EDH Top16 を使って舞台座一家の料理人、ロッコ/Rocco, Cabaretti Caterer のトレンドを追う(2023/04-07)
これは何?
1年ほど前に EDH 舞台座一家の料理人、ロッコ/Rocco, Cabaretti Caterer のコンボの動きをまとめました。
1年たって様々な方がプレイする中で研究が進み、色々なテクニックが生まれカードの選択が進みました。直近は オークの弓使い/Orcish Bowmasters の登場でなかなか厳しい立ち位置にあります。
EDH 舞台座一家の料理人、ロッコ/Rocco, Cabaretti Caterer デッキを組んでみるとやれることが無数にあるだけにデッキをどうまとめるかに悩むことが良くあります。この記事では EDHTop16 に掲載され直近 4 か月で 2 勝以上を残しているデッキリストを追いかけ、デッキの主軸となるカードに対する認識をアップデートしつつ、主要なコンボルートのアップデートをまとめていきます。
調査方法
今回の調査対象期間(2023/03/01 - 2023/07/29)には 12 のデッキがありました。これまでの記事と同様に採用されているデッキの割合に応じて 4 つの枠で整理してみることにします。
必須枠(80 % 以上のデッキで採用されている)
優先枠(60 % 以上のデッキで採用されている)
選択枠(40 % 以上のデッキで採用されている)
調整枠(40% 未満のデッキで採用されている)
必須枠(80 % 以上のデッキで採用されている)
オークの弓使い/Orcish Bowmasters を考慮して最近はアーティファクトに一部を差し替える動きも進んでいますが、舞台座一家の料理人、ロッコ/Rocco, Cabaretti Caterer は 3-4 ターン目に 7 マナ程度を叩き出すことが求められるデッキであり、食物連鎖/Food Chain を含む 3 マナのキーカードが多数あることを考えると1マナのマナクリチャー群を抜くわけにはいかないというのが実情です。今後は 喜ぶハーフリング/Delighted Halfling も必須枠になるでしょう。
それ以外では 出産の殻/Birthing Pod 軸のコンボが共通のコンボパーツとして採用されています。ワイアウッドの共生虫/Wirewood Symbiote は 舞台座一家の料理人、ロッコ/Rocco, Cabaretti Caterer の再利用を可能にするユーティリティで、同じ役割を持ちつつ 波止場の恐喝者/Dockside Extortionist とのコンボを狙える ティムールの剣歯虎/Temur Sabertooth が追加で採用されています。
クリーチャーでサーチできるカードでこの枠に入ってきているのが 帝国の徴募兵/Imperial Recruiter のみというのも興味深いところです。全体の半数以上で 競技場の首長/Arena Rector や アカデミーの学長/Academy Rector は採用されておらず、任意の2枚コンボをタイミングを見て差し込む形の方が主流になっています。
学長s を除くデッキ内のサーチ手段は 8 枚程度となることが多いですが、帝国の徴募兵/Imperial Recruiter 含む 6 枚まではほぼ固定と言えそうです。
今回の調査期間では土地 27 - 30 枚に土地以外のマナソースが エルフの指導霊/Elvish Spirit Guide などの一時的なマナソースを含めて 18 枚 - 30 枚のマナ加速で構成されている 舞台座一家の料理人、ロッコ/Rocco, Cabaretti Caterer ですが、必須枠で共通化されている土地以外のマナソースは 喜ぶハーフリング/Delighted Halfling を含めて 16 枚程度です。選択枠以降では様々な工夫が見えて面白いところです。
優先枠(60 % 以上のデッキで採用されている)
学長軸を取らないデッキが何を積んでいるのかを見てみると、ここにある優先枠にあるユーティリティに枠に割かれているケースが多く見られます。中でも 最後の賭け/Final Fortune がこの枠に出てくるのは印象的でした。アロサウルス飼い/Allosaurus Shepherd は軽量で良いのですが、オークの弓使い/Orcish Bowmasters への脆弱さを考えると今後は数を減らしていきそうです。
これまであまり私は使ってこなかったのですが、村の鐘鳴らし/Village Bell-Ringer は半数以上のデッキで採用されていました。直近試していたのですがマナクリーチャーをアンタップしつつ出すことで、8 マナで成立する 2 枚コンボ(無限速攻トークン)と捉えると悪くないと認識を改めました。後述する追加されたカード群と噛み合いも良いです。
選択枠(40 % 以上のデッキで採用されている)
1年前と比べて最も大きな変化は 機械の母、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Mother of Machines でしょう。パンハモニコン/Panharmonicon でできた学長s を使ったチェーンコンボをサーチしやすいクリーチャーで動かすことができるようになったことは大きな変化です。
当時はサクリ台として 敬愛されるレンジャー、ミンスク/Minsc, Beloved Ranger が使われていましたが、魂力 で 堂々たる撤廃者/Grand Abolisher のロックを外すことができる 双弾の狙撃手/Twinshot Sniper に置き換わっています。狩りに出るビビアン/Vivien on the Hunt ルートでは 守護フェリダー/Felidar Guardian が2回誘発するためランドが生み出せる色の有色無限マナが発生するとともに本体を攻撃せずにダメージで勝つことができる点も見逃せません。
学長を経由しないケースでも、村の鐘鳴らし/Village Bell-Ringer で似たようなコンボを組むことができます。
守護フェリダー/Felidar Guardian と同じように 村の鐘鳴らし/Village Bell-Ringer が 2 回誘発するので、永遠の証人/Eternal Witness で任意のユーティリティを使いまわすことができます。双弾の狙撃手/Twinshot Sniper が何らかの理由で使えない状況になっているケースに重宝します。(基本的には無限トークンの戦闘で勝てますが、戦闘終了後に仕掛けないといけないこともあります。)
