日本酒選びに迷ったときに!おすすめ日本酒リスト
日本酒のすすめ
日本酒は人気がない?
2000年代以降、日本酒の人気はなかなか安定しません。漫画やドラマがきっかけにブームになったり、ブランド地酒が入手困難になったりと、一時的な流行はあるのですが、その消費量はピーク時(1970年代)の3分の1程度で落ち着いています。これは、そもそも「お酒を飲む」という文化がメジャーでなくなりつつあることや、他のお酒との競争に負けていることが理由かもしれません。
ワインよりも手堅い
日本酒は醸造酒であり、ワインと比較されることの多いお酒です。ワインは安いものでは500円から、高いものは天井知らずですが、一般に5,000円くらい出せば美味しいものが手に入れられる、といわれています。一方、日本酒は高くても3,000円(4合瓶)くらい出せば、その酒蔵の最高峰のものを手に入れることができます。プレミアが付いて高価格になっているものを除けば、日本酒は「最高の逸品が手に入れやすいお酒」なのです。
このリストの目的/背景/方針
このリストの作成目的と背景は次のようなものです。
目的
日本酒がもっと評価されたらいいな
未来の自分含め、誰かが日本酒を買うときの参考になるといいな
背景
実は一番好きなお酒はシャンパンである
兵庫県在住なので近隣のお酒が入手しやすい
体が弱いので本当はあまりお酒を飲まないほうが良い
方針
記憶に残っていない日本酒は掲載しない
製造年が異なるだけの日本酒は重複掲載しない
自分が実際に飲んだことのある日本酒のみを掲載する
飲み比べの基準に。まずは飲んでおきたい日本酒
まずは日本酒に慣れるためにも、「日本酒の標準」を知ることができるものを紹介します。これらと比較して、自分の好みに合う日本酒を探して行きましょう。
賀茂鶴 特製ゴール賀茂鶴(広島県:賀茂鶴酒造)
抜群のスタンダード感。飲み飽きず、冷でも燗でも。とにかく食事に合う。
剣菱 黒松剣菱(兵庫県:剣菱酒造)
お米を飲んでいるようなコクと、コントロールされたキレがポイント。
福寿 純米吟醸(兵庫県:神戸酒心館)
外国人を招いたイベントなどでも採用されることの多い日本酒。
越の誉 純米大吟醸(新潟県:原酒造)
越の誉のフラッグシップのひとつ。冷酒のモニターに最適。
飲食店で見かけたらラッキー!ハズレのない日本酒
和食屋さん、とくに日本酒のラインナップにこだわっているところであれば扱っている可能性が高い日本酒です。
鍋島 特別純米酒(佐賀県:富久千代酒造)
食中酒に最適。すこしだけ感じるクセとの相性次第。
鍋島 純米吟醸 隠し酒 裏鍋島(佐賀県:富久千代酒造)
良い意味で鍋島らしさがなく、こっくりした料理にも合う。
〆張鶴(しめはりつる) 純米吟醸 純(新潟県:宮尾酒造株式会社)
とにかくすっきりした日本酒。飲み口はまろやか、後味はすっきり。
鳳凰美田 純米吟醸 無濾過生酒(栃木県:小林酒造)
口に入れるとすっと消えてどこかに行ってしまう感じの日本酒。カクテルの割材として使うとよいかも。
伯楽星 純米吟醸(宮城県:新澤醸造店)
食事に合う。「淡麗な日本酒」といえば伯楽星を思い出す。
貴 特別純米(山口県:永山本家酒造場)
水やお茶のように、食事と一緒に飲むことができる日本酒。淡麗のひとつの到達点。
酔鯨 純米吟醸酒 吟麗(高知県:酔鯨酒造)
キレに特化した日本酒。高知のお酒らしく、海鮮との相性が抜群。
小鼓 純米吟醸生酒(兵庫県:西山酒造)
食事と合わせていただくのに最適。同酒造の「深山ぶどう酒」もおすすめ。
八海山 発泡にごり酒(新潟県:八海醸造)
発泡日本酒に挑戦してみたいときにおすすめ。食前酒だけでなく、食中酒としてもおいしい。
百十郎 純米吟醸 無濾過生原酒 桜(岐阜県:蔵元林本店)
食事をまったく邪魔しない、キレの鋭い日本酒。
赤武(あかぶ) 純米吟醸 愛山(岩手県:赤武酒造)
酒米「愛山」を使用した日本酒。やわらかく、あまく、香り高い。
石鎚 純米吟醸 緑ラベル 槽搾り(愛媛県:石鎚酒造)
すっきりさっぱり、食中酒。
ちょっと特別な日に!家で楽しむのにおすすめな日本酒
それなりに日本酒にこだわっている販売店でなければ手に入らないかもしれない日本酒です。地酒を語る上でもよく名前の上がるものが多いです。
高砂 松喰鶴 純米大吟醸(三重県:木屋正酒造)
「而今」が有名な木屋正酒造が「食事に合う」をコンセプトに醸したお酒。キレのある酸味と奥にある旨味を楽しめる。
黒龍 純米吟醸垂れ口(福井県:黒龍酒造)
純米吟醸のうすにごり原酒をそのまま瓶詰め。フレッシュで爽やかでありながら、キレがあるので食中酒としてもおすすめ。
作 純米大吟醸 新酒/(三重県:清水清三郎商店)
ふわっとした華やかな香りが強く感じられる。家飲み体験をワンランク上げてくれる日本酒。
澤屋まつもと 守破離 五百万石(京都府:松本酒造)
京都を代表する酒蔵の代表作。柑橘を感じる風味とやさしめの酸味が特徴。
風の森 ALPHA TYPE1 DRY(奈良県:油長酒造)
