博士たちのモグラ標本
川田伸一郎先生の著書『標本バカ』を読んでから、国立科学博物館に行ってみたくなりました。特に希少なミズラモグラの標本がぜひ拝見したい!
休日のとある日、出不精の私はなんとかベッドから這い出して、上野に向かうことに成功しました。
ただし、上野駅を出ると目の前には
人!!
予想以上の人混みで「東京の公園はレベルが桁違い」だと再認識しました。
回れ右して家に帰りたくなりましたが、ミズラモグラにはぜひ会いたい。せっかく来たのだからと、人混みに突入しました。
無事、国立科学博物館の日本館でお目当てのモグラ達を拝見できましたが、それがすごいこと!
今泉吉晴先生と土屋公幸先生の名前が書かれたラベルをつけたモグラが、なんと三匹も展示されていました。なんて豪華!有名人(モグラ)に会った気分です。
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今泉先生のモグラはヒメヒミズ[M8484, 1962年]とアズマモグラ[M18891, 1963年]、土屋先生のモグラはコウベモグラ[M15927, 1971年]です。
ヒメヒミズの番号狙ってるwと面白く拝見させていただきました。(*1)
ーーと言いますか、何気に3178番のヒミズ[1955年]が展示されているのもすごいです。川田先生が『標本バカ』で標本数が増加した時期と書かれていた時代のミズラモグラかぁ。など感慨にふけりました。(*1)
サドモグラとエチゴモグラは、想像の二回りぐらい大きかったです。
「で、でかい!」と思うぐらい印象が違ったため、やはり実物を見るのは大切です。
さて、お目当てのミズラモグラは1956年の4275番。
もし、この子を山で発見したら他のモグラと判別できるだろうか?
私が感じた外見特徴は下記のとおりです。
(1)体毛の色
体毛はアズマモグラやヒミズでも、個体差でいそうな色合い。
それぞれの個体を複数見比べないと、正直わからない。
本によっては、ミズラモグラは純黒色から暗灰色とある。(*2)
(2)尻尾の長さ
ミズラモグラの尻尾はひと目で「長い」と思ったので、見分けられそう。
(アズマモグラ<ミズラモグラ<ヒミズ)
(3)鼻の長さ
ミズラモグラの鼻が特徴的らしいのだが、標本からでは分からなかった。(*3)
他のモグラよりは短め幅広で、なんとなくだがむっちりとした鼻に見える。(*2)
ヒミズは細長いので、その部分とは比較できそう。
(5)爪の形状
よくよく爪を見比べると、かなりわかりやすい部分かもしれない。
ヒミズの爪は細く穴掘りには心許ない感じで、アズマモグラはがっしりとした立派な爪、ミズラモグラはその中間といった印象がある。
(4)大きさ
ミズラモグラの身体は小さめ。アズマモグラがボールペン(15cm前後)と同じ体長だったので、それよりは小さい。
ヒミズとミズラモグラは同じか、若干ミズラモグラの方が大きい
うーん、ヒミズとミズラモグラは区別できそうですが、アズマモグラとミズラモグラは、実際生きている個体を識別するのは難しそうです。(大きさで見分けるぐらい?)
もしも、お亡くなりになった子だったら、じっくり観察できれば見分けができそうかもしれないと思いました。
などと、妄想して楽しみました。
次回、山にハイキングへ行く際は、注意しながら歩いてみようと思いました。
少々残念だったのが、途中で片頭痛が起きてしまい全館見て回れなかったことです。
今度は全館ゆっくり見て回りたいです。
<参考文献>
*1 川田伸一郎(2020) . 『標本バカ』 . 株式会社ブックマン . P052-055
*2 飯島正広/土屋公幸(2015) . 『モグラ ハンドブック』 . 株式会社文一総合出版. P44
*3 川田伸一郎(2020) . 『標本バカ』 . 株式会社ブックマン . P201