チヒロのデバイスを作る
さて、以前ヤーデの端末を作りました。結構ギリギリのサイズ感で非常に苦労した思い出が強いです。(いつか作り直したい……)
そんな端末ですが、ブルアカにも同じような端末がありますね?
チヒロのデバイスの設計図
さて、彼女のデバイスは3Dモデルがありそうですが、結構一瞬で見るのも大変です。もっといい感じの図が欲しいです。そしてなんとそれがあるんですね。ブルーアーカイブ オフィシャルアートワークスの248ページに!
余談ですが他にもいろいろな小物の図とかあっておすすめです。オフィシャルアートワークス。買おう。
さて、こちらの端末ですがやることはヤーデの端末と同じです。今回は前回計測したいい感じのデバイスのサイズがあるので写真を取っていい感じに平面図からベースのサイズを計算していきます。幸いなことにウォークマン NW-A300が画面サイズも良さげなので引き続きこの端末のカバーとして作成します。なお色に関しては3Dモデルと設計図で白と青の場所が一部異なります。具体的にはアンテナの付け根が全部青っぽいんですが、ここは設計図ベースで青と白に塗り分けます。
今回はパーツ点数が結構多めなので、大まかに以下のように分割してくっつけていきましょう。
本体ベース
画面とかが入ってる黒い部分
ここにデバイスを収める
本体カバー
本体ベースにくっついてる白い部分
上部カバー
上の水色の部分
下部カバー
下の水色の部分
その他細々とした追加パーツ(主に左部分)
アンテナや左側面の追加されたものたち
これらはどこかのボディにくっつけるか何らかの固定具として機能させる
今回はヤーデの端末よりも薄そうな部分やギリギリの部分はなさそうなものの、色や階層が多くきっちり組み合わせられるように設計するのは大変そうです。一方組み上げに関しては余力がありそうなのと縦に出力できそうなので、研磨などは非常に楽できそうです。
制作方針
テスト
ではざっくりボディのテストをしていきます。本体ベース、本体カバー、上部カバー、おまけの黄色部分パーツを出力して全体感を確認します。
今回はヤーデの端末の時とは異なり表面の状態や設計の余裕により、縦に印刷可能そうです。縦に印刷可能ということは表面の加工はかなり楽になると共に、サポートを極力減らすことができるので非常に助かります。
タップに関しては上部がちょっと分厚いですが、今後ここは面取りされるのでおそらく問題はないでしょう。2回ほど改修したりボディを調整することでとりあえず無調整でここまで組めるようになりました。
これを元に今後の組み立て方針を立てます。
組み方
まずこちらはいくつかのパーツをくっつけて大きな塊にしようと思います。例えば本体カバー(白)は本体ベース(黒)と塗装を分けたいとかパーツを組み合わせた質感がほしいために分離していますが、これを毎度組み立てる必要があるかと言われるとちょっと面倒です。なのでこれら固めて良いパーツは塗装後接着剤でくっつけてしまって良いと思います。そうすると下部の青いパーツとかも固定方法にこだわる必要はないです。
問題は本体と上部の固定方法でしょう。上にネジっぽいものがあるのでこれをどうにか使えないでしょうか?そこで考えたのが以下方法です。
左の部分に固定用の板を出しておき、本体と上部を合体させた後にはめ込みます。その後上部パーツ上のネジを本物のネジにしておいて固定すれば、上下方向のずれは左のパーツが、左右方向のズレはネジが止めてくれるのでいい感じに固定できる気がします。幸いこの赤い部分には他のパーツなどがない空白地帯なので、自由にできそうです。
そんなわけで以下のように作っていきます。
パーツごとに出力・研磨・塗装
3つの塊になるように接着剤で固定・保護塗装
固定するネジについては六角ボルトとナットを使います。理由としては普通の丸いネジだと手で止めるのが無理なので、六角形をうまく使って片方を固定すれば後は回すだけでなんとか閉まるという算段です。
ボタンについて
デバイスのボタンは右にあるのでヤーデの端末同様右側にオリジナルのボタンを追加していきます。
今回上部パーツの関係で側面上から電源、音量ボタン2つまでしか搭載できないかなと思います。まぁこちらの最低限必要なボタンが使えれば問題はないでしょう。今回は上部パーツ側にありスペースに余裕はあるもののいくつかのパーツを貫通させないといけない部分なので、少し考える必要があります。
ボディ側と上部側は上下に合体予定なので、普通にボタンを貫通させることはできないので、ボディ側に切れ込みを入れて上から差し込めるようにします。この場合ボディ側が弱くなりそうですが上部パーツでいい感じに補強されるのでここの強度は考えなくてもよいでしょう。となれば上から差し込めるようにすればよさそうです。
後はできればボタンがポロポロ取れるのは困るので何らかの方法で止めたいです。かといって塗装の時には外したいし……ということで、穴のテストが必要です。
