<No.21>SDGsの各ゴール解説⑪ 目標11:住み続けられるまちづくりを
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の各ゴール(目標)の解説とアクションのヒントを国連開発計画(UNDP)、国連広報センター(UNIC)の資料を基に行います。SDGsのゴールを達成するためにも、SDGsの各ゴール詳細を知っておくことはアクションに繋げる上で重要になります。ぜひ最後までお付き合いください。
今回は「目標11:住み続けられるまちづくりを」です。
UNDPでは「目標11:住み続けられるまちづくりを」を次の通り解説しています。(灰色部分は引用。)
都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする
現在、世界人口の半分以上が都市部で暮らしています。2050年までに、都市人口は65億人と、全人口の3分の2に達する見込みです。私たちが都市空間の整備、管理方法を大きく変えない限り、持続可能な開発を達成することはできません。
開発途上地域における都市の急成長は、農村部から都市部への移住者の増加と相まって、巨大都市が台頭しました。1990年の時点で、人口1000万人以上の巨大都市は10か所にすぎませんでした。2014年までに、その数は28に増え、計4億5300万人の住民が居住しています。
極度の貧困は都市部に集中することが多いため、国も自治体も、都市部の人口増加への対応に苦慮しています。都市を安全かつ持続可能にするためには、安全で手頃な価格の住宅へのアクセスを確保し、スラム地区の改善を図らなければなりません。また、公共交通機関に投資し、緑地を整備するとともに、参加型で包摂的な方法で都市計画や管理を改善することも必要です。
持続可能な都市は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sdg/post-2015-development-agenda/goal-11.html
また、UNICでは、このゴールがなぜ必要なのか、このゴールに対して何が出来るかという視点で以下のように伝えています。
あなたが必要と考える都市の姿を積極的に発信してください。
あなたが住む建物、通り、地域に関するビジョンを持ち、そのビジョンに基づき行動してください。十分な雇用はありますか。身近なところに医療はありますか。あなたの子どもは安全に通学できていますか。夜間、家族と一緒に街を歩くことはできますか。最寄りの公共交通機関まで、どれだけの距離がありますか。大気の環境はどうですか。共有のパブリック・スペースはどうですか。あなたのコミュニティーでよりよい条件を整備できれば、生活の質にもそれだけ大きな影響を及ぼすことができます。
詳細は以下のURL参照
http://www.unic.or.jp/files/3f81429c0af3d0c7182b8fbf2a045b74-1.pdf
具体的なアクションを考えるためには、このゴールのターゲットについても知っておく必要があります。ゴール11に連なるターゲットは以下の10です。
• 11.1 2030年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
• 11.2 2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
• 11.3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
• 11.4 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
• 11.5 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
• 11.6 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
• 11.7 2030年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
• 11.a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
• 11.b 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
• 11.c 財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。
例えば、ターゲット11.5「2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。」で企業のアクションを考えた場合、災害リスク管理をビジネスモデルと実践に統合し、ビジネスの強靭性を高め、サプライチェーン全体の生計や生産的資産を保護し、サービスの継続性を確保するためにBCP(事業継続計画)を確立するなどが考えられます。
また、大規模災害時などは地域社会(行政、地域住民など)との接点も重要になります。そのため、平時から定期的に地域社会とかかわる方策を実践することも重要なアクションにつながります。
最後に、2018年12月24日時点の国連本部のウェブページ(About the Sustainable Development Goals)に掲載されている17の目標ごとの「事実と数字(Facts and Figures)」のうち、ゴール11に関するものを挙げます。一見、自分自身に直接関係ないようなことであっても、新たな気づきやビジネスの機会になることがありますのでぜひ押さえておいていただきたい数値です。
• 現在、世界人口の半数に当たる35億人が都市で暮らしていますが、2030年までに都市住民は50億人に達するものと予測されます。
• 今後数十年間の都市膨張の95%は、開発途上地域で起きると見られます。
• 現在、スラム住民は8億8,300万人に上りますが、そのほとんどは東アジアと東南アジアで暮らしています。
• 面積にして地球の陸地部分のわずか3%にすぎない都市は、エネルギー消費の60~80%、炭素排出量の75%を占めています。
• 急速な都市化は、真水供給や下水、生活環境、公衆衛生に圧力を加えています。
• 2016年の時点で、都市住民の90%は安全でない空気を吸っており、大気汚染による死者は420万人に上っています。全世界の都市人口の過半数は、安全基準の2.5倍以上に相当する水準の大気汚染にさらされています。
事業規模や企業か個人かによってできることも異なりますが、SDGsの各ゴールやターゲット、現状の数値を知って、そこから具体的なアクションを考えることがSDGsのゴールを達成する上で重要な活動の一つになります。
みなさんもぜひ自分のできるアクションを考えてみましょう。
資料:
UNDP SDGs
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sustainable-development-goals.html
国連広報センター SDGs を17の目標ごとにわかりやすく紹介したチラシ、SDGs シリーズ「なぜ大切か」
http://www.unic.or.jp/news_press/info/24453/
国連広報センター 持続可能な開発目標(SDGs)ー 事実と数字
http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/31591/