<No.20>SDGsの各ゴール解説⑩ 目標10:人や国の不平等をなくそう
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の各ゴール(目標)の解説とアクションのヒントを国連開発計画(UNDP)、国連広報センター(UNIC)の資料を基に行います。SDGsのゴールを達成するためにも、SDGsの各ゴール詳細を知っておくことはアクションに繋げる上で重要になります。ぜひ最後までお付き合いください。
今回は「目標10:ゴール10人や国の不平等をなくそう」です。
UNDPでは「目標10:ゴール10人や国の不平等をなくそう」を次の通り解説しています。(灰色部分は引用。)
国内および国家間の格差を是正する
世界の最富裕層の10%が全世界の所得の40%近くを占有しています。所得の不平等の高まりは、紛れもない事実です。最貧層が全世界の所得に占める割合は、わずか2%から7%にすぎません。人口規模を考慮に入れると、開発途上国では所得格差が11%拡大しました。
こうした格差拡大は、性別、人種、民族にかかわらず、最低所得者層のエンパワメントを図るとともに、すべての人の経済的包摂を推進するために、健全な政策の採用を求める行動を起こす必要があります。
所得格差は、グローバルな解決を要するグローバルな問題です。問題の解決には、金融市場・機関の規制と監視を改善し、必要性が最も大きい地域に対する開発援助と外国直接投資を促さなければなりません。安全な移住を促進し、人々の移動性を高めることも、格差拡大を食い止めるうえで重要となります。
格差の是正は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sdg/post-2015-development-agenda/goal-10.html
また、UNICでは、このゴールがなぜ必要なのか、このゴールに対して何が出来るかという視点で以下のように伝えています。
不平等 を是正す るためには 、大々的な変革が必要です。極度の貧困と飢餓を根絶するとともに、特に若者や移民その他の社会的弱者コミュニティーの保健、教育、社会保障、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)への投資を増やすための取り組みを強化する必要があります。各国の国内で、エンパワーメントや、包摂的な社会・経済成長を図ることが重要です。差別的な法律や政策、慣行を廃止すれば、私たちは機会の平等を確保し、所得の不平等を是正できるのです。
詳細は以下のURL参照
http://www.unic.or.jp/files/246643dd4f099b0897289c1e5ca69005.pdf
具体的なアクションを考えるためには、このゴールのターゲットについても知っておく必要があります。ゴール10に連なるターゲットは以下の10です。
• 10.1 2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。
• 10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
• 10.3 差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。
• 10.4 税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。
• 10.5 世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。
• 10.6 地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。
• 10.7 計画に基づき良く管理された移民政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。
• 10.a 世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。
• 10.b 各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。
• 10.c 2030年までに、移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を越える送金経路を撤廃する。
例えば、ターゲット10.3「差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、並びに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。」で企業のアクションを考えた場合、特に海外展開企業において、「雇用、配置、報酬、ジョブアサインメントとその先のキャリア形成、研修やメンターシップ、業績評価と昇進、就業規律、妊産婦の保護、雇用期間の確定と雇用終了の決定」が客観的要因に基づき、性別・年齢・国籍・民族的出自・性的嗜好・人種・肌の色・政治信条・カースト・言語・精神または身体の障害の影響を受けないということを企業の方針として定めすべての進出国で実施することになります。国内においてはジェンダー平等(ゴール5)や非正規との同一労働同一賃金(ゴール8)とも関係する部分になります。
グローバルな市場やサプライチェーンを求めた場合、各企業にとってより重要な目標となります。
最後に、2018年12月24日時点の国連本部のウェブページ(About the Sustainable Development Goals)に掲載されている17の目標ごとの「事実と数字(Facts and Figures)」のうち、ゴール10に関するものを挙げます。一見、自分自身に直接関係ないようなことであっても、新たな気づきやビジネスの機会になることがありますのでぜひ押さえておいていただきたい数値です。
• 2016年の時点で、後発開発途上国から世界市場への輸出品のうち、64.4%に対する関税がゼロとなっていますが、この割合は2010年以来、20%増大しています。
• 20%の最貧層世帯の子どもは依然として、20%の最富裕層の子どもに比べ、5歳の誕生日を迎える前に死亡する確率が3倍も高くなっています。
• 社会保障は全世界で大幅に拡大しているものの、障害を持つ人々が極めて高額な医療費を支払わねばならない可能性は、平均の5倍にも上っています。
• 開発途上国の大部分で、妊産婦の死亡率は全体として低下しているものの、農村部の女性は依然として、都市部の女性に比べ、出産中に死亡する確率が3倍も高くなっています。
• 所得の不平等の中には、男女間を含む世帯内の不平等に起因するものが30%に及びます。女性は男性に比し、平均所得の50%未満で暮らす可能性も高くなっています。
事業規模や企業か個人かによってできることも異なりますが、SDGsの各ゴールやターゲット、現状の数値を知って、そこから具体的なアクションを考えることがSDGsのゴールを達成する上で重要な活動の一つになります。
みなさんもぜひ自分のできるアクションを考えてみましょう。
資料:
UNDP SDGs
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sustainable-development-goals.html
国連広報センター SDGs を17の目標ごとにわかりやすく紹介したチラシ、SDGs シリーズ「なぜ大切か」
http://www.unic.or.jp/news_press/info/24453/
国連広報センター 持続可能な開発目標(SDGs)ー 事実と数字
http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/31591/