3Dプリンターできれいな穴を開けたい場合、横穴よりも竪穴の方が何も考えずきれいにできます。出力方向上横穴になる場合パーツを分けてきれいな穴を作ってパーツをくっつける必要があるのですが、塗装以後外すわけにはいかないので何らかの工夫をする必要があります。こちら今回は横穴をきれいにできるかいくつかテストしてみます。
前回結構円が微妙だったんですが、今回のサイズ感だとわりときれいに出力されています。これが可能なら塗装面は横穴になるものの普通にボタン用の穴を開けて良さそうです。
左側のパーツについて
さて、解釈が必要となってくるのが左側のアンテナパーツです。オフィシャルアートワークスは表と裏のみで幅の情報はないです。スクショからはアンテナのあの部分は上部パーツと同じ太さに見えます。しかし正面図からだと少し細くなっているように感じるので、ここは解釈を挟む必要がありそうです。
まずスクショの方に関してはブルアカはSD化してるので簡略のために同じ幅にしているとも考えられるので、より立体にした時自然な状態になるのならそちらを優先してもいいでしょう。そうなると基準は最上部のアンテナ部分になるかと思います。ここは流石に円柱に近い部分なので、ここらへんの情報をベースに考えてみます。
また、ここは多くのパーツを重ねています。なんかいい感じに結合したいです。そこで以下のようにします。
上がネジなのは少し細い部分なので可能な限り頭の部分が小さいネジを使います。(M4だと六角ナットの頭の長い方の直径が8mmだが、ネジは7mmなので少し余裕がある。)
これで縦方向の固定はいい感じじゃないでしょうか?サイズ的にもぎりぎり行けそうなので、こちらでやってみます。
固定具のテスト
さて、固定具ですが六角ナットをうまく使って固定できるでしょうか?少しテストしてみましょう。
とりあえずネジをいい感じにはめ込んだりスライドしていれる部分のテストは問題なさそうです。こういう金属パーツを組み込めるとやれることが広がって嬉しいですね。
強度に関してはやはり不安はありますが、こちら上部パーツが落ちなければOKかつストラップは本体にくっついているので過度な負荷はかからないので十分耐えてくれるでしょう。
またこの固定具はネジで止める関係上以下のようなパーツで構成し、蓋を作る必要があります。この蓋に関しては閉じた後少し削った後、上からアクリサンデーで溶着して更に研磨して仕上げます。これで一体化した感じになるはず。多分。
LEDみたいなやつ
設定には表面画面左に3つのLEDっぽい部分があります。こちら何かいいものがないかと100円ショップを漁ってきました。
めっちゃ加工しやすそうなものを発見しました。
見た結果トゲの付け根の部分を切り出せば使えそうなので3つ切り出しました。
設定資料的に色は上から赤、緑、緑なのですが、緑ないし赤もどちらかというかピンクだし……ということで今回はアレンジして一旦この3色にしてみようと思います。一旦テストボディの上に並べてみます。
横幅は設定資料のやつより3倍位の長さなので、これをいい感じに形を整えて埋め込めるようにすればなんとかなりそうです。さすが100円ショップ!加工に使える素材が揃ってて助かるぜ!!光らせるのは色々合って無理だけどこれでそれっぽい雰囲気が出るかと思います。
作成
モデリング
さて、微調整して完成したモデルがこちらです。
これらを一つ一つ出力していきます。季節が冬になり条件が変わったりフィラメントが途中で切れて別のになったりと苦労しましたが、一旦今回は黒の部分は黒のフィラメント、他の色は灰色のフィラメントで出力しました。
研磨
ゴリゴリ削っていきます。今回はいくつか工夫をしていきます。
まずは出力方向です。3Dプリンターの生成物は積層したときにできる横の積層痕と、底面及び上面の仕上げ部分に特有の模様が作られます。そして横の積層痕は結構簡単に削れるので今回は縦に出力を多めにしています。
ただし、それでも出力が安定しない場合は底に敷くように出力します。この場合は結構ガリガリ削らないといけないので大変ですが今回は1パーツのみで済みました。また他のパーツも底面が小さめなので次の工程で楽をします。
削り方ですがこちらは今回タミヤパテを併用した方法を採用します。
手順は以下です。
大雑把にヤスリで削る
洗浄後乾かしてタミヤパテを塗る
なんかモルタルを壁に塗るみたいな感じで。
乾いたら再度ヤスリで削り、本体が少し削れるくらいまで研磨する
もしこの時点で削れてない凹みがあれば洗浄後またパテを塗って削る
削ってパテを塗って凹みを消して削ってを繰り返すことできっちり削らなくても良いようにします。特にかみ合わせを意識しなくていい外側はかなり楽になりました。
個人的にはヘラが必要なものの溶きパテよりも使い勝手が良くて好みなやり方かも知れません。
また3Dプリンター特有の積層痕関連ですがこちらも結構雑な削り方を見つけました。
ヤスリは平面に削っても必ず端っこから削れていくので、なかなか中央部が削れてくれません。
ここで平たいヤスリなどの先端だけ押し付けて無理やり中央から削っていきます。
結構ゴリゴリ削れる代わりにめちゃくちゃ粗い傷がつくので、その後全体を研磨していい感じに滑らかにします。これで長時間平面を研ぐ必要がなくなりました。時短最高!!
