刀剣乱舞月刀剣縁桐 ネタバレ感想
就任2年生のにわか審神者による感想です。
ネタバレ考慮しませんのでご注意ください。
とうかぶ見に行きました!
刀剣展示のコラボはもう何度も見に行っているのであまり実感がなかったのですが
実は舞台もミュージカルも見に行った事がなかったので、
これが初イベント参戦です!
もちろん歌舞伎自体も初めてだったので、変に緊張していました…!
新幹線で東京→銀座→東銀座→新橋演舞場。20分足らずで行けるので東京は交通の便がよくてありがたいですね!
開演40分前位に並び始めたのですが、長蛇の列にも関わらずサクサク進みます。体感10分くらいで入れたと思います。
入ってすぐ予約していたイヤホンガイドとお弁当を受け取り、筋書を購入後、次に2階のグッズ売り場へ。
用紙に欲しいものをチェックして、レジへ…と、ここでだいぶ時間がないことに気がつく。20分で購入まで行けるのか?と焦りつつ、並んでいたのですが…購入できたのは開演2分前。席に着いた瞬間開幕しました。
開始前にもイヤホンガイド、それから歌舞伎の説明が入ると聞いていたのですが、全く聞けませんでした…。残念。本当に忙しい上、売店は開幕前と幕間にしか開いていないのでちゃんと動きを考えて臨まないと難しいですね。
歌舞伎について本当にミリしらで、実は台詞も古風な言い回しで何一つ理解できないで、終始宇宙猫になって乗り切るしかないのでは?とすら思ってました。
でも全然そんなことありませんでした。
最初審神者(声のみ)が喋り始めた時すごく安心しましたね。わかる言葉で話される安心感。そのくらい不安を持っての参戦でした。
確かに歌うように語られる台詞回しに分からない部分もありましたが、タイミングばっちりにイヤホンガイドで説明が入るので心強かったです。予約しておいて良かった。
役者さんの出と引っ込み、見得、などで拍手が頻繁に響くのも少し特殊な環境かなと思いました。私の参加した回では大向こうが聞こえる事はありませんでしたが、拍手の多さだけでも客参加型の舞台の空気感が味わえました。
余談ですけど審神者の声が厳しめだったので、歌舞伎本丸の皆は常日頃からピシッと規律ある生活を送っているのかなと想像してみたり。
初めの三日月宗近が三条宗近に打たれるシーンでは音楽と槌を使った舞で鍛治を表現。
ミリしらな私ですが歌舞伎に対して持っていたイメージ通りのシーンから見せて貰えたな、という印象でした。
難しいことを考えず単純に見ても美しい舞は世界観に入りやすいと私は思っているので(勿論、一つ一つの動きが何を表現しているのかを理解したら数倍楽しいとは思いますが)、“歌舞伎”を見にきた!という実感が湧きつつも、初心者を歓迎されている様に思いました。
小狐丸の逸話を題材にした“小鍛冶”が歌舞伎の演目にあるというのは知っていたので、三条宗近が刀を打つシーンはきっと、古くから培われてきた知識が詰まっていたのかもしれません。小鍛冶の演目を見てからだともっと面白いだろうなあ。でもとうかぶ公演の次に行われる小鍛冶とか土蜘蛛は混みそうだなあ…。
出陣前の名乗り、はちゃめちゃにかっこよかった…(語彙消失)。
歌舞伎では出端(では)というらしい?ですね。
ステやミュでは原作通りの台詞を少し変えて名乗るのが多そうですけれど、歌舞伎に合わせて長めの口上が新たに作られていました。バックでそれぞれの近侍曲が流れ、盛り上がります。
私は同田貫が好きでとうかぶを見に行ったのですが、名乗りで古刀、平安刀に囲まれているのにようやく気が付きました。
長い歴史のある刀に割って入るのを「恥ずかしながら」と言う名乗りは奥ゆかしさと、負けん気のある茶目を感じてグッと引き込まれました。
荒々しい刀を配役したくての同田貫、だとお聞きしましたがありがとうございますほんと…。声も人一倍低くいらして男らしさが良い…。
物語として過去に飛んだ刀剣男士たちが監視対象者の下に就くと言う展開はままありましたが、今回は頑なに就こうとしなかったのが私的にありがたポイントでした。
審神者以外の人を主とするのはまだ少し抵抗感がありますね。そのうち慣れるのかな。
兎角、刀剣男士達による舞がすごく印象的でしたね。同田貫と膝丸が特に足拍子が力強くて、大変好みの舞でした。
一差し請われて即座に舞える雅さと、益荒男らしい勇ましい姿とのギャップ!刀剣男士の良さが詰まった一時…!
