valorantにおけるマクロとは
私はValorantリリース当初から世界中の大会を観戦、分析を繰り返し常に世界トップの戦い方を習得しています。 単純な知識ではなく全ての動きの理由を調べて構成の核となる動きからエリアごとのアプローチの理論づけを行っています。そんな私がvalorantの観戦、分析を通して得たマクロを根本から解説したいと思います。
いきなり結論から言ってしまうと答えは再現性です。再現性とはなにかというと自分たちの最適解をパターン化するということです。正直これを聞いてもピンとこないと思うので砕いて説明します。
再現性を構築する3つの要素について解説します。定跡とレスポンスとアンサーです。1つ1つ解説していきます。
定跡について
跡とはラウンド開始1:40からの決まった動きについてです。例としてGEN.Gのロータスディフェンスをあげます。ロータスというマップの特徴としてAメインの価値が高いことがあげられます。主な理由としてAセットが止められないこと・Aメインリテイクが難しいこと・Bにつなげられてしまうことがあげられます。このことからGEN.Gは開幕Aメインを取りに行きます。このとき1番されたくない動きとしてCラッシュがあるためセットをキャンセルできるヴァイパーをCにおきます。(図1参照)
この後はカーテンを生かしながらAを高めで守り人数をスライドさせます。よくある形としてはキャンセルを使い切ったオーメンを残し他をスライドさせる形があります。
このマップごとに出したアンサーから導き出された序盤の配置~動きの部分を定跡といいます。これは攻めでも存在します。
レスポンスについて
レスポンスとは相手のアクションに返すアクションのことです。レスポンスはラウンドの有利をつけるチャンスですがこの2つの精度が悪いと相手に大きなアドバンテージを渡してしまいます。レスポンスの大事な要素として速度と正確さがあります。レスポンスを高めるためには大きく分けて二つの方法が存在します。1つはIGLが全部指示する方法です。もう1つはチームとしての意思を共有しておくことです。これは次に説明するアンサーとも深く関係する部分ですがチームとしてのエリアの守り方、優先順位、レスポンスのパターンを事前に共有しておきます。エリアのアプローチにはチェック・ホールド・ファイトがありアクションのパターンごとに決めておくことができます。自分たちはどこでファイトを狙っているのか、自分の立ち位置の正解は何なのかを事前に共有しておく必要があります。
レスポンスには攻守で異なることも多いため2つの立場で例を出しながら解説します。
攻めのレスポンス
攻めのレスポンスで最も大切なことは配置です。EDGは非常にレスポンスに長けたチームであり特徴的なチームです。EDGのサンセットを例に出します。EDGは1・3・1の配置をメインで取りBメインを開幕取りに行きます。そのあとAメイン手前Bメインミッドを保持しながら時間を使います。(図2参照)
このとき相手がBメインのリテイクをとってきたとします。EDGは相手のプッシュを抑えられるラインで止めその後手薄と分かったエリアを速攻で奪いに行きます。(図3参照)
相手はBのリテイクに人数をかけているためレスポンスに対応できません。
このようにアタッカーサイドは持っているエリアと配置で出来るレスポンスが広がります。相手のエリアテイクを常に把握しておく配置をとりチームとして強いレスポンスを共有しておくとラウンド取得につながるアドバンテージを握ることができます。
しかし注意点としてアタッカーがレスポンス主軸で戦うのは非常に難しい(気になる場合はsoopのsentinels参照)ので相手のエリアテイクを常に把握しておくことと簡単なレスポンスを共有しておく程度であとはアンサーを軸で戦うのが理想です。
守りのレスポンス
守りのレスポンスの基本はローテとファイトです。エリアアプローチのチェック・ホールド・ファイトと深く関係します。まずローテについてです。Valorantの初歩的な技術であり絶対に存在するレスポンスです。このローテというレスポンスなにげなく行うだけではな効果を最大限発揮できません。誰がどのタイミングでどのような条件でローテをするのかを決める必要があるのです。
レスポンスのタイミングは基本的に自分たちのコストが奪われた時です。Valorantには人数・スキル・エリア・時間の4つのコストが存在します。人数とエリアはイメージしやすいと思います。スキルに関してはセットをキャンセルできるアビリティーによって左右されることが多いです。これらのコストを失ったタイミングで適切なレスポンスを返さないとうまく守ることは出来ません。
次にレスポンスの条件と誰がについてです。タイミングがローテの速さのカギだとしたら条件は正確さのカギになります。これらは基本的にアンサーとアンカーで決まります。ざっくり言うとどんな状況でも対応できる配置をとることです。
