君たちはどう生きるか、FF16、そして米津玄師のこと（雑記）
「君たちはどう生きるか」観てきました。
ひとつは事前情報ほぼ無しで観る映画の予測不能な展開の面白さ、ふたつは映画館のスクリーンで観るジブリアニメーション。これだけで充分すぎるくらいに楽しめた。その上で物語の構成だとか宮崎駿の作家性とかいくらでもつつけるところはあるんだけど、そういうのはぶっちゃけどうでもよくて、ただひたすらに「俺はこう生きた」ともいうべきオールジブリ総進撃、あるいは宮崎駿ユニバースともいうべき映像の連続に度肝を抜かれ、ものすごい勢いで風呂敷を畳んで終わったしまった。呆気にとられているうちにスタッフロールで流れる異様に豪華なキャスト陣（誰がどの役をやっていたのか一見するとまるで分からない）と米津玄師の主題歌を聴いて劇場を後にしたのだった。明確なメッセージ性はなく、かといって痛快なエンターテインメントでもなく、そこにあるのは悩める作家が苦心して生み出した言いようのない作品で、観客はジブリ映画の最新作だったり、あるいはアニメ界の巨匠の締めくくりだったり、各々が好き勝手な受け取り方をして劇場を後にする……そんな映画だった。
今振り返ると華やかな躍動感というのはほとんどなく、泥だらけになって這いつくばったり、波に揉まれながら船を押したり、魚の腹に包丁を入れて血と内蔵でドロドロになったりとやたらと泥臭いシーンばかりが思い浮かぶ。冒険活劇ファンタジーと銘打っていながら、ラピュタや千と千尋の神隠しみたくエンタメ的な爽快感は皆無に近い。一番感覚が近いのは宮部みゆきのブレイブ・ストーリーだろうか。あれも映画化された当時に観に行ったけど、あまりにも原作を乱暴に編集したような内容に仕上がっていたため非常に裏切られた気持ちになったのを思い出した。「君たちはどう生きるか」も巧い映画とは言い難いが不思議と嫌いにはなれない。だけど人にオススメするのも気が乗らない。何ならインターネット上の感想を読むことすらどうでもよいと感じる。
だから単独の作品としては過去のジブリ映画の方がまとまってるし、何より「風立ちぬ」が宮崎駿の最高傑作であるという俺の評価は揺るがないのだが、それはそれとしてこの「君たちはどう生きるか」もものすごく好きである。
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発売日に購入した「ファイナルファンタジー16」をようやくクリアした。プレイ時間は40時間。FFの正当なナンバリング作品をリアルタイムで遊ぶのは実は初めてである。プロデューサーの吉田直樹氏の評判と主題歌を担当した米津玄師（また米津玄師だ！）がきっかけとして大きい。
結論から言うと「途中から思ってた味付けと違う料理になったが、それはそれとして超豪華なメインディッシュを出してきたのでまあまあ満足」といった感想におさまった。
体験版の内容からてっきりゲーム・オブ・スローンズやロード・オブ・ザ・リングのような骨太なファンタジー大河を期待していたのだが、中盤以降からは「人対神」という日本産RPGあるあるな構図にもつれ込んでいくので色々と戸惑った。被差別階級の問題とかインフラ資源の破壊とか……「この解像度でやるならその辺しっかりせんといかんのちゃうか？」と言いたくなるも「まあこれ洋ドラじゃなくてファイナルファンタジーだしな……」と自分を納得させていたフシはある（とはいえ俺は原ファイナルファンタジー体験に乏しいためパブリックイメージでしかないのだが）。
アクション部分は非常に楽しいものの、戦闘中にアビリティを付け替えられなかったり仲間との共闘感が薄かったりフィールドに非常に閉塞感があったりサブクエストがお使いばかりだったり終盤ずっと辛気臭くて暗い展開が続いたり言いたいことはめちゃくちゃあるのだが、召喚獣バトルとラスボス戦の異様な盛り上げ方だけでチャラにできる程度には面白かったのでかなり良かったです。
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それにしても米津玄師である。君生きもFF16も米津玄師が関わっており、またしても米津玄師に人生の先を越された感覚があり、歯噛みする日々を送っている。
人生のステージを進むに従って、映画を観る本数が減ったり、ゲームする時間が削られたり、ライブにも行けなくなったりと、エンタメからは遠ざかりつつあるのを自覚しているが、それにも関わらず、米津玄師は事あるごとに俺が歩いている道の延長線上に立ち塞がっているのだ。何なんだよこいつ。いつも周りをウロチョロと……俺のことが好きなのか？
米津玄師と言えば、メジャーデビュー直後に公式サイトで公開された米津直筆の漫画のことはあまり知られていないと思う。まあこれは漫画というよりも絵本や寓話というべきものなのだが、あの自分だけのジオラマづくりにせっせと精を出していた米津が、いまや大ヒットコンテンツに根幹から関わる国民的アーティストになっている現状は本当に異常事態だと常々感じるところである。
（終わりです）
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