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"Cantaloupe Island" - Herbie Hancock のスパイシーな一曲

茶番

僕が初めて購入したハービー・ハンコックのアルバムは "Meiden Voyage" だった。気に入ったので他の作品も聴くことにした。そうして手にした "Empyrean Isles" である。当時はまだ音楽配信サービスはおろかYoutubeも世に出ていなかった、一応インターネットはできたけれど。この中でも曲目の中で目を引かれたのが、"Cantaloupe Island" だ。
「ん! メロン島? なかなかスィートな名前だ。甘いバラードかな」などと考えた。だが、実際に聴いてみると、とてもスパイシーな曲だった。

メロンつながり

ハービー・ハンコック をよく知っている人であれば、彼の代表曲の中に "Watermelon Man" という曲があることを知っているだろう。これは直訳すると 「スイカ男」 だ。僕がこの曲名を初めて見た時、むかし見た『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』という土曜夜のバラエティ番組で、志村けんがスイカの食べ過ぎでスイカの化け物になってしまうコントを思い出した。だが、そういう半ホラーでも、コントでも無い。これは、ハービーが子供の頃に見たスイカ売りの男を見た記憶を元に書いた一曲で、そしてその曲はとってもコミカルだ。

"Empyrean Isles" について

“Cantaloupe Island” が収録されている "Empyrean Isles"、この「帝国諸島」はハービーとしてはかなり実験的なアルバムだったようだ。そしてこの文章を書くために参照した文献には「レコード会社がハービーにもっと手に取りやすいような(曲を作れ)と勧めた」などと適当なことが書かれている ( 1 )。またこのアルバムには他に "Oliloqui Valley" というもっと実験的な要素の強い曲も挿入されている。いずれにせよ、このアルバムは挿入されているどの曲もかなりスパイシーで格好良い。

"Cantaloupe Island"

この曲は JAZZIZ Magazine によると「ハードバップ、ソウルとモードジャズの完璧な融合」だそうだ ( 2 )。正直なのところ「ふーん、そうなのか。知らんけどな」くらいにしか感じない。
しかし僕の勝手なイメージでは、この曲から気だるさと背徳的な雰囲気が感じられる。きっとこのメロン島では、どこかの巨大多国籍企業が違法なほど安い賃金で多くの移民労働者をこき使ってカンタローぺ・メロンを生産し、先進国に輸出して暴利を貪っているのだろう。このようなイメージは、このアルバムのタイトル(帝国諸島)やそれ以外の収録曲の名前を考えると、あながち外れていないように思う。

参考文献

  1. udiscovermusic., ‘Cantaloupe Island’: Herbie Hancock’s Soul-Jazz Evergreen

  2. JAZZIZ, Herbie Hancock – “Cantaloupe Island”


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