後は工数削減も兼ねて研磨箇所は最低限にします。つまり表に出る部分のみ塗装がちゃんと乗るように削り、他の箇所は積層痕を残したままで良いことにします。(本当はちゃんと削ったほうが接着剤も効果的だと思われるが、今回は結構な部分が隠れるのと接着面が大きいので大丈夫でしょ!ということでで作業軽減を優先したい。)
仮組み
とりあえず軽く表面を削ってある程度さくっと組める状態まで作ってみます。
なかなかいい具合に組み上がっています。後は塗装諸々うまく行けばよさげです。ただその分厚みが増えるので、パーツの隙間がある程度確保できるように調整をしておきましょう。
サーフェイサー
さて、塗装のターンです。今回は下地をちゃんと塗ってみようと思います。父親がプラモとかミニ四駆を塗装した時に灰色に塗ってたりコロコロに下地を作れと書かれていたものの、今のところちゃんと効果を実感していません。しかし、塗装は意外と下の色に影響されるのはなんとなく把握しつつあるので、ボディの色によっては使ったり使わなくてよさそうです。
また、サーフェイサー(サフ)って結局何?って思って調べたら何か溶きパテとしても使えるみたいなやつを見つけました。なるほど。スプレーで溶きパテ散布してるようなものと考えれば、扱いもなんとなくわかります。吹いた後細かめのヤスリで軽く磨いて本塗装すればいいんだな!とりあえず以下を購入して使うことにしました。
1000とか1200とかもあるんですがどうもヤスリと同じく数値が大きいほど中の粒子?が細かいっぽいです。今回はある程度マットを目指したいとか傷を埋めたいので500を選んでみました。
そんな感じで準備したので、とりあえず黒以外の部分にサフなるものを吹いてみましょう。(黒い部分は黒いボディで作っているので、まぁ下地いらんでしょの気持ち。)
とりあえず今回は抜いて吹いて刺してみたいな感じでさっとやってみました。また一部雑マスキングしてますが、だいたいここ塗れればOKラインとしています。
サフで均一に塗られると色々細かい粗がかなり可視化されたので、ここらへんを微調整していきます。
ちなみにこのフロント部分がめっちゃきついです。薄い上に一番目立つ位置にいるので。ただサフが溶きパテ均一散布であるなら、もうある程度厚めにスプレーして研磨してさっと仕上げするみたいな使い方ができそうです。
そんな感じでサフ拭きつつ色々頑張った結果が以下です。
塗装
次に今回塗る色は以下です。
黒
白
水色
この水色がなかなかしんどいです。何か色見本を見ても良さげなのがなく、本を見る限りガンダムマーカーのSEED DESTINYに含まれるライトブルーが一番近いです。しかし生産終了!!!そんな!!
