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<No.16>SDGsの各ゴール解説⑥ 目標6:安全な水とトイレをみんなに

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の各ゴール(目標)の解説とアクションのヒントを国連開発計画(UNDP)、国連広報センター(UNIC)の資料を基に行います。SDGsのゴールを達成するためにも、SDGsの各ゴール詳細を知っておくことはアクションに繋げる上で重要になります。ぜひ最後までお付き合いください。
 今回は「目標6:安全な水とトイレをみんなに」です。

UNDPでは「目標6:安全な水とトイレをみんなに」を次の通り解説しています。(灰色部分は引用。)

すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する

水不足の影響は、全世界の人の40%に及んでいますが、この驚くべき数字は、気候変動の影響によって地球の気温が上昇するにつれ、さらに大きくなることが予測されています。1990年以来、新たに21億人が改善された水と衛生にアクセスできるようになりましたが、安全な飲み水の供給量減少は、世界中で深刻な問題となっています。

2011年には、41か国が水ストレスを経験しましたが、うち10か国では、再生可能な淡水が枯渇寸前となり、従来と異なる水源に頼らざるを得ない状態となっています。干ばつの多発や砂漠化は、既にこうした動向に拍車をかけています。2050年までに、4人に1人以上が慢性的な水不足の影響を受ける可能性が高いと見られています。

2030年までに、安全で手ごろな飲み水への普遍的なアクセスを確保するためには、インフラの整備に投資し、衛生施設を提供するとともに、あらゆるレベルで衛生状態の改善を促すことが必要です。水不足を緩和するためには、森林や山地、湿原、河川など、水関連の生態系の保護と回復が欠かせません。水の利用効率の改善を働きかけ、開発途上地域の水処理技術を支援するために、一層の国際協力も必要とされています。

きれいな水と衛生へのアクセスは、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。

ジェンダーの平等は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。

http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sdg/post-2015-development-agenda/goal-6.html

また、UNICでは、このゴールがなぜ必要なのか、このゴールに対して何が出来るかという視点で以下のように伝えています。

市民社会団体は、各国政府の責任を問い続け、水関連の研究開発に投資し、水資源のガバナンスへの女性、若者、先住民コミュニティーの包摂を促進すべきです。こうした役割に対する意識を高め、これを行動に変えれば、ウィンウィンの関係が生まれ、人間と生態系の持続可能性と完全性がともに向上することでしょう。
また、衛生問題について行動を起こすための情報を提供し、インスピレーションを与えることを目的とする「世界水の日」と「世界トイレデー」のキャンペーンに参加することもできます。 


詳細は以下のURL参照
http://www.unic.or.jp/files/54c38330d412f4b7ccafd086511476f8-1.pdf  

具体的なアクションを考えるためには、このゴールのターゲットについても知っておく必要があります。ゴール6に連なるターゲットは以下の8つです。

• 6.1 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ衡平なアクセスを達成する。
• 6.2 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。
• 6.3 2030年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。
• 6.4 2030年までに、全セクターにおいて水利用の効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
• 6.5 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
• 6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含む水に関連する生態系の保護・回復を行う。
• 6.a 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術を含む開発途上国における水と衛生分野での活動と計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。
• 6.b 水と衛生の管理向上における地域コミュニティの参加を支援・強化する。

 日本や先進各国においては、この分野で社会的課題になっているということはあまりありませんが、水資源や衛生的な水へのアクセスに恵まれていない地域を助けつつ、売り上げに貢献したモデルの代表的なものとして、飲料水「ボルヴィック」の「1L for 10L(ワンリッター・フォー・テンリッター)」があります。ユニセフと協働し、アフリカ・マリ共和国での井戸づくりを支援するプログラムで、消費者が「ボルヴィック」を1リットル購入するごとに売り上げの一部が寄付され、マリに清潔で安全な水が10リットル生まれるという仕組みで、コーズ・マーケティング(Cause Marketing)の有名な事例としても取り上げられています。

 コーズ・マーケティングは企業、消費者、NGO・NPOという三者が協働して初めて成り立ちます。単なる寄付や一般のマーケティングと異なる点は、三者それぞれにメリットがあるということです。つまり、企業は社会的責任を果たすことで評価が高まるとともに、商品の差別化が可能となり売り上げ増加につながります。消費者は、寄付付き商品を買うことで気軽に社会貢献ができます。そして、社会的課題の解決に取り組むNGO・NPOは、企業からの寄付で活動資金が得ることができます。そういう意味で、近江商人の「三方よし」にもつながる手法ともいえるでしょう。

 直接的に水問題とは縁遠い日本のような地域においても、このような方法で世界の社会課題解決に貢献しつつ、ビジネスの機会を創出していくことが考えられます。

最後に、2018年12月24日時点の国連本部のウェブページ(About the Sustainable Development Goals)に掲載されている17の目標ごとの「事実と数字(Facts and Figures)」のうち、ゴール6に関するものを挙げます。一見、自分自身に直接関係ないようなことであっても、新たな気づきやビジネスの機会になることがありますのでぜひ押さえておいていただきたい数値です。

• 世界人口の10人に3人は、安全に管理された飲料水サービスを利用できず、10人の6人は、安全に管理された衛生施設を利用できません。
• 8億9,200万人以上が、今でも屋外排泄を続けています。
• 敷地内で水が得られない世帯の80%では、女性と女児が水汲みの責任を担っています。
• 1990年から2015年にかけ、世界人口のうち改良飲料水源を利用できる人々の割合は、76%から90%に上昇しました。
• 世界人口の40%以上は水不足の影響を受け、しかもこの割合は今後、さらに上昇すると予測されています。現時点で17億人以上が、水の利用量が涵養分を上回る河川流域に暮らしています。
• 40億人が、トイレや公衆便所など、基本的な衛生サービスを利用できていません。
• 人間の活動に起因する排水の80%以上は、まったく汚染除去を受けないまま河川や海に投棄されています。
• 毎日、1,000人近い子どもが予防可能な水と衛生関連の下痢症で命を落としています。
• 河川や湖沼、帯水層から取り込まれる水の約70%は、灌漑に用いられています。
• 洪水その他の水関連災害は、自然災害による死者全体の70%を占めています。

 事業規模や企業か個人かによってできることも異なりますが、SDGsの各ゴールやターゲット、現状の数値を知って、そこから具体的なアクションを考えることがSDGsのゴールを達成する上で重要な活動の一つになります。

 みなさんもぜひ自分のできるアクションを考えてみましょう。

参考:
UNDP SDGs
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sustainable-development-goals.html
国連広報センター SDGs を17の目標ごとにわかりやすく紹介したチラシ、SDGs シリーズ「なぜ大切か」
http://www.unic.or.jp/news_press/info/24453/
国連広報センター 持続可能な開発目標(SDGs)ー 事実と数字
http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/31591/

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