小烏丸が榊と扇で舞ってくれるのも原作成分があっていいですね!
配役の都合で小狐丸と髭切は見られませんでしたが、きっと優美な舞を披露してくれたはずなので…是非見てみたかったですね!
異界の翁扮する果心居士を訝しむ源氏兄弟のシーンでは、煽られた膝丸が何度も頭に血を上らせて斬りかかろうとすると、それを穏やかに手で制止する髭切。
\さすが兄者!/
果心居士が退場していく様にわなわなと手を振るわせている膝丸も血気盛んで良かったです!
原作の髭切は語尾が優しくて柔和な雰囲気を纏っていますが、歌舞伎の台詞回しだと終始凜とした印象になりますね。
\かっこいい兄者!/
幕間前、物語は元の主である足利義輝との対話でシリアスな場面だったのですがガラリと空気が一転してギャグシーンに。
古刀だと煽る同田貫、膝丸と対峙する小烏丸の構図。喧嘩腰の小烏丸は貴重ですよね!武器としての一面が垣間見えた気がします。
その後のシーンでようやく小狐丸と髭切が登場。小狐丸が想像の倍もふもふでかわいいです!
ここで髭切に名前を忘れられられる膝丸が見られたのですが、今にも泣きそう、というかもう泣いてそうな涙声が…w
うう、と落ち込む膝丸に近づく同田貫。慰めると思いきや鞘でつついてましたw
この二人が仲良しなの良いですね!
更に壊してくる三日月。小狐丸と髭切に「あまり見ないがどうした」と言ってしまうのすごく笑った。忙しいから!忙しくさせたのはお前だろう!とそれに便乗する同田貫含め3人に詰められる三日月。客席の審神者にも話しかけると言うメタなことまでありました。
そういえば髭切は三日月の名前を呼んでいたので、歌舞伎本丸の髭切は名前を忘れるのは弟限定なのかも!
伝統的な歌舞伎というコンテンツを前にして緊張していましたが、肩の力が抜けました。役者さん達も楽しそうでした。
幕間は席で飲食可能なのでお弁当食べました!
写真だと多そうで食べ切れるか心配でしたが、実際丁度良い位でした。
アイスは朝から売り切れていたので残念です。
幕間中もイヤホンガイドは流れ続けていたのでずっと耳に入れっぱなしで過ごしました。三日月も「歌舞伎か。あれは良いものだ」と話してくれます。
イヤホンガイド、歌舞伎では花道を下に抜けていくのは人ならざるものを象徴している、とかこの楽器は何を表現している、だとか役者さんが出るたびお名前と屋号は…等々様々な知識を教えてくれます。
物語の説明も事細かに教えてくれるので、分かりやすくて良い!のですが、やっぱり舞台とイヤホン両方だと情報が多くて混乱することもありました。
余裕があれば一度目はイヤホン有り、二度目はそのまま観劇するのが一番楽しめそうです。
今回は朝にグッズを買えたので幕間は余裕がありましたが、お弁当食べてから並ぶとなると20分程度しか余裕がないので、時間配分が本当に難しいですね。
後半で怒涛のシリアスラッシュ…。松永久直が陰腹を切って、父の弾正へ謀反を促すシーンは、胸にグッとくる悲痛な演技に泣けました。
陰腹を切る、は歌舞伎での盛り上げる為の演出方法の一つらしく、とても勉強になります。
そういえば、紅梅姫が三日月に恋心を打ち明ける場面がありました。歴史上の人物が歴史通りの恋物語を行うメディアミックスは多々あれど、刀剣男士に対して色恋を扱うのは少し珍しいのかな、と思いました。(普通に考えたらあんなに眉目秀麗才色兼備な刀剣男士に惚れないのはおかしいのだけれど…。)
つまりは、この作品を作り上げる際に赤姫、歌舞伎の常套的な手法を観客へ見せてくれようとした一幕なのではないかと受け取りました。
コラボ作品は私のような歌舞伎初心者が来ることが多いので、分かりやすく、かつ昔から続けてきた様々な定型表現を教えてくれようと、練り上げてくださったのだろうなと頭が下がる思いです。
待ちに待った戦闘!では、舞台の勢いよく行われる殺陣とは違い、音に合わせて流れるように刀を振るうスローテンポな動き。歌舞伎でも殺陣と呼ぶそうですが立廻りと言った方が合うかもしれません。
ゆったりとした動きの中にもアクロバットな動きが入ったり、緩急のある音響、異界の翁と媼の使う蜘蛛の糸等の小道具が大胆に使われ、迫力が感じられます!
