されやすいと思う。適度な難易度を常に提供し続けることは、フロー体験の継続的な提供にも繋がり、ゲームデザインとして有用そうだ。
それを実現しているのがポンボールの設計である。それも毎日インクリメントされる資産がある仕組みと一緒に。
また、ステージの難易度が一定で上がり続けるだけでなく、まるで4拍子や6拍子の指揮のように強弱の波が繰り返されるのが特徴的だった。
まとめ
・インクリメントされる資産がありつつ適度なバランスのステージに挑めるゲーム設計が秀逸
・難易度上昇が一定でなく強弱の波がある点が秀逸
・ガチャやデイリーミッション、ログインボーナス、課金パッケージなどソシャゲに必要な機能がミニマルに揃っていて、小規模ゲーム開発者的に非常に参考になる。
4. プリコネ!グランドマスターズ
プラットフォーム: iOS (Android)
ジャンル: オートチェス
プレイ時間: 10時間程度
雑感
エイプリルフール企画の一環として、Cygamesが打ち上げた超大玉花火、それがプリコネ!グランドマスターズ、略して「プリグラ」だった。
正直言って、語彙を破壊されるほど凄まじいゲームだった。
1週間限定とは思えないクオリティ、手引きなどの作り込み…
オートチェス自体が初めてだったが、特にネットで情報を集めなくてもゲーム内の情報だけでシステムを学んで楽しめた。
オートチェスに詳しい人に話を聞くと、かわいい+オートチェスは他に無く、プリグラはその意味で新しいゲームだったと言えるらしい。
世界展開並みに予算をかけたソシャゲを、課金の圧力を感じずに無料で存分に遊べるというバグった体験ができる奇跡のゲームだった。
ありがとうプリグラ、ありがとうCygames…。プリコネRはちょっぴり触ったくらいしか遊んでないけど…。
得られた知見
・役を作るゲームデザインの分かりやすさ
プリグラだけでなくオートチェスに共通のシステムだと思うが、シナジーを揃えると味方全体にバフが入って有利に戦える。
(タンクシナジーを揃えると防御力が上がるなど)
この役を作るというのは、ポーカーや麻雀のようなテーブルゲームにも共通して存在しており、直感的なゲームデザインとして有用と言える。
しかし、これまでの自分のゲーム開発では、役を作る観点が足りてなかったとプリグラを遊んでいてハッとした。
色々なキャラクターを使って遊べる体験を提供する場合でも、キャラが被らないよう無理に誘導するデザインではなく、役を揃える見せ方をした上で、結果としてキャラが被らず色々なキャラが使われるようなデザインを目指すべきだった。
今後新しくゲームを作ることがあれば心がけたい。
・キャラ紹介でタグを使う
プリグラはユニットの図鑑機能が充実していて、図鑑機能を見るとスキルやパラメータ以外に、タグでキャラクターの特徴を示していたのに感心した。
手練のゲーマーなら、スキルの説明やパラメータを見ればキャラの使い方が思い浮かぶが、そうでない人はこのキャラは攻撃役なの?回復役なの?と分からない場合が少なくない。
そういったキャラの適正や使い方をタグの形で端的に表現しているのは新しいなと思った。そしてゲーム制作に応用できそう。
・テキストの装飾が参考になった
一般に、色が多い画面のUIは難しい。散らかるし、文字が読みづらくなる。
しかし、プリグラはボタンごとに色や背景を変えつつも、統一感が感じられ、文字が読みにくくなってなくて不思議に思った。
その原因がどこにあるかよく見てみると、背景に合わせて文字の縁取りを変えてた。
以下の画面ひとつをとっても、『チュートリアル』『メインバトル』『ボスバトル』で、ボタンのパネルの色に合わせて文字の縁取りを変えて馴染ませているのが分かると思う。
ポイントで被せるUIも被せる背景に合わせて縁取りの色を変えて色を馴染ませているのが分かる。
背景に合わせて文字の縁取りの色を変えるのは結構手間なのだが、色鮮やかにしつつ見やすいUIを提供する上でお手本になる教材を得られて大変よかった。
いいゲームが多かったので、整理する意味で記事にまとめた。記事を書くのは億劫な性格なので基本的に続かないと思うが、また溜まってきたら書くかもしれない。
▼筆者の開発したゲーム
・GooglePlayストア
・AppStore