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「紙ひこうき」と「にじLabo」_2021/11/17

昨日から今日にかけて、ぼくは山梨にいた。

昨日の午後に突然「あ、オムライス食べよう」と思い立ち、そのまま数分で支度を済ませて電車に飛び乗ったのである。正直なところを言えば、それは仕事と執筆に追われる日々からの逃避であったように思う。ぼくは現実逃避の方向性と目的が一致したとき、自分でも引くほどの行動力を発揮する。昨日のぼくにとっては、メール1通返すよりも山梨に行った方が楽だったのである。まともではない。

山梨には二つ、行きたい場所があった。一つは、ぼくの小説を今後販売してくれる予定のオムライス屋である「紙ひこうき」さん。そしてもう一つは、先日寄付の小説を送らせて頂いた登校支援型フリースクール「にじLabo」さんだ。時間も時間だったので、ぼくはまず「紙ひこうき」さんへ向かった。


和風洋食屋「紙ひこうき」

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お店がそろそろ閉まるほどの時間に訪れたにも関わらず、店長さん(紙ひこうきさんと呼ばれているらしいので、以降は紙ひこうきさん=店長さん、と表記する)は快く出迎えてくれた。お店で一番人気のオムライスに舌鼓を打ち、棚に置いてある本の話、面白い取り組みの数々など、20年以上続くお店のことを沢山聞いて、今のぼくにはまだ、一つのことを10年以上続けるなんて想像がつかないなと、ただただ圧倒されたのだった。

お店には来店した人が残せるメッセージ帳があった。オムライスの感想を書いても、願い事を書いても、何を書いてもいい場所だ。それは分厚く、三冊にも及んでいた。未熟者ながら物書きの端くれとして、ぼくもとあるメッセージを残してきた。もしお店を訪れた方は、ぼくのメッセージを探してみて欲しい。

物書きの端くれとしてといえば、もう一つ。ぼくにはお店を訪れなければならない理由が明確に一つ、存在した。お店のキャッチコピー募集に応募する為だ。こちらのお店では、毎年募集した中から1年間のキャッチコピーを決める。参加しないわけにはいかないだろう。けれど、お店を訪れたこともなければ、その味を知らないままキャッチコピーなど考えられようはずもなかった。ちなみにぼくが応募するキャッチコピーは、現在考え中である。

締め切りは今月中、やばいやばい。



紙ひこうきさんに調べてもらいつつ、なんとかずべり込んだホテルで一夜を明かしたぼくは、フロントからのモーニングコールで目を覚ました。チェックアウトの時間を過ぎていた。ぼくは慌てて身支度を済ませ、甲府駅周辺にあるホテルを後にした。甲府城跡を少し散歩した後、次に向かいたかったのは、ぼくが小説を寄付したスクールだった。



登校支援型フリースクール「にじラボ」

にじラボさんに伺いたかったが、致命的なミスがあった。ぼくはアポを取っていなかったのである。行き当たりばったりも大概にして欲しいところだ。そんなこんなで、ぼくは甲府駅前でにじラボさんに電話をかけた。突然の訪問など、迷惑ではないだろうか。やっぱり邪魔かな、やめといた方がいいかななどと謎の卑屈さと戦いながら「東仁社の東です」と話すと、電話口から、、、。

「ええー!ちょうどファンの子がいるので、代わってもいいですか!?」

という声が聞こえた。そして、ぼくの小説の寄付をスクールにお願いしてくれた本人が現れると、、、。

「え!?は!?」

と、なんとも声にならないリアクションが返ってきた。二人の声を聞いて、ぼくの卑屈な緊張が一気にほぐれたことは、ここだけの秘密だ。

どうやら歓迎して頂いているようで一安心、と思いきや。今度は別の課題がぼくの頭をかすめる。期待され過ぎじゃないか問題である。どうしよう、なんか面白い話とかできなかったら。どうしよう、ぼくが来たらつまんな過ぎて子供達が寝始めたら。25歳独身男性ショック過ぎて死んでしまう。などと、軽く死を覚悟したものである。迎えてくれる子供達もきっと緊張していたが、ぼくも同様に緊張していたというのは、大人の面目丸潰れといった感じで、それはそれで悪くなかった。こんな大人でも生きていけるぞ!みんな!

スクールの子供達には、ぼくのこれまでの人生の話や、創作の仕方の話など、質問に答える形で様々な話をした。用意していった話は一つもなかったから、聞き苦しいところもあっただろうが、子供達は楽しそうに聞いてくれた。サインを書いて、一緒にトークカードゲームで遊び(みんなぼくにはない発想ばかりで話を聞いているだけで面白かった)、記念撮影をして、最後にちょろっと生朗読とかしちゃったりして。ぼくはスクールを後にした。

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彼らに、よき物語との出会いがありますように。


にじラボさんを後にしてから、駅近くの温泉に入り(最寄駅が「石和(いさわ)温泉」だったので、折角ならとにじラボの方に温泉を聞いていた)、ぼくは今現在かいじ40号で新宿を目指しながら、この日記を書いている。


山梨旅という、ぼくの人生の寄り道は、ぼくに多くの出会いと気づきを与えてくれた。紙ひこうきさんと話した中で、ぼくは自分が認識している物語の定義が狭過ぎることに気がついた。物語とは、もっと自由なものであった。小説だけが物語を書く場所ではない。TikTokでも書けたように。

にじラボさんで子供達と遊ぶ中で、その自由な発想に驚かされた。どうしても理屈を通そうと考えてしまう自分の頭ではとても出てこない、無限の可能性がそこにはあったのだ。大人になってから、歳上より寧ろ子供達にこそ、より多くのことを学ばせてもらっている。


ぼくはこれから、東京へ戻る。そうして、仕事や執筆と今一度向き合い直してみる。ぼくの発想は、何かを決めつけてはいないか。勝手に思い込んで、勝手に自分を苦しめてはいないか。その絡まった糸をほぐすヒントなら、この二日間で沢山もらった。誰かの力になりに行くつもりが、いつも自分が助けられてしまうのは、人生におけるバグの一つだ。


出会ってくれた皆さん、ありがとう。

またお会いしましょう。


※ここからの内容はぶっちゃけ過ぎているので口外は厳禁でお願いします。SNS等での発信もご遠慮ください。


そして旅から一夜明け、11月17日。ここからは、この二日間の旅で得た気づきを中心として、具体的にどういった形で自身の仕事や活動に落とし込んでいくか、ということを書き残していく。今考えているのは、新しい三つの小説の執筆だ。


増える本、近づく本、動く本、である。


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