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プロローグ【星座】
「人は死を認識できないが、強く意識する」
「だれもが、必ず最後する経験……」
アスクレーピオスは、呼吸を意識した。
出来るだけ深く吸い込み、出来るだけ長く吐き出した。
頭頂から、胸に刻まれた蛇の痣は、そのアギトを心臓の上で綴じている。
子供の頃……師匠の背に乗せてもらい世界中を旅した……。
「私の愛おしい弟子よ」
「山の数えかたを知っているかい?」
「ひとやま、ふたやま でしょうか?」
「我が弟子よ、山の単位は『座』なのだよ」
「昔から、人々の山は信仰の対象として崇められる」
「神が座られている姿を連想してるのだろうね」
「……ししょう、やまが、かみなのでしょうか?」
「てんじょうのかみが、
やまに、おすわりになられるのでしょうか?」
「ほぅ……我が弟子の想像力は、とても興味深い」
「将来が楽しみだな……」
「我の誇らしき弟子よ」
「見たまえ山の奥の空を……」
夕焼けがその一滴を山に滲ませたその空には、
小さくも美しい一番星が生まれていた。
「今夜は、『星座』の話でもしようか……」
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