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まちづくりから建築づくりへ、 木造建築の魅力に気づいた瞬間

伝統的木造建築「曲屋(まがりや)」

大学時代に建築をつくる事への挫折感を味わっていた自分は、将来まちづくりをするコンサル会社に就職する事をぼんやり思い描いていました。

ただコンサルと聞くと、行政から事業年度ごとにお仕事をいただき、年度末に報告書を作成して提出するようなイメージがあり、もう少し建築づくりにもつながるものはないかと考えていました。

そんな自分が、なんと4年間の南会津でのまちづくり活動の中で、ある建築に魅了されてしまったのです。
それが伝統的木造建築です。

木造建築といっても、会津地方に昔から建てられてきた
「曲屋(まがりや)」
と呼ばれる巨大な民家になります。

棟が90度曲がった形が特徴の南会津の曲屋

曲屋の驚くべき構造とは?

「曲屋(まがりや)」は名前の通りL型の平面形式が特徴で、曲がった部分には馬屋があり、昔は馬の部屋になっていました。(今は倉庫になっている家が多い)
農作業の働き手として大切にしていた馬が茶の間からいつでも見えるように、L型の平面計画は理にかなったプランでもありました。

ただこの民家のさらに凄いところは構造にあります。
冬には雪が4mも降る豪雪地帯ですから家を守る為には強靭な骨組みが必要になります。
曲屋はL型になりますので、シンプルなI型の家に比べると屋根も複雑で構造的にも工夫が必要になります。
この弱点を補うために、曲がりの部分を2本の太い大黒柱と大きな小屋梁と挿鴨居と足固で支える、鳥居型の門型フレームで構成し、構造の軸となる部分をつくり出しているのです。

構造の元になっている木材(丸太)の製材にも興味津々だった頃

この辺りは専門家でない方には何を言っているのかさっぱり分からないかもしれませんが、とにかく理にかなった素晴らしい構造なのです(笑)
これまで平面計画(間取り)ばかりを気にしていた自分にとって、シンプルで力強く、そして美しい骨組みに圧倒されました。

構造美という言葉がありますが、まさに間取りと構造が合致している民家はプロポーションも美しく、100年以上維持されているものも多く存在していて、地域の風景を構成する大きな要素にもなっていました。

まちづくりには建築の存在が欠かせないことを実感すると共に、単一の建築づくりへの関心が一気に高まった発見となりました。

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