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遠距離介護は突然に。 その5
父の退院は明日という事になり、持って帰れそうな荷物を預かり、誰もいない実家に帰った。今回は新幹線の駅でレンタカーを2泊3日で借りておいたので、家と病院を何回行き来しても大丈夫。いったん、うちに帰りケアマネジャーさんに連絡を入れる。父の退院が明日に決まり、今後の生活の相談をしたい事を伝える。急な話なのに、退院後、午後2時に来てくれるとの事。ありがたい。なんだか落ち着かないので、家の中の不要品や父の動線で邪魔になりそうな所を思いつくままに片付ける。使っていない部屋を臨時ゴミ置き場にして、どんどん運んだり、掃除機かけたり埃を取ったりして、近所のスーパーで父が食べられそうなものを買って冷蔵庫に詰め、お風呂に入ってビールを飲み、買ってきたお弁当を食べてから寝た。病院の窓口のおじさんに駐車場混むから退院の日早く来たほうがいいよと教えてもらったので、早く寝て早起きする事にした。
次の朝は、生ゴミの日だったので、父の入院前から出せないでポリバケツにしまってあったゴミも出した。実家から、ゴミ捨て場まで数十メートルだが、今の父にゴミ出しは出来るだろうか。かなり怪しい…。
とにかく、ゴミ出して、支度をして、病院へ向かった。
10日程入院しただけで、だいぶ足が弱っている父を連れて帰る。車があるついでに、心配してくれている父の兄、私の伯父のところにも顔を出した。お互い顔を見て安心した様子。気にかけてくれる兄弟がいるのは有り難い事だ。
家に戻り、簡単な昼食をとり(レンチン冷凍ラーメン)、ケアマネジャーさんが来てくれた。
ケアマネジャーさんは、退院を喜んでくれて、治療をせず過ごす事を伝えても、「そうなんですね、大丈夫ですよ。サポートします。」と、すぐにベッドを手配してくれた。以前より足が弱っていて、使っている一本足の杖が不安定な事にも直ぐ気づいてくれて、ベッドの業者さんに杖も何種類か試せる様に頼んでくれた。ベッドの手配には何日かかかるだろうから、私の滞在中に間に合えば良いがと懸念していたら、なんとその日の夕方には業者さんが来てくれて、ベッドを設置してくれて、お風呂椅子、杖も貸してくれた。父は、ベッドが気に入り、「こりゃ、楽ちんじゃ。よかった、よかった。」と喜んだ。今まで何にも考えずにずっと布団で寝ていたのだが、床に寝たところから立ち上がるのが実は大変だった事に気づいたらしい。病院でベッドに寝たら、ベッドの端に一旦座って枠に捕まって立ち上がれるので、ベッドの便利さに気づいたらしい。私も畳に布団派なのだけど、立ち上がりに困る事はまだ無いので、それが大変な事に気付きませんでした。
夕飯の宅配弁当も昨日電話したら今日から届けてくれる事になったので、それを受け取り、まだ明るいけどお風呂も入って、夕飯を食べて、父は疲れて早めに寝た。
私も早めに寝ようと9時ごろ電気を消して、寝る支度をしていると、何やら父がゴソゴソ。汗をかいたからパジャマを着替えたいらしいのだが、タンスをあちこち開けたり閉めたりしている。パジャマを探しているというのだが、見当違いな所ばかり探している。足もヨロヨロしている。手伝ってパジャマを探して渡し、着替えてもらったが。ちょっと不安になる。大丈夫なのか、じーさん。パジャマの引き出しを覚えているようには、見えなかった。
続いて夜中、また、ウロウロしているので、どうしたのか尋ねると、電灯のスイッチがわからないようで困っていた。「お父さん、ここじゃない?」と言ってスイッチをつけてあげたが、またしても不安になる。
10日入院しただけで、家の中の仕様が分からなくなっている様子だ。
うーむ、これは、困ったぞ。こんなんで、この先本当にひとり暮らしが続けられるのだろうか。
明日から、なんでもやってあげないようにして、父が自分でやるように訓練しないとダメだ。私は一週間しかいられないのだから。
不安が押し寄せてくるが、とにかく寝よう。
続く