見出し画像

事業会社の社内SEをやっているけれどもこのままで良いのか将来が不安な若手の方へ#2

事業会社の社内SEの入社前のイメージと現実
某大手ITベンダでの忙しい業務やプライベートのごたごたで疲れ切っていた私はこのままではいけないと思い、転職を決意しました。そこでとある大手事業会社とご縁がありました。その会社は本業が安定しており、ワークライフバランスが充実し、離職率もとても低いことを売りの1つにしていました
(他にも理由はありますが記事の趣旨とずれるので割愛します)

入社前のイメージと現実は以下の通りでした。
・ワークライフバランスの充実:◎ 
残業時間も少なく仕事もコントロールしやすいので趣味の時間は増えました。
・離職率が低い:嘘 
私が中途入社して以降も当該部署ではかなりの人数が辞めています。そもそもの母数が少ないので10%超えているのではと思うレベルです。会社全体での離職率は本当に低いのかもしれませんが、入社する側が把握したいのはその部署での離職率のはずです。

ではなぜワークライフバランスの充実した会社で辞めてしまう人がいるのか?

1.まぁしょうがないかなと思えるケース
・明らかに能力とポジションが一致していない(中途採用あるある)
・そもそもステップアップの1つとしてしか考えていない人(ITベンダでITを学び、事業会社で業務プロセスを学び、コンサルにステップアップしていくような人)(一緒に働けて幸運だったくらいで考えましょう)
・上記の派生でもっと年収が欲しくなってしまった人
・寿退社

・会社側に原因があるとしか思えないケース
・働かないおじさんがたくさんいる(実際には本当に全く何もしていないわけではない。ただ、年収に見合う仕事をしているかといえば全然できていない)
⇒人員の母数はいるのにそれだけの仕事がこなせていない(コストセンタであるため全体の人員給与のパイの大きさは変わらない)
⇒仕事ができる人(若手・中堅)に仕事が集中する
⇒割に合わないと思った人が辞めていくケース(例:900万円分の仕事をしている人に職級(年功序列)を理由に600万円しか渡さなかったら多くの人は辞めてしまいます)

・やり方を変えられない多くの定年間際の50代社員
⇒変わらない丸投げ体質、きちんと管理できているとは到底思えないベンダコントロール
⇒目標となるモデル人材がいない
⇒「このままこの部署にいて大丈夫なのか不安になる」
背景として終身雇用制が自分たちには適用されないことをいまの若手・中堅は理解している。一方、逃げ切り世代の50代はあえてやり方を変える必要は感じず、そのほうが楽なので何も変わらない。
⇒将来ビジョンが描けないことを理由にやめるケース

・古いシステム・棚卸されず溜まったゴミデータ
⇒古いシステムが残ろうが、棚卸されずに腐りつつあるデータがあろうが逃げ切り世代(50代)は、今問題が起きていなければ将来的な爆弾が残ろうが特に問題に感じません。
⇒その掃除を”できる”若手・中堅にさせるので不満を感じた人から辞めていきます。

働かないおじさんの正体

・別にサボって何もしていないわけではない。
・ただし、給与に見合った成果を出しているかといえば、出していない
・課長だけど雑務しかしていない、主任だけど運用保守しかしていない
 ⇒働かないおじさん
・逆に役職は担当レベルだけど上流工程の案件を次々と任されているが年収は担当レベルのままの部署だとできる人から辞めていくパターンの典型です。
・あなたが課長だったとして、ある重大なプロジェクトを誰かに任せる必要があるとき、できない主任よりできる担当者(若手)に仕事を任せたいですよね。でも給与はできない主任より低いという状態になるわけです。その状態が長く続くと若手は不満がたまり、徐々に辞めていきますよね。

・では、年収に見合わない社員をクビにすることができるか?
⇒よほど重大な過失をしない限り、解雇することはできません。下手をすると訴えられる可能性があります。だとすれば、何かできる作業を担当してもらう必要があります。その結果が雑務や定型作業だとしたら?
これが働かないおじさんの正体です。

・では、若手に賞与での評価UPで報いることができるのか?
⇒相対評価を重視する企業の場合だとそれは難しいです。
上司は極端な評価(最も良い、または最も悪い評価)を避けることで、他の上層部や人事部門からの疑問を避けたいと考える傾向があります。
一番良い評価をつけるには相応の理由(部内の他の関係者を納得させることを含む、手間もかかる)が必要です。一番悪い評価を誰かにつけると人事から改善指導を求められます。ゆえに5段階でいうと2,3,4あたりの真ん中の評価を行うことが多いです。
一方、コストセンタ部署では部署全体のパイの大きさは大体決まっています。さらに”できる人”というのは真ん中の上のほうの評価に既になっているケースが多いです。なのでそこからさらに上には上がりません。結果、賞与で報われることもないことになります。

相対評価と絶対評価についてはこちらのリンクをご参照ください。


ちなみにITベンダ/コンサル業界における上流・下流工程と年収の関係は以下のようになっています。

ITベンダ/コンサル業界における上流・下流工程と年収の関係

・一般に下流工程から上流工程に行くほど年収は上がります。
・下流工程(運用保守)ほど定型作業に落としやすく、上流工程(企画/要件定義)は臨機応変な対応が必要であるため定形作業にはできず非定型となります。
・難易度についても運用保守(定型作業)はマニュアル等から学ぶことで1,2年で習得できますが、上流工程をこなすには数年かかります。ゆえに運用保守担当からSEやコンサルへ転職することがステップアップと呼ばれます。
・年収は難易度に比例するのでコンサルの年収は高く、運用保守担当の年収は相対的に低いことになります。
・役職についても上流工程が担当できる人ほど昇進していくことが一般的です。
・ゆえに部長や課長が”運用保守”の業務を直接作業担当することはまずありません。部長や課長の給料に業務が見合わないからです。大手のITベンダ/コンサルは基本的に人月商売なので誰がいくら売り上げているかが見える化しやすいです。彼らは年収に応じた付加価値を生まなければなりません。ゆえに上流工程のみを担当することになります。なので”運用保守”しかできない課長はそもそも生まれません。
・しかし、年功序列によって課長のポジションについた方が運用保守しか担当していない会社がもしあればそれはヤバイ会社です。

・坂井風太さんがうまく言語化してくれています。ぜひ見てください。


いいなと思ったら応援しよう!