このサンセットを例に考えてみます。相手がAメインテイクの場合オーメンはチェックしていたエリアをギブし代わりにKAY/O・ネオンを寄せます。このときサイファーのワイヤーが壊されていないので陣形を崩さずローテすることができます。このあとは別の場所にアクションがあったらローテすることになります。
Bメインをテイクしてきた場合はAメインをオーメンが1人でチェックできているのでネオンを寄せることができます。サンセットBはファストリテイクを考えたいのでタピオカとマーケットの死守を狙います。
相手がマーケットを狙ってきた場合Aメインをオーメンが1人でチェックしKAY/Oはミッド抜けをチェックします。マーケットはパラノイアなどのスキルが飛んできた際守ることができないので一旦チェックを外し引きます。その後相手のアクションを見てカメラと合わせてリテイクを狙います。
簡易的な説明でしたがイメージはできたと思います。最初に説明した定跡から繋げて相手の起こせるアクションのレスポンスを共有しておくことは世界トップと戦う上で必須です。
誰がアンカーをしてどのような条件で何のレスポンスをするのかマップごとに共有しておく必要があります。
よく発生する過ち
ここまででレスポンスの大切さについて理解していただけたかと思います。ここからはレスポンスの意識が薄いがゆえに起こってしまう過ちを紹介します。
この図の守り方大会でもたまに見ることがあります。本来Aメインを守るのに3つのラインでレスポンスを返すことができます。しかし図の守り方だと黄色のラインでしかレスポンスを返せずどこまで取られているかもわからないため適切な対応ができません。レスポンスを返すためには相手のアクションを視認する必要があることを忘れてはいけません。
アンサーについて
3つ目の要素であるアンサーについてです。この要素は説明した2つの基盤にもなっている要素です。このゲームは強いスキルと簡略的なマップの二つの要素からセットをくらうとサイト内が崩壊してしまいます。なのでマップごとにどうやって守るかの答えが必要になってきます。サイトの前でファイトするのか、セットに対してどのように対応するのか我々はどういった方法で守るのかの答えを出すことが大切です。
アンサーは全てのマップに存在しますがここではバインドを紹介します。
バインドというマップではサイトまでにシャワー・Aショート・フッカーBロングという4つのエリアが存在しますが、全てのエリアの主導権が守り側になくエリアをホールドすることができません。(様々な疑問があると思いますがここでは説明を省きます。) なので図のようにすべてのキャラがキャンセルアビリティーを持っている構成がメタになっています。
この構成はエリアを高めでチェックしながら相手のセットをキャンセルするというアンサーで戦います。ただでエリアを渡すのではなく相手のコストであるスキルと時間を使わせるために高めのチェックをしてプレッシャーをかけます。
Bセットの場合相手のセットにはキャンセルアビリティーを使い止めます。このときキャンセルアビリティーの残っているプレイヤーをBに寄せ守りを固めます。キャンセルアビリティーを早い段階で使わされると守れないのですポイズンクラウドを利用し時間を使わせることが大切です。
Aセットの場合は設置に対してアビリティーを打ちます。相手のスモークが切れるまでの時間を稼ぎながらバックサイトをホールドします。バックサイトは強い射線組が可能であり相手のプラントにキルプレッシャーをかけることができる優秀なエリアなので人数をかけて保持します。
攻めの場合は自分たちがされて嫌なこと(Bのエリアを時間かけずにテイクするなど)を軸に戦います。
長くなってしまうのでこの例で全てを書くことはできませんがここからは自分たちのファイトラインはどこか、エリアの優先順位はどのような順か、エリアへのアプローチは何なのかと決めていきます。自分たちがこのマップをどのようにして戦うのかのアンサーを出しチームで共有することが大切です。
自分たちがマップをどのようにとらえどのように戦うのかを突き詰めると全ての動きスキルに意味が生まれます。これがアンサーです。
まとめ
説明した定跡・レスポンス・アンサーの3つを共有して戦うとラウンド間でのプレイヤーの判断に正解が生まれるようになります。落としたラウンドに明確な理由が生まれます。常にチームが不利を背負わず有利を広げるためには再現性のあるマクロが不可欠なのです。
この再現性(定跡・レスポンス・アンサー)は正しいマクロの土台となる部分であり言わば考え方の部分です。この土台がないと試合から意味を得ることが出来ずただの勝利・敗北だけになってしまいます。
私は世界中の大会を何週も分析しトップチームがこの土台の部分をどうとらえているのか共通した考えは何なのかを研究してきました。世界トップの考え方知識を保持しています。マップごとの考えかたも直接お話しできたらと思います。ご連絡お待ちしております。