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非アニオタがアニソンDJデビューした話 20200627 #あにみめっと

6月27日(土) 秋田市のCLUB GELにて、初めてアニソンイベントに出演させていただきました。


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クラブにおけるアニソンイベント、通称「アニクラ」は、元々GELでは根強い人気のあるジャンルだったものの、今年からレギュラーイベントを刷新することになり、そのタイミングでお声がけを頂いて今回挑戦することになった、という経緯。

今回アニソンに初挑戦する新米DJ達にはそれぞれジャンルが振り分けられ、自分の場合は元々リアルな方のアイドルが好きだからという理由で「アイドル系担当」を任命いただいた。(あとはバンドリとか含めたガールズ系全般的な)

アニメは全く分からなかったけれど、唯一バンドリだけは、作中のバンドがカバーしてるJ-POPのセンスに惹かれて少しだけゲームをやったことがあった。

あと二次元との僅かな接点としては、2014年頃まででんぱ組.incガチ勢で、特にアイカツのエルザ役の相沢梨紗さんは歴代の全推しメンの中でも思い入れランキング1位くらいのレベルなので、相沢さんをはじめとしたディアステージ勢が中の人及び歌唱担当に就いているアイカツに対しては、それなりに思い入れをもって臨めたかも。

そういう、異国の地で日本食レストランを見つけられた安心感みたいなのが初期段階からあって、それが結構モチベーションとして大きかったかもしれない。

というワケで、頂いたお題が元々の趣味嗜好と親和性が強かったのもあり、楽曲の構成的にも実際普段とやることは大して変わらないだろうと、プレイそのものに対しては特に抵抗も不安も無かった。


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楽曲に関しては、GELオーナーのコウさんから引き継いだものに加えて、とりあえず頭に浮かぶ限りのアイドル系アニメのアルバムをフィーリングでピックアップして聴いて、良さげな曲を集めていった。

なんてサラリと書いたけれど、この曲集めがまず第一関門で、そもそも曲を試聴してデータとして入手してキュー打ちして、という実際にプレイするまでのプロセスそのものが単純に結構な時間と労力を要するうえ、

曲数を揃えるにしても「どの深度まで掘るべきか、の前にそもそもどの曲がどれだけの深度を持つのか」のイメージを全く掴めないのが難点だった。

心配性な上に、やるからにはヒヨッコなりに出来る限りお客さんを楽しませられる準備をしたかったから、絶対的な曲数はなるべく揃えておきたかったものの、どうせようわからんクセに深度なぞを意識し始めてしまったばかりに、これがもう本当に余計な思考タスクをもたらす結果に。


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「アニソンには、楽曲個々における作品内の背景や文脈があり、またオタク側にもそれぞれの楽曲や作品に対するメタ的な背景や文脈がある」

んだろうなあきっと…と、まずは自分なりにアニソンを回すに当たっての心構えを考えた上で、

後者に関してはお客さん個々の思い入れやら何やらの問題なので置いておくとして、前者の部分はなるべく拾って出来うる限りの「わかってるじゃん」が欲しいところ。

というのもお客さんに媚びるとかいう話ではなく、非アニオタなりの、作品を知らずにして楽曲だけを使うなりのリスペクトを、少しでも伝わる形で示したいという一つの矜恃、と言えば大袈裟だろうか。

こういう部分に関しては三次元のキモ・オタクである自分自身が客目線でも重視してるところだから、セットリストの流れとその楽曲にまつわる背景のストーリー性をリンクさせるとか、なるべくそういう気の利いたMIXをして喜んでもらいたいな…と、一応ちゃんと考えてはいた。


まあ結論から言うと流石にそこまでは出来なかったんだけど…


例えば、アニソンではない普通のJ-POPイベントのフロアに一人のB'zファンがいたとして、その人が本当に喜ぶのはピークタイムでなんとなくブチ込まれたウルトラソウルではなくて、一般的な知名度の低いアルバム曲とかカップリング曲、つまり「まさかここで聴けるとは思ってなかった!」となる知る人ぞ知る名曲、の方だと思う。

