1【地方】視聴者として読売中京FSホールディングス株式会社に対する懸念
どうも、あずきです。
本日のテレビ自由研究に関してはちょっと緊急で書いています。
ちなみに名古屋では夕方のトップニュースになったそうです。それぐらい大きいニュースだったわけですが、私これに関してはある懸念があります。
「いよいよ放送業界の大規模再編があるのではないか」
ということです。
というか地方局からするとこの形態は非常に劇薬だと思います。
メリットとしては各社がメディアリリースの中で挙げているように「リソースや放送外収入の一本化や各種他メディアへの番組の供給の効率化」などに繋がっていきますが、これ将来的には「東京による地方局メディアの支配」が現実のものになってしまう懸念があります。
なので、このニュースは「まずそもそも大丈夫なのか」という懸念と「そうは言ってられないテレビ局の事情」にも目を向けつつ、その上でどうすべきかを書いていければいいかなと思います。
そもそもこれは日テレの初期構想の具現化
日本テレビの正式な会社名を言える方は立派なテレビマニアだと思いますが、「日本テレビ放送網」が日テレの正式な会社名になります。その理由というのは日テレを始めた正力松太郎氏の構想によります。
元々は「日本テレビ⚪︎⚪︎支局」を全国に作るつもりだったのですが、当時の郵政省(現総務省)が「同じ資本による複数県にまたがる放送はメディアの寡占につながる恐れがあり不適切」という見解を出しNGをくらったという経緯があります。
そのため関東ローカルのテレビ局として開業したものの、ニュースネットワークはJNN(TBS系列)に次ぐ2番目という比較的早期に整備したという経緯があります。
なので、その初期の構想がそれから70年以上経った今地方局が統合してできた会社に一部日テレが出資するという形で具現化することになります。
ただ、これにテレビマニアは疑問を持つでしょう。あの条項が大丈夫なのかということです。
メディア集中排除原則には該当はしないだろうが・・・
総務省がメディア集中排除原則というのを電波法で規定されています。要は先ほどの旧郵政省の懸念をそのまま法律化したものです。
簡単にいうと「特定の資本による複数地域のメディアの独占を防ぐための原則」です。
そのため様々な規定が用意されており、今回の統合はこの原則だけに照らし合わせると完全にアウトです。(複数地域のテレビ局が1つにまとまって、それぞれの会社を運営するため)
ただ、これには「特例」があり・・・
地上基幹放送事業者の特例
地上基幹放送については、特例として、以下の範囲内であれば、兼営・支配が認められる。
テレビ9局及びラジオ放送(コミュニティ放送を除く。)9局
テレビ9局及びコミュニティ放送9都道府県分
※ 同一放送対象地域において兼営・支配可能なのは、テレビは1局、ラジオ放送(コミュニティ放送を除く。)は4局まで。
太字は筆者による
つまり今回の話においてはテレビ局4局とラジオ局1局(STVのみラジオ局保有)、近畿6県(大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀県)、中京3地域(愛知、岐阜、三重)、北海道1地域(北海道)、福岡1地域(福岡)の合計11道府県の合併会社となるためセー・・・あれ・・・?
数が・・・おかしい・・・と思ったら別の論文が出てきました。
https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2013_11/20131107.pdf
この論文によれば 12地域までセーフとのことなので、ここに関東が入らない限りは大丈夫ということです。
で、日テレはこの会社に20%出資を行うとのことなのでそこは原則から超えない範囲になるわけです。
ただ、今引用した論文ですでに今回の件は想定されていました。しかも11年前に
①キー局と異なる地域の系列ローカル局の子会社化,②資本関係 にあるラジオ・衛星放送事 業者等を含む複数のメディ アにかかわる放送事業者の 子会社化,③一定地域内に ある異なる地域の複数ロー カル局の子会社化,
ただ、この論文読んでいくとやはり「地デジ化は相当日本のテレビ局にダメージを与えていたこと」がわかりますし、この時代から例え潰れそうなテレビ局が出てきても「集中排除原則」により「手出しができない」という問題を抱えていました。
今回の統合は「そうやって手遅れになる前に地方局再編のモデルケースとして比較的に余裕のある基幹局で実験を行う」という形に思えます。
将来的には近隣の放送局がブロックごとで合併する等の動きに繋がっていく形になると思います。
地方局は今のままでは到底無理なことは目に見えている
地方局はその地方の状況を扱うという使命はありますがお金は当然地元の財界が出しているわけです。ただ、その地方経済が死に体になってきている以上東京への依存度はどんどん上がっていくわけです。
そして、ラジオでは県域局が潰れる県がこの20年ほどで出てきました。私の住む愛知もその1つです。
事業規模が小さいラジオですら、この状態なわけです。テレビにももうすぐこの波は波及してくるに違いありません。
なので、もう首が回らなくなって限界を迎える地方テレビ局が10年以内に出てきても特に驚きはありません。
今回のこのニュースはその時代を迎えるにあたって地方局が生き残るための足掻きなわけです。
月並みな提案「ネット配信をもっと効果的に使えるようにする」
ここからは月並みな提案になりますが・・・
Radikoのテレビ版
ラジオ局が追い詰められた末の本気の巻き返し策として提案されたのがRadikoな訳で、月額で全国のラジオ局が聴き放題、そしてさらに払うと一定期間聞き放題になるというプランを提供しています。
「Radikoのテレビ版を一刻も早く作るべき」だと思います。
TVerがあるじゃんと思いますが「生配信は制限されている番組があるし、そもそも全国ネットとなるゴールデンタイムの番組しか生で見られない。地方局はそもそも生配信の蚊帳の外。」という状態を早く解消するべきです。
そのためには、放送法などの問題を解消してRadikoと一緒でTVer配信でも基幹局だけでもいいので「生配信は地上波放送とCM含め同じものを見られるようにするべき」です。そうすれば地方スポンサーからすれば「全国に会社の名前を知ってもらえる(しかも若い世代に)またとないチャンス」になるわけです。
ネットの技術の発達等によりターゲット広告とか色々ごちゃごちゃ実験している感はありますが、「うるさい。まずはテレビと同じコンテンツがネットでも自由に利用できるようにしてからだろ」とは思っています。
各局ごとの配信プラットフォームもうええでしょう
民放キー局は競って自社の配信サービスを持っており、囲い込みを図っています。
NHK→NHKオンデマンド
日テレ→Hulu
TBS→U-NEXT(Paravi)
テレ朝→ABEMA、TELASAなど
テレ東→Paravi、テレ東Biz
もうさっさと統合しろ!無駄に消費者にサブスクを契約させようとすな!多分その方が売り上げあがる!ラジオでも独自プラットフォームにこだわるTFMと文化放送!お前らのことやぞ!(おっと言いすぎた)
このままみんなで沈んでいくなら、せめて合同で立ち上げてユーザーファーストにしましょうよ。どうせCM契約とってくるための番組なんだから1回放送すれば減価償却終わってるでしょ?その後の利用法をいいかげんここらで真面目に考えようよ。今やテレビ局同士がいがみ合ってる場合じゃないでしょうに。
あとは、著作権肖像権問題を早く処理して莫大なアーカイブ資産を円滑に利用できるようにする。(小金でも稼げるようにする)
ということも必要になってくると思います。
まとめ「テレビの未来が大きく動く一件になるかもしれない」
今回の件は、テレビが好きな人間にとってはそれぐらい大きな出来事として受け入れられています。
テレビの未来を大きく動く、そのはじめの一歩だったと後年振り返ることになるかもしれませんね。
ではまた