やり直しの人生0歳目
変わりたいと思おうが思うまいが、自ずと人は変わっていくわけで。
川の流れに身をまかせるのではなく、流れに逆らうように、“なりたい自分に変わるんだ”と思っていた頃があった。
社会人一年目だった頃、できない自分が悔しくて、毎日のように惨めな思いをしていた。
「俺はけっこうできるヤツだ。何か持ってる男だぜ」と根拠のない自惚れた特別感を持って入社。
内向的で自意識が過剰、臆病で傷つきやすい。あと面倒くさがり。
という、今考えると超サイアクな性質を持ち合わせており、ホントマジ超サイアクだった。マジ。
自分の都合の悪いことには鈍感。“できない自分”を、他人だけでなく自分にも隠していた。
隠すのにも限界があり、ある時から悔しくなっていった。
後から考えると“悔しい”という気持ちがまだあったから良かったなぁ、と思う。
どうしようもなくて、なんだかよく分からないけど、デカイ画用紙に「くそったれ!俺は変わってやる!今に見てろ」
などとマジックペンで書き殴り、クローゼットの中に保管していた。
今思うとかなり恥ずかしい。書いた紙はどこかへ行ってしまった。
当時、バカなりに頭をひねった。
“変わりたい”と思っているだけではダメだ。変わるためには自分の行動を具体的に変えれなくては、と考えた。
まずやってみたことは、
“通勤(帰宅)路を変える”だった。
人って、無意識に毎朝同じ道を通って会社や学校に行くものです。
そして「変わり映えしない毎日だなぁ」なんて思ってしまう。
単純に、通勤路を変えてしまえば、朝の“見える景色”が物理的に変わる。
昨日の自分とは重ならない。はず。
こんなこと考えて実行していた。
あとは引っ越し。見栄はってちょい高めのマンションに住んでたので、住環境に不満はなかったけど、自分を変えたいという考えから、引っ越しをした。しかも、かなりグレードを下げたアパートに。
環境を変える、という点では手っ取り早い方法だった。
そんなことをしても「変わる!」と決意して仕事を頑張ったって能力が急激に上がるわけではない。またすぐに“できない自分”を思い知らされ、惨めな気持ちになった。
そんな時、自分に言い聞かせていた言葉があった。
「俺は生まれ変わったんだ。だから、今は0歳の赤ちゃんと同じ。失敗したってしょうがない。やり直しの人生の0歳目だもの」
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さてさて、気づいたら、あれから10年以上が過ぎた。
変わろうと思った翌年あたりから「何か去年のあなたとは全然違う」「豹変した」とか言われた。
結婚もしたし、子どももできた。昇進もした。
やり直しの人生で言うと10歳ってとこかな?
“世間的に”言うと、そろそろ反抗期だ。
また変わりたい、と思ってきた。
変わらなければ、という必要が出てきた。
人生って“ステージ”っていうけど、ホントそうだよなぁ。
「まだ俺は成人していない」
そう言い聞かせることにした。