で、それをアニソンに置き換えた時に、OPやEDではなく劇中歌やキャラソンのどの程度までを流しておけば、果たしてその一般的なところで言うアルバム曲・カップリング曲を選曲したに等しい驚きと感動を与えられるのか、これが先述の自分が勝手に抱えていた”深度問題”である。

とはいえ知らないものについて考えたところで永遠に答えは出ないし調べて回答が出るような話でも無いから、選曲はもう自分の感覚で曲調重視で選ぶとしても、

いざプレイする時に、40分の持ち時間で流せる約20曲の内訳比率として、

・「アイドル系アニメに特化した人達」を集中的に喜ばせるために期待を良い意味で裏切る劇中歌をバンバン流すか、

・「それ以外の人達」にもコンスタントにウケるであろう共通言語的な有名OP曲を多めに取って熱量のバランスを取るか、

が悩みどころだった。

前者は当たれば前方が沸く。が、最悪後方は白ける。

後者でも多分ある程度は沸いてはくれる。けれど「まあそんなもんだよね」で終わってそこに感動は無い。

回すこと自体は問題無くこなせる自信はありつつも、アニソンという枠組み自体が、実態は分からずとも自分としては中途半端に共感性だけは抱けるジャンルであるが故に、無駄に考え込んでしまっていた。悪い癖である。


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で、迎えた当日。

言うまでも無くコロナ禍の影響は見えるものの、それでも最低限寂しくはない程度の客入りではあったと思う(本当にありがたいことです)。

頂いた尺は22:20からの40分間。

結論から言うと、「アイドル系アニメに特化した人達」を集中的に喜ばせるために劇中歌をバンバン流す方を取り、結果としてブースから見たプレイ中のフロアの印象として前方はかなり賑やかだったし、あの分母(客入り)で考えるならそこそこ盛り上がっていただけた方だったと思う。

おかげさまでこちらも終始楽しく回すことが出来た。

↓流したやつ

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「アイドル系アニメに特化した人達」を集中的に喜ばせるために劇中歌をバンバン流す方を取った、と言っても、何を流せばどういう反応になるかが本当に全く分からなかったから、最初の数曲で適当に試し打ちして反応を見て、結果的にそっちを取ることを選んだ感じ。

ただ、唯一楽曲を把握していたバンドリが幸いウケて助かったのだけれど、それ以外の曲に関しては、いくら当日までに聴き込んで準備しても、結局ちゃんと曲名と曲調が一致する曲はほとんど無いままだった。

プレイ中は、ラップトップ釘付けマンにならないようフロアの熱狂にもなるべく同調しつつ、楽曲理解度という選曲における瞬発力に直結する部分が欠如したまま片耳でモニタリングして、並行して一曲流すごとにフロアの様子を観察して展開を考えて、作品が偏らないようにバランスを考えて選曲して、

ってこれ全部DJならジャンル問わず全員当たり前にやってることなんだけど、そもそもの経験値が少ない上にアウェイなジャンルで回すことになった自分としてはかなりスリリングな体験だったから、本当に楽しかった。

実は、自分の観測範囲内でかなり流行ってるっぽい男性アイドル系のやつをもっと流す想定でいたのだけれど、どうやらフロアを見てもそこを求める客層はいなそうだったし、試しに一曲流してみても案の定無反応だったので(そして分かりやすく最前の温度が2℃くらい下がったのが面白かった)、その時点でもう割り切って目の前の元気な方々に楽しんでもらう方向にシフトした。


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ただ、その盛り上がり方が一曲目からちょっと想定以上だったので、「え?これこのままでいいんか?」というプチパニックに陥り、今度は選曲の方向性では無くフロアのアゲサゲに関して、最後まで何だか正解が分からないままだった。

大前提として出番前に「アゲていいよ」と拝命仕っており、加えてアニクラである以上はペース配分も一般的なクラブのスケジュールとは考え方が違うものの、

少なくとも自分の後にPick up DJが続くこのタイムテーブル的には、今自分が回しているこの40分間がお客さんたちの体力を搾り取っていい時間帯ではない事だけは確か。だと思った。