見得を切る時もじっくり時間をかけていると思ったので、一つ一つの動きをしっかり集中して見せるのが歌舞伎の舞台なのかなと知識がないながら思いました。
役者さんが花道から退場する際、一度足を止めてから足拍子を少しずつ早めて去る引込みも好きでした。観客から贈られる大きな拍手も相まって華やかさがあります。
歌舞伎は伝統的な手法だけで行われるものかと勝手に思っていましたが、背景が回る舞台装置や、奈落をふんだんに使ったり、時間素行群がワイヤーアクションで宙に躍り出たり、敵の面の目が赤いライトで光っていたり!エンタメ性に溢れていて大興奮しました。
足利義輝との最終決戦前、琵琶で状況を語る一幕があったのですが、これもものすごい楽しかったです。鬼気迫るような激しく爪弾かれる琵琶の音が場内に響き、これから迎える戦いへ緊迫感を与えてくれます。
歌舞伎って本当に様々な技術が複合して一つの舞台が作られているんですね…。
敵に操られて心身喪失の足利義輝が悪役として登場。隈取を楽しみにしていたので内心盛り上がりました。
この時の隈取は青。これは悪役に付けられる色だそうです。
とうかぶに同田貫が出演すると聞いた時に、赤は血管や筋肉を象徴するらしいので隈取入れてほしい!とずっと言っていたのですが、
筋書きで足利義輝役の尾上右近さんが「歌舞伎は勧善懲悪だけど、刀剣乱舞では悪役にも共感できるように努めた」と仰っていたので
刀剣男士は確かに正義のヒーローではないので、隈取は似合わないんだなと納得しました。とうらぶに向き合ってくれてるのがわかって有り難い…。
段差で大量の敵と相対する立ち廻りは圧巻でした!アクロバティックなやられと、次々に刀を変える滑らかな動き。スローテンポでも物足りなさなんて微塵も感じません。
正気を取りもどした義輝と三日月の戦闘では、ライトが義輝の持つ刀を青く染めていて、元の主との一騎打ちに涙しているように見えました。
最初に述べた通り舞台を生で見るのは初めてだったので、ライトで刀剣がキラリと輝く度におおっ…!と感嘆しました。
回転する舞台上で斬り合う技術もすごく魅入りました。崖の上で戦っているという情報も与えてくれる演出。
最期に自ら身を投げるシーンではその情報で臨場感が生まれ、より格好良さが増します…!
「歌舞伎本丸での任務は完了」と三日月。
また新たな一つの本丸の歴史が生まれた瞬間に立ち会えて嬉しいです。
ストーリーは泣けたし、刀剣男士は格好良かったし、初めての歌舞伎として入り込みやすかったし、とても楽しいひと時でした…!
カーテンコールを用意してくれるのも有り難かったです。歌舞伎には珍しいそうで、役者さんたちも観客との掛け合いを楽しんでくれていたらいいな、と思ってしまいます。
千秋楽は27日だそうですね。配信も見られたら良かったのですが…。
関東に住んでいたらもう一度見に行ってたと思います。
大阪や京都にも歌舞伎が行われる場所があるようなので、ぜひ他の会場にも来てほしいです…!
もちろん、第二弾もあったら嬉しいですね!
見目麗しかった小烏丸は女方の要素を取り入れたと仰っていたので、次は次郎太刀とか見てみたい気がします!女方の見た目で男らしさを押し出すキャラクター、とても面白そうじゃないですか?
おまけに推しのプッシュもしておこう。
足拍子の音が大迫力な歌仙兼定も見たいです!!!!
推しの見得はなんぼあってもいいですからね。
古典的な歌舞伎も是非行ってみたいと思わせて頂いた公演でした。
和のジャンルでの漫画を扱った新作歌舞伎が以前も作られた事は知っていましたが、ファンタジーとはいえ実在する歴史を扱った刀剣乱舞は、製作側も作り甲斐があったのではないかと勝手に想像してしまいます。そうだったらいいなという希望込みです!
長い歴史を持つ刀剣はそれに纏わる演目も沢山あるので、
今回かんげきした審神者は次にも繋がっていきそうですね!