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素晴らしき日々-不連続存在- 感想
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シナリオA - キャラA 曲S グラフィックB 演出A
総評A
終ノ空のアンサーとして描かれたような気がするが個人的には完成系的な作品だと感じた。終ノ空をさらに上回る電波感というのも評価できる点ではあるが, 何より終ノ空では出されなかったヴィトゲンシュタインの幸福論に対する作者の回答を示したという意味で終ノ空を超えた作品だと自分は感じた。世界観も素晴らしく, 個人的にはかなり楽しめた作品。
良かった点
①曲
空気力学少女と少年の詩, ナグルファルの船上にて, 神と旋律...と歌がどれも良い。歌だけでなくbgmも強く, 夏の大三角や夜の向日葵, 言葉と旋律などどれも聴いていて気持ちがいい上に作中の的確なタイミングで流れるので印象にも強く残った。(空気力学少女と少年の詩は歌詞の意味を知って少し嫌いになったけど)
②メッセージ性
登場人物みんなずっっと哲学の話してる。ただ, この作品は小難しい話をただしているだけではなく, それを通してキャラそれぞれの考えがぶつかり合い, (正しいかどうかは別にしても)最終的には幸福に対する一つの答えが提示される。ストーリーを通して読者にも幸福とはなんぞやと考えさせるような良い作品だと感じた。
③世界観
プロローグの銀河鉄道や2章の屋上ダンスでの幻想的な世界観, それと表裏一体で存在する絶望的な現実の世界観。そこにさらにクトゥルフの世界観やアリスの世界観も加わり, それらが絶妙なバランスで釣り合って最高の電波感を演出している。読む時も楽しかったし, 読み終わった後の考察でもかなり楽しめた。
④希実香end
神すぎる。幻想的な世界観で高校生が語り合うところから最高だし, 最後のシーンも完璧。全人類を救済すると豪語しながら誰も愛したことのない人間が愛を知りただ一人を選ぶって卓司君への救済として満点すぎるんよ。
⑤終ノ空2
全て終わった後での考察が本当に楽しい。
悪かった点
①追加されたストーリー
終ノ空からいくらかストーリーが追加されていたが, プロローグの王様ゲームのくだりとか皆守の過去編とか, エロゲだから一応入れときましたみたいなシーンが内容もなくただの中弛みでしかなくて読んでいてキツかった。
②なんでもありな設定
考察が面白いというのは本作の魅力の一つではあるのだが、世界観的になんでもありすぎて結論がしょうもないことがある。というのもこの世界、考察してみると本当に夢オチだし本当にクトゥルフの神々が干渉してるっぽいという。作中のあらゆる矛盾がこれで説明できてしまうし、これ以外に説明がつかなさそうな矛盾もあるのが少し拍子抜けだなあと個人的には思ってしまった。
最後に
高校生の時にやってたらすごい価値観変わりそうだなぁって感じた作品。逆に卒業してからやってちょうど良かったのかもしれないけども。いい意味で価値観を歪められた作品だった。