【ニンジャ自由研究】固形オキアミ栄養バーについての考察
この記事はニンジャソン夏2020「ニンジャ自由研究」の応募作品です。
研究のきっかけ
ニンジャスレイヤー劇中で食べられている「固形オキアミ栄養バー」「オキアミ・バー」がどういった食べ物なのか知りたかったから。
事前調査
まず初めに、我々の世界で知られているオキアミについて調べることにする。
オキアミは、軟甲綱 真軟甲亜綱 ホンエビ上目 オキアミ目に属する甲殻類の総称。プランクトン(浮遊生物)であるが、体長3~6cmなのでプランクトンとしてはかなり大きい。
全て海産で、その大部分が外洋の表層から中深層を遊泳して生活するプランクトンである。多くの場合、幼生はやや表層で生活し、成熟に連れて次第に深いところへ移動する傾向がある。また、浅海生のものは日周鉛直運動をする。プランクトン食とされ、種によって動物プランクトンか植物プランクトンのどちらを主食とするかが決まっているらしい。ナンキョクオキアミは南極海において非常に大きな現存量を持ち、生態系全体に大きな影響を持つキーストーン種である。(一部Wikipediaより抜粋)
特に有名なのはヒゲクジラ類の主要な食料となっていることや、釣り餌としても利用されていることだろうか。人間が食べる食材として卸されてもいるが一般のスーパーの流通は少なく、どちらかというと釣具店で販売されている冷凍のオキアミブロックの方が有名。その極めて高い増殖率と現存量からか、ほんやくチームのアナウンスンーでも比喩表現として言及があった。
調査方法
まず初めにオキアミ・バーについて、ニンジャスレイヤー本編内での初出の確認を行うため、Twitterの検索欄に
@njslyr オキアミ since:2010-7-24 until:2020-8-14
を入力し、連載開始から現在に至るまでの間に「オキアミ」のワードで検索を行った結果、初めて「固形オキアミ栄養バー」という言葉が登場したのは『スピン・ザ・ブラック・ヘイズ』であった。ケモビール、スシ・パックと合わせてブラックヘイズに「長期滞在のカウチ・ポテト」と評された。
ちなみに「オキアミ」の初出は『フジ・サン・ライジング』で、劇中に登場するパック茶碗蒸しの具として使われていた。「オキアミが申し訳程度に入っており、甘い」とのこと。
また、『フー・キルド・ニンジャスレイヤー?』ではフジキドが食べるスシネタに「オキアミ」がある。
『タワー・オブ・シーヴズ』では「俺はトビッコやら、オキアミのレーションやら、貴様らの食べるものは好かん」というウォーペイントの台詞がある。
にわかに「オキアミ・バー」が存在を示し始めたのはAoMシーズン3以降。マスラダとコトブキの非常食として取り出された他、ザックに「クールな食べ物」として挙げられている。UCAにて支給されているオキアミ糧食も恐らく同様の食べ物であろう。
また、「ウォーカラウンド・ネオサイタマ・ソウルフウード(1):ドンブリ・ポン」において、「オキアミ・バー」はネギトロ・ポンのトッピングになっている(本数は客が選べるらしいが追加料金が発生するかは不明。店員曰く「2個で充分ですよ!」)。エーリアスが注文した「ミックス・ポン・ドンブリ(大)」にも2本のっている描写がある。
カウンターに載せられたドンブリを前に、俺は凍りついた。コメの上に交互に幾重にも重ねられて山のようになっているのはミステリー・ミートとネギトロ・マグロだ。その上から、ゼリー状の脂肪分ときつい赤色のソースがかけられている。ドンブリのふちにはトッピングとして二本のオキアミ・バーが差し込まれ、存在を力強く主張している。俺はドンブリを手に取り、引き寄せた。ずしりとした重量感があった。食いきれるか? 否、愚問だ。さっき俺に舌打ちした客と目が合った気がした。俺は試されているのだ。これは戦いだ。やってやるよ……!
