「辛夷開花」と「秋霖譜」

「辛夷開花」の存在を知ったのは、
あずまやの日日是好日で森有礼を取り上げたとき(8月23日)。
分厚いのでしばらく積んであったのですが、
2024年のGWの休暇中に読了。
美貌の才媛の恋物語的な、読みやすい書籍。
主人公 広瀬常の魅力が余すところなく描かれている歴史小説。
もともとは静岡新聞の夕刊に連載された「美貌の功罪」というキャッチーなタイトルの小説。

その後、寺子屋江川塾 第32回(2024年8月24日開催)で広瀬常を取り上げ、
そのときに教えていただいたのが「秋霖譜」
早速購入するも、やはり分厚い。
そして、どちらかというと、広瀬常周辺の事情が詳しく描かれている。
タイトル通り「秋霖」を文字にして綴ったような、一種の重苦しさすら感じる小説。

どちらも多少のフィクションが含まれていて、
というか、史実の全容は未だに明らかでないから仕方ない。

寺子屋江川塾は歴史のお勉強の塾ではない。
歴史上の人物の生涯から現代を生きる私たちのあり方を考える塾である。
江川塾頭は
広瀬常が体験した「人間愛と家制度」に注目された。
イマドキは「家制度」はあんまり言わないかもしれないけれど、
「自分の意思ではどうにもならないこと」と読み換えてみてもよい。
「人間愛」は「恋愛」だったり、「家族愛」だったり、
キリスト教的な「人間愛」もあるかな。

歴史小説は書き手によってカラーが異なることがよくわかる2冊。

「辛夷開花」
植松三十里著
株式会社文藝春秋

「秋霖譜」
森本貞子著
東京書籍株式会社




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