デンマークへの旅 4 - 終わり
4日目:
コペンハーゲン滞在最終日。
まずはホテルのチェックアウトを済ませ、荷物をそこに預ける。そしてコペンハーゲン国立美術館 SMK(Statens Museum for Kunst)に行ってハンマースホイの絵を観る。
ハンマースホイは19世紀の後期から20世紀はじめまで活躍した象徴主義に属するデンマークの画家で、東京の国立西洋美術館の常設展でも一枚観ることができる (ピアノを弾く妻イーダのいる室内)。そのハンマースホイが描いた絵の特徴は静寂さにある。主なモチーフは室内風景で、肖像画(主に自画像か自分の妻の絵)を除き、人物にスポットが当てられることは少ない。街の風景にもかかわらず、一人も人物が描かれていないことだってある。そのような対象を絞って、ハンマースホイが影響を受けたホイッスラー風のモノトーンな色彩と平面性が、観る人に華やかさや威厳ではなく、静寂さを感じさせる。
ホイッスラー以外にも SMK ではムンクの絵画が充実していた。きっと、同じ北欧出身(ノルウェー)の画家ということもあるのだろう。
SMKの膨大な美術コレクションを楽しんだ後、それからコペンハーゲン大学に立ち寄ってユニバーシティ・パーカーを購入して、観光を終了する。
今回、時間の都合で市内の宮廷であるローゼンボー城には行けなかった。それ以外にも見逃した観光地がいくつかある。
そんな評判の良い観光地の中で、どんなガイドブックにもトップティアで入っているチボリ公園には行かなかった。というより、一人旅なのでそこにははじめから行く気がなかった。そして、次にコペンハーゲンに来る機会が有ってもきっと行かないだろう。
最後に、再び ICE に乗り、5時間かけてハンブルクへ戻る。
終わりに
この4日間で思ったことは、一にも二にも非常に物価が高いということ。どこかのカフェでサンドウィッチとレモネードの簡単なランチを採るだけでも2,000円くらいかかるのだから、観光客にはたまったものではない。
またチボリ公園前のお土産物屋で子供向けのアンデルセン童話を手に取ってみると、その値段はだいたい5,000円だった。もう洒落にならないくらい高い。私のような読書家には、非常に安価に書籍が買える日本に住んでいて良かったと思う。
物価以外に感じたことは、この国の娯楽の少なさである。しかも飲食店を除くあらゆる施設の営業時間が短いのだ。そのことが理由なのか至る所にパブがあり、それらが大いに栄えていた。あまりにもずっと呑んでいるからだろうか、私が早朝に街の風景を撮影していると、夜通しで呑んでいたであろう酔っ払いに絡まれる場面もあった。ま、これは私がホテルを取った場所が悪かっただけかもしれない。東京でも、新宿駅前のホテルに泊まれば同様のことが起きたかもしれないのだから。
いずれにせよ、スポーツ以外に都市部の娯楽といえば、酒を飲むくらいしかやることが無いのではないだろう。
そこで私は、旅の後に World Population Review というウェブサイトで、各国のアルコール依存症率を調べてみた(2024年8月29日アクセス)。すると、デンマークの数値は7.5%もあり、英国の8.7%よりは低いが、日本の3.4%に比べるとかなり高い数値となっていた。やはりデンマーク人のアルコールの摂取量には少し問題があるようだ。
だが日中のコペンハーゲンは、ヨーロッパの大都市にも関わらず、非常にのどかな雰囲気に包まれていた。