引用:ウォーカラウンド・ネオサイタマ・ソウルフウード(1):ドンブリ・ポン より
まとめ
以上の情報をまとめると、「固形オキアミ栄養バー」もしくは「オキアミ・バー」とは、粉末状のオキアミを生地に練り込んだ高カロリー栄養食であると考えられる。また、劇中でオキアミ自体が代用タンパクと並ぶ扱いであったり、「質素なオキアミの粥」という表現があることから、極めて安価な食材であることが考察できる。
ザックが「クールな食べ物」と評したのは、インターネットが禁止され現代文明が惰弱とされているネザーキョウ内において、その手軽かつ効率的に栄養やカロリーが摂取できるオキアミ・バーが都会的・文明的な食料として目に映ったからであろう。
実際に作ってみる①
材料
①干しエビ(アキアミ):30g
②サラダ油:40g
③卵:1個
④白だし:10g
⑤小麦粉:70g
調理前考察
・現実の高カロリー栄養食であるブロックタイプのカロリーメイトを参考に、エビを使用したショートブレッドとして調理する。
・オキアミについては、近場で販売している店がなかったので干しアキアミで代用した。
調理方法
①干しエビを麺棒などで粉々にしてエビ粉をつくる。
②ボールにサラダ油、卵、白だし、小麦粉、エビ粉を入れて良く混ぜ合わせる。
③混ぜ合わせてできた生地をラップで包み、20分冷蔵庫で寝かせる。
④冷蔵庫から取り出したら形を整えて切り分ける。フォークなどで表面に穴を空けたら180℃に熱したオーブンで15分ほど焼き上げて完成。
「固形オキアミ栄養バー」完成品
試食結果
超濃密な濡れせんべい(エビ味)っぽい。一見すると揚げ物感があるが、食べてみるとショートブレッドらしいしっとりさがある。今回はエビ粉と小麦粉の配分を3:7にしてみたが、かなりエビ味の主張が激しいのでもっとエビの量を減らすと食べやすくなると思う。
反省点としては、より成形食品らしさを出すため干しエビをもっと粉末状まで砕けばよかった。本当はカロリーメイトのような棒状にしたかったが、想像以上に高カロリーに仕上がったので一口サイズで切り分けて正解だったと思う。おやつに食べるには凶悪すぎるカロリー量なのは間違いない。
実際に作ってみる②
せっかくなので「ミックス・ポン・ドンブリ(大)」も再現してみることにした。
描写によるとミックス・ポン・ドンブリにのっているのはミステリー・ミート(牛コマの醤油煮)とネギトロで、その上にゼリー状の脂肪分ときつい赤色のソース、強烈な緑色に染まったツケモノが付け合わせになっている。「コメの上に交互に幾重にも重ねられて山のようになっている」とあるので肉とネギトロがミルフィーユ状にかけられているのかもしれない。ソースについてはポン酢のジュレで、ツケモノは市販の漬物食品で代用した。内容物は以下の通り。
ご飯(大盛想定):300g
牛コマの醤油煮:100g
ネギトロ:100g
オキアミ・バー:2つ、ないし4つ
ゼリー状の脂肪分ときつい赤色のソース(ポン酢のジュレで代用)
強烈な緑色に染まったツケモノ(市販の漬物で代用)
「ミックス・ポン・ドンブリ(大)」完成品
緑色がツケモノにしか存在しない食事となった。自作したポン酢のジュレが思ったより大人しい色になってしまった。クラッシュも荒めだったのでもっと粉々にするべきだったと思う。本文中には辛味もあるという事だったのでトウガラシ系の調味料も入れるべきだったかもしれない。ちょこんとドンブリから顔を出したように見える2つのオキアミ・バーが愛らしい。
試食結果
それぞれの具材はちゃんとした味付けなので普通に美味しい。が、米よりも圧倒的にオキアミ・バーがキツい。よくよく考えると大盛りの丼ものにカロリーメイト2本がブッ刺さってるようなものなので、かなりヘビーな食事である。おまけに濃厚なエビ味がネギトロの味を完璧に中和するので牛をおかずにバーを食べるという事態に。しかもバー自体はおかずにならないため米との食い合わせがかなり悪い。大半の牛コマがオキアミ・バー消費に持っていかれてしまった。オキアミ・バーは本当に2個で充分ですよ。
振り返ってみて
今回は初の調理で全て手探り状態だったが、食べられるものができたという意味では成功だった。ただ、劇中で「オキアミ・バーを崩してコメに混ぜた」という表記があるのでオーブンの温度や加熱時間を調整してもっと柔らかく仕上げた方が良かったと思う。
「ミックス・ポン・ドンブリ(大)」については食事というよりカロリー摂取といった方が近い。使った食材をもっと別に使った方が有意義な生活を送れると思う。だが疑似的なエーリアス体験ができたのが大変良かった。ネオサイタマ労働者は過酷な世界をサヴァイヴするために、瞬間的なエネルギー供給をドンブリ・ポンに、オキアミ・バーに求めるのだ。
あなたも刹那的な多福感と短絡的な満腹感でディストピア世界の労働者の気分を味わってみるのはいかがだろうか。
引用記事:ウォーカラウンド・ネオサイタマ・ソウルフウード(1):ドンブリ・ポン
(終わりです)