ここまでのカードを整理しても 100 枚のデッキにならないところが 舞台座一家の料理人、ロッコ/Rocco, Cabaretti Caterer の面白いところだと思います。プレーヤーごとの個性が最後の調整枠で良く出てきます。
調整枠(40% 未満のデッキで採用されている)
学長s をサーチのコアに据えているデッキは追加の生贄に捧げるためのカードをこの調整枠で確保しています。一方で学長を採用していないデッキでは追加の2枚コンボを採用したり、スタックス要素を追加することでコンボに入るための時間を稼いでいたりしています。2 勝出来ている割合は学長を採用していないケースの方が多いのですが、自由度が高いのでデッキをまとめる難易度は高くなる印象です。無理に多数のコンボを詰め込むよりも、ここまでに採用されているコンボから派生するカードを用いた選択肢に留めるのが無難だとは思います。
デッキサンプル(学長型)
舞台座一家の料理人、ロッコ/Rocco, Cabaretti Caterer を EDH で使い始めてから学長s をサーチの軸に据えた形でしかプレイした経験がないため、ここでは選択枠までのカードを優先的に採用したサンプルデッキを構築してみます。最初に学長を除いた部分の採用カードをまとめます。
一旦 83 枚のカードを選別してみました。
3マナ以下の土地以外のマナソース:23 枚
初手にあるとコンボを方向付けるカード:10 枚(12 枚)
ここから学長s を使いやすいようにカードを選択していきます。
学長軸の強み
EDH 舞台座一家の料理人、ロッコ/Rocco, Cabaretti Caterer において 競技場の首長/Arena Rector や アカデミーの学長/Academy Rector を採用する利点はダメージ系の除去カードをコンボ起点としても利用できるところだと考えています。最近の EDH では オークの弓使い/Orcish Bowmasters や 敵対工作員/Opposition Agent などのシステム系クリーチャーが幅を利かせているため、こうした軽量ダメージ呪文に別の意図を持たせることができる点は大きいと考えています。また 輪作/Crop Rotation が ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle だけでなく、高級市場/High Market をサーチできるようにすると起点にもなることができます。
今回のリストには出てきていない火力呪文である 死亡+退場/Dead+Gone は 先に出されてしまった 機械の母、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Mother of Machines を安全に処理できるモードを持つ点が非常に便利です。炎の印章/Seal of Fire は先置き出来る火力である点が気に入っています。また、双弾の狙撃手/Twinshot Sniper がゲームから取り除かれてしまっている場合に、村の鐘鳴らし/Village Bell-Ringer + 機械の母、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Mother of Machines ルートで任意のクリーチャーが出せるようになった際には、アカデミーの学長/Academy Rector を 激情/Fury で除去してサーチすることで無限ダメージに入ることができます。
マナ基盤
競技場の首長/Arena Rector が 4 マナかかることを考慮すると、3マナ以下の土地以外のマナソースが 26 枚は欲しいと考えています。コンボ最優先で突っ込まないといけない際に 1>3>4>7 と動きたいことを考えると、2ターン目の動きを円滑にするためにも初手で出すことができる土地以外のマナソースが最低でも 14 枚は用意しておきたいです。
ここまでのリストで 13 枚が採用されているので、あと1枚に何を用意するかが悩ましいのですが、今回は モックス・ダイアモンド/Mox Diamond を選びました。楽園の拡散/Utopia Sprawl も悪くないのですが森を用意することに苦労するケースが少なくなく今回は外しています。また3ターン目まで確実に土地を置き続けたいことを考慮し、32 枚の土地を採用することにしました。観客席/Spectator Seating は暫定的な物であり、緑が出る 3 色以上の 案タップ土地があれば切り替えたいところです。
3マナで 2 マナ以上のマナを生成できるクリーチャーの候補としてはこれまで ソンバーワルドの賢者/Somberwald Sage が最有力でしたが、さすがにタフネス 1 が厳しすぎるので、ガイアの眼、グウェナ/Gwenna, Eyes of Gaea と 失われた業の巫師/Shaman of Forgotten Ways に差し替えました。
サーチ or ドロー
ロッコは性質上 敵対工作員/Opposition Agent や エイヴンの思考検閲者/Aven Mindcensor などのサーチをとがめるカードに刺さりやすく、ロッコ + 何らかのコンボパーツを素引きするという形に持っていきたいところです。デッキの中のサーチは 8 枚程度に抑えたいと思っており、最後の 1 枚は 食物連鎖/Food Chain にアクセスできる 牧歌的な教示者/Idyllic Tutor を取りましあ。また 4-5 ターンでコンボを決めるような流れになるのであれば強力なドローソースになる 一つの指輪/The One Ring を採用しました。機械の母、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Mother of Machines 配下であれば、守護フェリダー/Felidar Guardian ルートで無限ドローも可能です。
調整枠
残り2枚は色々と差し替えながら今も試しています。今はコンボの起点にもなる 背信のオーガ/Treasonous Ogre と追加の置物対策として 自然の要求/Nature's Claim を採用しています。
まとめ
ここまで EDHTop16 を参照して 舞台座一家の料理人、ロッコ/Rocco, Cabaretti Caterer のトレンドを追い、サンプルとなるデッキリストを作成しました。クリーチャーが多めで全体的に丸いカードが多いリストに仕上がっていると思います。
デッキリスト
新しいカードを取り込みやすい構築し甲斐のあるジェネラルだと思いますので、引き続き触っていきたいと思います。新しい発見があればぜひ教えてください。