見出し画像

子どもの鍼

こんにちは。東です。

一齊堂(ISSEIDO)では、お子様への鍼治療もしています。

痛くも痒くもない治療です。

対象年齢は、0歳~中学生くらいまでですかね。

ちいちゃな可愛い金色の鍼(本当に金)を使って、「ちょこちょこちょんちょん」と、ウサギさんがピョンピョンと跳びはねるようにします。

これは金の子どもの鍼
ちょんちょんとしてくすぐった気持ちいい感じ


背中はコロコロが気持ち良いまん丸の玉(これも鍼)で、ナデナデしてあげます。

こっちは頭がまん丸の鍼
温かくしてコロコロして気持ちが良い


中には、台風がきて気圧が下がると頭が痛くなったり、起き上がれなくなったりするお子さんもいらっしゃいます(お子さんでなくてもいらっしゃいます)。

最近では、台風14号も発生し(名前は「ナンマドル(Nanmadol)」。ミクロネシアが提案した有名な遺跡からとった)、不調を訴えるお子さんも少なくありません。

このような症状を、気象病(きしょうびょう)といったり、低気圧不調(ていきあつふちょう)と言ったりします。

それはどのようなものか。漢方 テイラックさんの記載を、少し覗いてみることにしましょう。


気象病と低気圧不調について

【気象病と低気圧不調について】

天気の変化と病気の関係は昔から知られており、気象要素(気圧、温度、湿度、日照時間、降水量、雷、風など)から悪影響を受けるものを「気象病」と総称し、その中でも天気(気圧)が崩れるときに慢性の痛みが増強するものを「天気痛」や「低気圧不調」と言います。

文献:佐藤純『気圧変化と痛み』教育総説p.153-156 2015年8月
引用:漢方 テイラック

ここに原著論文を用意しました。割と興味深い内容で、東洋医学との関連が示唆されています。

込み入った内容は避けますが、ポイントの一つは、内耳の破調に関すること。また、もう一つは、本来は交感神経優位に働かなければならない場面において、なぜか副交感神経が優位になってしまうことです。この辺りは、臨床の実際での体感と符号します。


【低気圧不調の原因】

低気圧不調は、主に気圧変化によって体内の水分バランスが乱れることで起こるとされています。
血管拡張による神経圧迫で起こる「頭痛」と気圧の低下が内耳で知覚され、自律神経が乱れることで起こる「だるさ・めまい」などがあります。

引用:漢方 テイラック

実にテイラックさんの説明がわかりよい。漢方の名を冠するだけあります。

「体内の水分バランス」という所は、専門的には「水毒(すいどく)」と言います。要は、身体の中が「湿気(しっけ)ている」。湿気ている身体を、東洋医学の先人は水毒として認識しました。古人のセンスが見えます。

現代人には到底真似できない発想です。

ちなみに、「医師と患者をつなぐ医療・ヘルスケアプラットフォーム」のmedicalnoteさんで「気象病」についてみてみると、このようなことが書いてあります。

【気象病とは】

気温や気圧など“気候”の変化によって引き起こされるさまざまな症状の総称です。どのような気候の変化によってどのような症状が現れるかは人によって異なり、「低気圧が近づくと頭痛がする」「気圧や気温の変化が激しい秋は体調を崩しやすい」などさまざまな訴えが聞かれます。日本では1000万ほどの人が気象病に悩んでいると考えられており、比較的発症頻度が高い症状といってよいでしょう。

引用:medicalnote


この辺りの説明は、特に変わりはありません。

ひとつ気になったのは「日本では1000万ほどの人が気象病に悩んでいる」という一文です。

日本の人口は1億2千万人といわれていますから、その内、1000万人が発症する。実に 1/12人。30人学級に2~3人は悩んでいることになります。

これを多いか少ないかの判断は任せますが、個人的にはまぁまぁ多いという印象です。

medicalnoteさんの説明の続きを見てみましょう。

【メカニズムについて】

気象の変化に伴う諸症状は、古くからさまざまな研究が重ねられてきました。しかし、はっきりとした発症メカニズムは分かっていないのが現状です。
強いて言えば、私たちの体は常に気圧と気温に晒されており、それらが急激に変化することで体内のバランスを崩しやすくなり、全身にさまざまな症状を引き起こすと考えられています。

引用:medicalnote


これもその内、〇〇因子が見つかったとか、〇〇酵素がどうのとか、〇〇遺伝子が惹起するなど、発症のメカニズムは解明されていくものと思われます。

ただ、現時点でははっきり言ってまだよくわかっていない。対処方法がないということです。

このような現代医学の網目から漏れてしまった時。ここで東洋医学の登場です。

東洋医学では、身体の中の湿気外気の湿気感応(内と外の同じ性質のものが反応)することによって、気象病や低気圧不調のような症状が起ると考えました。

このように発症のメカニズムを見定めることで、治療方法が浮かび上がります。この身体の湿気はどこにどの程度たまっているのか。その性質はどうなのか。などと考えていきます。

そうして、内臓の働きのバランスを調えて、循環物の流れをスムーズにしてあげると、不思議と体調が良くなります(本当に、ご飯が食べられなかったお子さんが、鍼治療の直後に「ママお腹すいた~」と言ったりします)。

要は、子どもさんに鍼治療は良いですよ~というお話しでした。



今回も読んで頂きありがとうございます。ISSEIDO noteでは、東洋医学に関わる「一齊堂の活動」や「研修の記録」を書いています。どんな人と会い、どんな体験をし、そこで何を感じたかを共有しています。臨床・教育・研究・開発・開拓をするなかで感じた発見など、個人的な話もあります。

いいなと思ったら応援しよう!