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どうも

お久しブリジャートン家

でお馴染みの者です

現代という時代は素晴らしい。

情報に溢れているからだ。
情報に溢れているということは、物事の善悪や正誤がすぐに分かるということだ。何をすべきか、何をすべきでないかが明らかであるからだ。
例えば、歌手になりたいと思った少女は
昔なら、ひたすら歌を練習し続けた。正しい方法なんか知らずにがむしゃらに歌い続けただろう。次に、レコード会社への売り込みだ。私はこんな歌が歌えます。自分の脚で1つ1つ、しらみつぶしにアタックをかける。時には門残払いを受けようとも、自分の才能を信じて走り続ける。そうしてやっと得れたチャンスを、イチかバチかで物にする。こんな風に、多くの苦労がありながらも彼女は歌手になったのだろう。現代人に言わせれば、全くもって非効率的だ。
一方現代なら、
まずはインターネットで「歌手になるには」と検索する。すると、「喉を痛めない歌い方レッスン」「音大に行きなさい」「新人歌手オーディション　動画でのご応募はこちら」ありとあらゆる、歌手になるための極めて効率的なルートが用意されている。このパターンもあるよ、そっちのパターンならああしてこうして……なんて分かりやすくて簡単なんだ。
指示されたルートを進めば、多少の才能での振り落としはあれども、誰でも高確率でなりたい者になれる。現代は最高の時代だ。誰だって何者にでもなれる！
しかし、それには1つ条件がある。
あなたが何者かになる事を望むことだ

歌手になるために開いたページには、沢山の案内と共に、こうも書いてあった。
「そう簡単に歌手にはなれない」「歌手の世界も甘くない」「才能が無いと無理」
そうして少女は、歌手になる夢を諦めた。今は介護士として手取り15万で働いているらしい。

現代という時代は素晴らしい。

文：宮ファン大工