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週末美術館 異端の奇才ビアズリー展 - 三菱一号館美術館

1. その辺の美術館を一周

最近、美術館を訪れることが多くなっている。その理由は引越しの影響で、これまでよく休日を過ごしていた場所に行けなくなったことが影響にある。しかも現在は冬、寒いのが苦手な僕はインドアな方向に進んでしまうようだ。
そんな美術館巡りで、僕がよく行く美術館は以下のように別れる:
・Top Tier: 国立西洋美術館、三菱一号館美術館、東京都立美術館
・2nd Tier: 国立新美術館、上野の森美術館、国立科学博物館
・その他……
Topと2ndを3、4ヶ月ごとに一巡するか、展覧会に食指が伸びなければ、“その他” に行くか、他の趣味に走るのである。こうして、僕はまた三菱一号館美術館にやって来た。今度の展示会はビアズリーである。


2. ビアズリーとか

2.1. まずはビアズリーについて復習 & 予習

詳しくは下記のYoutube チャンネルを参照して頂きたいのだが、それでも横着せず、簡単にビアズリーについて説明する。
オーブリー・ヴィンセント・ビアズリー(Aubrey Vincent Beardsley)、1872年に英国ブライトン(南部にある海沿いの街でビーチリゾートとして有名、現地のフットボールチームには日本代表の三苫が所属)出身、グラマー・スクール(中高一貫校みたいな賢い生徒が行く学校)を出た後、保険会社の書記をしながら夜間に美術学校へ通い、絵を描いたいた。やがて20歳の時に挿絵画家としての仕事が軌道に乗り始め、保険会社を退職。そしてその翌年にトマス・マロリーの『アーサー王の死』の挿絵を描く機会を与えらえれる。その絵を見たオスカー・ワイルドがビアズリーのことを気に入り、『サロメ』のフランス語版の挿絵を頼まれてたことで彼は一躍有名になる。
その後有名になり、挫折も経験し、これから更なる活躍をしていこうとしていた1898年、25歳の時に南フランスのマントンにて持病の結核が悪化し他界する。
参照はいつもの通り、Wikipedia
Youtube チャンネル “山田五郎の大人の教養講座” :

2.2. オスカー・ワイルド

話題に上がるオスカー・ワイルドにつても簡単に説明しておこう。
オスカー・ワイルド (Oscar Wilde)は1854年にアイルランド、ダブリン出身の英国人 (彼の存命時、アイルランドは英国からまだ独立していなかった) で、今回話題となっている『サロメ』意外にも、『ドリアン・グレイの肖像』 (3回も映画になっている) や『しあわせの王子』  (僕は子供のころ絵本で読んだ)などは現代でも読み続けられている。彼は1900年、パリにて梅毒で他界する。
このオスカー・ワイルド、僕が以前パリのペール・ラシェーズ墓地で The Doors のジム・モリソンのお墓を観に行った際、彼の独特な形状のお墓が目に入った。加えて異質だったのはそのお墓を囲うガラスの壁、そこに付けられたキスマーク。これは女性が彼のお墓にキスをすると幸せになるからという理由だそうだが (何故かは分からない)、それが墓自体を棄損するため、ガラスで囲われていたのだ。

オスカー・ワイルドのお墓


3. ビアズリー展について

3.1. 概要

この展示会の展示作品について下記に簡単にまとめる。なお、細かい部分はかなり端折っているので、興味を持たれてかたは実際に展示会を訪れて確認するか、展示図録を参照されたい。

ビアズリー展の展示内容

もう少し詳しく、展示会で紹介されているいる内容を説明する。
A. 仕事の依頼人

オスカー・ワイルド:
『サロメ』の作者で、ビアズリーへ挿絵を依頼。

B.関係者?
1) チャールズ・リケッツ:
 ワイルドのお気に入りのイラストレーターで『サロメ』以外の仕事をほぼ独占。
2) ジェームズ・マクニール・ホイッスラー:
 USAの画家。ビアズリーとはパリで出会い、不破になるが後に和解。
3) ウォルター・クレイン:
 UKのイラストレーター、ビアズリーのお気に入り。

C.ほぼ関係が無いが、展示の流れで作品が紹介されていた人たち
1) ギュスターブ・モロー:
 ワイルドが『サロメ』を書く以前にサロメを題材に絵を描く。
 今回、その絵も展示されている。
2) アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック:
 ビアズリーと同時代のイラストレーター。ポスターの絵はどことなく似ている。
3) アルフォンス・ミュシャ:
 ロートレック同様、同時代のイラストレーター。
 彼もサロメのポスターを描いていて、それが展示されている。
4) ウィリアム・モリス:
 UKのテキスタイルデザイナー。
 ウォルター・クレインに社会主義的影響を与える。

D.ビアズリーが携わった雑誌
1) ステューディオ誌: 表紙を提供。
2) イエロー・ブック誌: ビアズリーが挿絵を描く。第5巻まで挿絵を提供。
3) サヴォイ誌:こちらにも挿絵を描く。

E.その時代の流行
アングロ=ジャパニーズ: イギリスにおける日本美術の影響。その影響が伺える品々も展示。

ジャポネーズの展示

F. その他:
リューシストラテー: ビアズリーが生活に困って挿絵を引き受けた話。今回の展示でそのスペースは18禁扱いされている。

3.2. 展示会の風景

下記の写真でも分かるように、この展示会はかなりの盛況だ。
上記のYoutube チャンネルでも日本でのビアズリーの人気を紹介している。また、 “En-U | 美術館に寄りみち” さんの note 記事でも日本人のビアズリー好きについて言及されている。ビアズリーは日本人の感性に合うのだろう。

展示会の混み具合

また今回行いたかったことは下に示すサロメの挿絵の比較だ。これは左がビアズリーが最初に描いたサロメが洗礼者ヨハネの首と対峙する部分(1st Ed.)、そして右が描き直させられた2nd Ed.だ。シンプルな2nd Ed.も良いが、僕は1st Ed.の方が好みだ。

サロメ 1st Ed.(左)と2nd Ed. (右)

加えて、今回はビアズリーのポスターも展示されていた。
アール・ヌーヴォーの時代背景をよく反映しており、どことなく同時代のパリの画家トゥールーズ=ロートレックに似たところを感じる。

ビアズリーによるポスター

今回の展示会は日本で大人気のビアズリーを堪能できた。
今後、この画家の日本の画家に対する影響も調べていきたい。

過去記事: 三菱一号館美術館

週末美術館 "再開館記念『不在』―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル" - 三菱一号館美術館

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