ドンピシャっぽい色のスプレーもないので、今回は自宅にあるガンダムマーカーとエアブラシシステムで塗っていくことにしましょう。
こちらかなりお手軽なのでもっと練度を上げたいという意味でもちょうどよいです。さて、そうなれば水色を何で塗るか決める必要があります。
マットな感じにしたいところではありますが、一番近いのは中央のメタリックブルー……かな?重ね塗りとか調合みたいなのは技量的に全然手が届かない範囲(というかその前に塗り技術なんとかしないと意味ない)ので、今回はやめておきましょう。
そんなこんなでパーツを塗装して若干組んだのが以下になります。
結合・保護塗装
ここからは接着です。一部パーツは今回完全にくっつけます。主にメインのボディ部分ですね。特に背面の青いパーツは接着のみで対応なので結構心もとないです。そこで用意したのは次の接着剤です。
こちら色が透明で強く接着できる、耐衝撃性、凸凹対応辺りで選びました。なお瞬間接着剤は今回扱いが厳しいので不採用です。
さて、ここでLEDっぽい部分の接着です。まずは以下のようにマスキングテープで必要な長さの目安を作り、切断していい感じのパーツを切り出します。
これを接着剤でくっつけていきます。ここもポロリが怖い箇所です。
そんな感じで頑張った保護塗装前の状態が以下です。
後は結合の事を考えて若干マスキングをしたうえで、今回は以下保護塗装を行います。
今回は光沢を出したいわけではないので、つや消しを選んでみました。
画面
次に画面です。こちら設定資料集に内部画面があるのですがこれがよくわかりません。最初プレーヤーかな?っと思いましたがそれにしては上の部分が波形っぽくなくて謎でした。どちらかというとまだコードの方が近いか?という感じの模様です。もしコードだとするとログ的なものを見てる……?なら丸いやつをくるくる回すとスクロールするようなUIにする?っということで、かなり独自解釈をしたエディター的なものとすることにしました。ここは本職プログラマー。いい感じのスクロールUIを実装しました。動作は完成品で!
組み立て
最後の組み立てです。一応塗装であまり厚くならないようにしたはずですが、だめならここで最後の調整を行います。とりあえず今回は塗装が薄めだったので問題なく合体できました。よかったー。
組み立ての中で一番気を使うのは上のカバーです。こちらボタンがありますがここがきついとボタン押しっぱなしという危険性もあります。とりあえずボタンも問題なかったので以下のような感じでボタンが落ちないように固定パーツを付けてこちらも完成です。
それでは、最初の設計図のように合体してみましょう!!
完成!!
そんなわけで完成品がこちら!!!
長かったチヒロの端末、無事組み上がりました!!!!やったね!!!!
まとめ
まとめです。
まず今回は金属パーツであるネジを多様していい感じに固定諸々できたかなと思います。ヤーデの端末はギリギリのサイズ感・設計で非常に苦しみ保護塗装とかできずみたいなところがあったので、そこら辺も考慮した対応ができて良かったなと思います。
その代わりゴツいですねwwwwこれ一応画面サイズ考慮すると原作に近いサイズのはずですが、男性の自分が持ってこのサイズ感wwwこれを女性が使うとちょっと大変そうですw(普通のスマートフォンだと男性でも扱いに困るゴツさになっちゃう。)ただ凹み部分にうまく手が入るので、画面サイズ込みの使い心地はそこまで悪くないかなと思います。ゴツい分ボタン落下防止のパーツも入れれましたし作るならこれくらいのサイズがいいですね。ほんとウォークマン NW-A300のサイズ感は優秀です。こういう小型で薄いデバイスがちゃんと売ってる時代で本当に良かったです。
設計のミスも振り返っていきます。まずはアンテナ部分でしょうか。固定方法と設計の関係上削っても回転してしまって、なかなかいい感じに整えられませんでした。何らか回転抑制の機構を入れればもう少しいい感じにできたかなと思います。またフロントとなる本体の白い部分も一部細くなりすぎてその後の調整が大変だったので、そういうのも今後は考慮していきたいところです。またサフについての理解が浅かったので前回ほどではないですが若干調整に苦労しました。わりとはじめに使う処理や塗装を決めて、それ込みで設計する必要があるなと思ったので、次回からは考慮に入れていきたいと思います。
表面処理はサフを初めて導入したわけですがかなり体験が良かったです。チューブ状のタミヤパテ含め加工の選択肢が増えた他、パテやサフは間違いなくクオリティが上がる能力の高さをひしひしと感じました。塗装前提の3Dプリント生成物に関しては楽かつクオリティが高くなるよう練度を挙げていきたいです。(特に別タイプのパテも使いこなせば相性が良いと思われるので使っていきたい。)
塗装に関しては徐々にやり方を覚えつつあるものの、圧倒的に経験が足りないなという状況です。塗りもまだまだ細かなところやムラの制御ができていませんし、微妙な色に関しては筆で合成して塗るとかそっち方面にも手を出していかないといけないですね。
また実際に使ったところ結構角の塗装が早い段階で剥がれ始めたので、塗装も、保護塗装ももっと厚く塗る。つまり設計ももっと隙間をもたせる必要があるということもわかってきました。塗装……難しい!!
お披露目
フェスでチヒロに見せてきました。おそろっち!