ラムネみたいな軽い飲み口の日本酒。
風の森 純米しぼり(奈良県:油長酒造)
程よい発酵臭が個性的な、風の森の意欲作。
風の森 雄町80 純米(奈良県:油長酒造)
少しだけユニークなクセのある日本酒。雄町入門に。
山間(やんま) 特別純米酒 中採り直詰め 無濾過生原酒(新潟県:新潟第一酒造)
コクや旨味が強く、濃い日本酒。
獺祭(だっさい) 純米大吟醸45(山口県:旭酒造)
シャンパンで言うところのモエ・エ・シャンドンにあたる、デフォルトになる日本酒。獺祭と比べてどうか、という評価をすると、人に伝わりやすい。
久保田 大吟醸(新潟県:朝日酒造)
もうひとつのモエ・エ・シャンドン。入手のしやすさを考えると日本酒ファンとしては本当にありがたい。
日本酒の魅力爆発!見かけたら買っておきたい日本酒
紀土(きっど) 純米吟醸生 しぼりたて(和歌山県:平和酒造)
フレッシュ感と日本酒の旨さを堪能できる。
琥泉 純米吟醸無濾過生酒原酒(兵庫県:泉酒造)
すっきりしているけれど、きちんと旨いのでどんどん飲める。
雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ) 純米吟醸 生酒(秋田県:齋彌酒造店)
旨味、コク、キレなどのバランスが非常に良い日本酒。
醸し人九平次 純米大吟醸 山田錦(愛知県:萬乗醸造)
「これぞ大吟醸!」を満喫できる日本酒。
獺祭(だっさい) 純米大吟醸 磨き二割三分(山口県:旭酒造)
獺祭のハイグレード版。獺祭の開発ストーリーや「磨き二割三分」の意味を考えながら飲むとより美味しく感じられる。
雁木(がんぎ) ノ壱 純米無濾過生原酒(山口県:八百新酒造)
香り高いのに食事にもよく合う不思議な日本酒。
仙禽 モダン 無垢(栃木県:株式会社せんきん)
最初のひとくちで十分に感じられる華やかさが魅力の日本酒。味もよく、飲んでいて飽きがこない。
仙介 純米大吟醸 無濾過生酒原酒(兵庫県:泉酒造)
筆者が冒険したくないとき、外したくないときに買う日本酒。
緑川 純米(新潟県:緑川酒造)
「東北の日本酒は美味しい」を裏切らない、完成度の高い日本酒。
田酒(でんしゅ) 特別純米酒(青森県:西田酒造店)
たくさん飲んでも不快な酔い方をしない日本酒。お酒に強いスーパーや百貨店などで購入できることも。
田酒(でんしゅ) 特別純米酒 生(青森県:西田酒造店)
田酒の新酒。果実感が増してフレッシュな口当たり。
スーパーくどき上手 純米大吟醸 備前雄町30 Jr.(山形県:亀の井酒造)
現代の醸造技術で作り上げたスーパー日本酒。狙ってここまで作れるのか、という驚き。情報量の多い名前はご愛嬌。
貰うと嬉しい!一度は飲んでみてほしい日本酒
日本酒はちょっと……と思っている人ほど飲んでみてほしい、日本酒の既成概念を変える可能性のある日本酒です。
冩樂(しゃらく) 純米吟醸 おりがらみ 壱(福島県:宮泉銘醸)
フレッシュで果実感あふれる日本酒。酔うけれど、酔わない。
飛露喜(ひろき) 純米吟醸 生詰(福島県:廣木酒造本店)
「美味しいでしょ!」というのがわかりやすい伝わってくる、パワー型の日本酒。入手困難。
花邑(はなむら) 純米吟醸(秋田:両関酒造)
「すっと飲める」を具現化したような日本酒。嫌なところがない。翌日以降は旨味系に変化。入手困難。
ソガペールエフィス ヌメロシス(長野県:小布施ワイナリー)
「まるでワインみたいな日本酒」という、お酒をお酒で例えてしまう禁忌を犯してしまうほど繊細な日本酒。入手困難。
ソガペールエフィス サケエロティック(長野県:小布施ワイナリー)
名前のとおり、妖艶な味。日本酒の新しい可能性。入手困難。
風の森 ALPHA TYPE1(奈良県:油長酒造)
美味しい日本酒をカジュアルに楽しみたいときに。バランスとコスパが抜群に良い。店頭での販売価格に驚く。
田酒(でんしゅ) 特別純米酒 山廃仕込(青森県:西田酒造店)
田酒の山廃仕込版。旨味が増して、飲みごたえがある。
新政(あらまさ) 白麹仕込純米酒 亜麻猫(秋田県:新政酒造)
クセになる特徴的な酸味。酸味のある日本酒の最高峰。入手困難。
本当に日本酒?変わり種日本酒
酒店で日本酒の棚に並んでいるけれど、普通の日本酒ではない変わり種を紹介します。
鳳凰美田 蜜柑(栃木県:小林酒造)
「みかんを使って極上のお酒を作れ」という課題に対する答え。極悪。
黒龍 貴醸酒(福井県:黒龍酒造)
食前酒として最適な貴醸酒。「日本酒で日本酒を作る」という構造に思いを馳せる。
せっかくだから美味しいお酒が飲みたい人に
世の中には2種類の人間がいて、ひとつは「お酒が飲める人」、もうひとつが「お酒が飲めない人」である、みたいな言い回しがあります。実際にはもう1種類存在すると思っており、それは「お酒が飲めるけれど諸事情でたくさん飲めない人」です。
たくさん飲めないからこそ、良いものを適切な価格で楽しみたい。そんな方にこのリストが届けば嬉しいです。