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デンマークへの旅 1 - コペンハーゲン
はじめに
デンマーク、北欧の最南端にあり中欧に所属する英国北部のノーザンバーランド地方と同じくらいの緯度に位置している。また国土のほとんどが北海に面しており、比較的温暖なため、雪はあまり降らないらしい。
このデンマークは近年、国連が発表する幸福度ランキングで上位 (2023年の発表で2位) に位置し、ヒュッゲと呼ばれるライフスタイルが話題を呼んでいる。ちなみにヒュッゲとは、ユーモアと笑いと余裕があり、幸せ感あふれた雰囲気のことで、穏やかな団欒の中にあって、ふと笑みがこぼれるような満足感のことである(長島 要一著、“デンマーク文化読本”より)。
僕はそんなデンマークに興味を持ち、わずか4日ではあるが、この夏(2024年8月)に旅をした。ここにその簡単な記録と、その時に感じた僕の印象などを記す。
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この旅で、デンマークでの滞在拠点をその首都のコペンハーゲンに置くことに決めた。その国の首都を拠点にすることは、まったく知らない国を観て回る時にはとても無難な考え方だろう。
またコペンハーゲンまでの移動はハンブルクから ICE (Inter City Express) を利用した。航空路を使わなかった理由は、東京からコペンハーゲンまで行くために価格がリーズナブルで接続の良い路線が無かったこと、そしてこの旅でついでにドイツ北部も訪れたかったことからだ。
確かに陸路でハンブルクからコペンハーゲンまでは片道5時間なので、航空路を使った方がかなり早いので迷った。だが都市部から空港に行って飛行機に乗るのも時間がかかるし、変わりゆく景色を見ながら旅するのも悪く無いと思った。実際、ICE を利用したおかげで、運河や平原の中に立つ風力発電用のタービンなど、興味深い景色を楽しむことができた。
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初日:
コペンハーゲン中央駅に到着し、まず構内にセブンイレブンが有ったことに驚く。しかもエキナカ販売スペースのおおよそ半分を占拠している。これはもう独占と言っても過言ではないんじゃないか? 到着直後にいきなり面食らってしまった。
それから駅を出て、まずはホテルを目指す。しかしチェックイン時間にはまだ早いので、そこに荷物だけ預けて出かける。
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最初の目的地はデンマークの象徴とも呼ぶべきあの有名な水辺の人魚像を見に行く。この像はコペンハーゲンの北部にある稜堡式城郭カステレット (外壁形状が星型をしているため、星形要塞とも呼ばれ、多くは周囲を掘りで囲んでいる) 前面の海岸に設置されている。しかしこの人魚像、小さくてあまり見栄えがしない。正直言ってしょぼい。さすがインターネットで『世界3大がっかり名所』の一つに選ばれるだけのことはある。少なくとも、コレだけを見るために日本から24時間以上もかけて来る甲斐はないように思う。
それでも自分の眼で見てきた感想では、そのがっかり名所の他の2つであるブリュッセルの小便小僧より大きくてキレイな景観の場所にあり、シンガポールのマーライオンよりは精巧だった。人形像はまだマシだ。
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しかし、この像は明らかにオーバーツーリズムと言える状況で、そこには多くの観光客が群がっていたこともがっかり感を引き立てていた。こんな状況では、写真を撮るのも一苦労だ。
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人魚像の背後にあるカステレットも、地図上で見るとその形に興味を引いたが、実際に間近で見てもぱっとしない。
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ひょっとしたら人魚像やカステレットよりも、そこから湾を挟んだ所に存在するコペンヒルというゴミ燃焼発電施設 (正式名称 “アマーバッケ: Amager Bakke”) の方が見どころがあったかのもしれない。だが今回、ここへは時間の都合で行けない。
この後、ホテルに戻ってチェックインする。
夕方、と言っても20時過ぎ(北欧では夏の夜が長い)、私が泊まったホテルに近く、十分歩いていける場所にあるパブ・コンプレックスに行く。そこへ行くと、この時はその施設入口で偶然にもプロレスの興行が開かれていた。それは全く知らない団体だったが、いつだってプロレスを見るのは楽しい。全く知らないレスラーでも、彼がコーナーポストから翔んだ瞬間は、口から自然と「おー」という声が漏れていた。
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さて、デンマークのビールと言えばまず思いうかぶのはカールスバーグ(2022年世界シェア4位)。しかし近年ではクラフトビールの火付け役ミッケラーも有名だ。そしてこのパブ・コンプレックスにはそのミッケラーのフラッグシップ “WARPIGS” というシグネチャー・パブがある。
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そこでこの日は WARPIGS で IPA (Indean Pale Ale) を飲みながら、プルドポークを食べた。いや、どちらかと言うとこの時は IPA がメインか。ミッケラーはレストラン・プロバイダーではなく、ブリュワリーなのだから。
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アルコールを摂取すると、時差ボケのせいもあり眠くなったので、ホテルに戻ってさっさと寝る。
22時過ぎころに外から「ボン、ボン」と袋が破裂する音が聞こえてきた。あまりにもうるさいので、窓からチボリ公園の方角を確認すると、花火が上がっている。建物の合間から見える花火はとてもキレイだった。
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だが眠いので無視してまたベッドに入る。