NASA、月探査機「VIPER」の打ち上げを1年遅らせる(spacenews翻訳7/19-2)
着陸船グリフィンの上にあるVIPER
ワシントン - NASAは、商業用着陸機のテストをさらに行うため、氷を探査する月探査機の打ち上げを1年延期すると、7月18日に発表しました。
NASAは、Volatiles Investigating Polar Exploration Rover（VIPER）ミッションの打ち上げを、2023年11月から2024年11月に延期すると発表しています。
VIPERは月の南極のノビレ・クレーター付近に着陸し、月の科学者や将来の有人ミ ッションの資源として注目される水の氷を探すことが目的です。
今回の1年間の延期は、ピッツバーグに拠点を置くアストロボティック社がVIPERを月面に届けるために建造中のグリフィン月着陸船の地上試験を追加で実施するためです。
NASAは2020年6月、アストロボティック社に当初1億9950万ドルのタスクオーダーを与え、同機関の商業月ペイロードサービス（CLPS）プログラムの一環としてVIPERを輸送するように命じました。
NASAによると、この追加テストはVIPERの着陸リスクを低減するためのものだといいます。
この作業を行うために、NASAはアストロボティック社への発注に6780万ドルを追加し、これまでの増額分と合わせて3億2040万ドルの受注額となります。
VIPERは、これまでのCLPSミッションの中で最も大きく、最も高価なペイロードであり、公式には4億3350万ドルと見積もられています。
これは、NASAのCLPSに対する "ショット・オン・ゴール "アプローチと衝突するもので、NASAはコストを抑えるためにリスクやミッションの失敗をより許容することを強調しています。
NASAの科学ミッション本部で探査を担当するジョエル・カーンズ副管理官は、「VIPERは、CLPSによって月に届けられるNASAの最大かつ最も高度な科学実験装置であり、我々はこの特定のCLPS地表交付のために強化した着陸機テストを実施した」と、機関声明で述べています。
4月に発表されたNASA監察総監室によるVIPERミッションの監査では、他のCLPSミッションに比べてVIPERのコストと重要性が高いことから、アストロボティック社へのCLPSタスクオーダーの「監視を強化」したことが指摘されています。
この監視には、VIPERとグリフィン着陸船の両方に関する問題を議論するために、NASAとアストロボティック社の担当者が週に3回行われる会議が含まれます。
この監査では、NASAがVIPERの設計を確定する前に着陸船を選定したことがコスト増につながったとも指摘されています。
VIPERが重要な設計レビューを完了したのは、CLPSの受注から1年以上経った2021年10月で、監査では、ローバーの質量増加や過剰振動に関する懸念など、いくつかの問題が見つかり、アストロボティックCLPSタスクオーダーに変更が加えられ、その価値が高まったとしています。
「探査機とグリフィン・ランダーがまだ設計を完了し、要件を確定していないため、追加の修正の可能性が残っている」と監査は述べています。
「また、CLPSはNASAにとって新しい取得モデルであるため、プロジェクトが成熟し、教訓が得られるにつれて、追加の修正が必要になる可能性があります。
もう一つのリスクは、アストロボティック社が最初の月着陸船ミッションであるペレグリンをまだ打ち上げていないことです。同社は4月に、まだ最終組み立て段階にあるこの着陸船を発表し、早ければ今年末に、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス社のバルカン・ケンタウルスの初飛行で打ち上げる予定です。グリフィンは別の大型着陸船だが、監査では、着陸船はサブシステムを共有しており、Peregrineのミッションで見つかったサブシステムの問題はグリフィンの開発に影響を与える可能性があると指摘しています。
VIPERの遅延は今回が初めてではない。同機関が2019年に探査機ミッションを発表した際、2022年末の打ち上げ、費用2億5000万ドルを見込んでいました。同機関がVIPERのCLPSタスクオーダーをアストロボティックに発注するまでに、同機関はローバーを強化し、当初予定の14日間から100日間運用できるよう、打ち上げを2023年後半に延期していたのです。
このことも、探査機のコストアップにつながりました。
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