でも、目の前で渦巻くこの熱狂と輝く瞳を裏切ることも出来ない。

なので一応ちょいちょいインターバルのつもりで、曲調はキープしつつも少し選曲の軸をズラして軽いサゲを入れたりはしてみたものの、それが実際に程よいサゲとして効果的に機能したかはよう分からん。


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それと、このフロアのペース配分と並行してもう一つ大きく懸念し続けたこととして、「アンセムばっか流す感じのサムいDJになっちゃってない?」問題がある。

これに関しては実際にお客さんが喜んで盛り上がってくれた結果が全てであって、「アンセムばっか流すサムいDJになりたくない」というしょうもない承認欲求の問題でしか無いのだけれど、そう思ってしまうんだからしょうがないやん。

実際、少し考えすぎなくらいにストイックな見方をするならば、あの盛り上がりが「それ流してくれんの!」のマジなブチ上がりなのか、シンプルにアンセムだからの沸き≒義理沸きなのか、がブースからは読めない以上、

今自分が流した曲に対する反応が、どれだけの”深度”を以てのそれなのかが知識として・感覚として分からなければ、その時フロアの様子を目で見て耳で聞いていたとしても、その実態というものについては何も理解出来ていないことになる。

そんな状態で未知の40分を回し続けるのは、ただただ怖かった。

DJは基本的にその場で流れる音楽に関するあらゆるリテラシーにおいてお客さんと同等以上であるべきだから、

「お客さんの知らない曲で踊らせる」のであれば、個々の楽曲そのものとそれらのMIXで楽しませなければならないし、

「お客さんの知ってる曲で踊らせる」のであれば、文脈の共感性と驚きをもたらすことで楽しませなければならない。

J-POP、とりわけサブカルチャーのジャンルであればなおさらほとんどが後者のスタイルになるわけで(なぜならお客さんがこの上無き”オタク”である前提だから)、その土俵で、お金を払ってご来場下さった方々を迎える立場にあって「全リテラシーでお客さんに劣っている」という状況は、あまりにも心理的に不利なものだった。


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と、ここまで本番中・前後に抱えた幾多の悩みに関してややネガティブに書き綴ったものの、出番後にアニクラDJの諸先輩方からは本当に有難い褒め言葉を頂けたし、主催者であるコウさんからも「良かった」と言ってもらえたので、結果としてはそれが全てだとポジティブに捉えてはいる。

そもそもこうやってリアルタイムで頭使って色々考えながら曲流してお客さんに楽しんでもらうっていうゲームがしたかったんだから、ある意味では今までのどのイベントよりも楽しいDJタイムだったと言っても過言では無いくらい。

どのジャンルでやるにしても、J-POPなら基本的に曲の一番が終わるタイミングで次の曲を流すから、大体1分半くらいの間に選曲して次の曲を入れるポイントを探してMIXして、ってのを40分間繰り返してて、経験の浅い自分はプレイ中はまだあまり余裕を持てないんだけど、

今回はいつもと違う懸念点を常時抱えつつも、焦ってテンパリながらプレイしたわけでは全く無いし、むしろプレイ中は40分間過去最高に冷静になれてたくらいで、時間の経過が遅く感じられるような、不思議な感覚だった。

ていうか40分の尺で29曲も流してたみたいだし、これまでに無いくらいにハイペースのショートMIXだったことは間違いない。(これ普通にMIXして40分で流せる曲数としては限界値に近くないか?)


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そして何より、何も知らないまま選曲した=楽曲のチカラに100%助けてもらったわけなので、今回流した曲達にはますます愛着が湧いて良い思い出になりました。

次回もまたアニクラで出番があるかは分からないけれど、もし機会を頂けた際にはもっとブラッシュアップして、また楽しい夜にしていきたいな。

今回、最前で盛り上がってレスポンスを下さった方々には心から感謝してます。

本当にありがとうございました!

これだからDJはやめらんねえな…。

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