パリ五輪の実感が湧かない理由

始めに

いよいよ明日(2024年7月26日(金)に)、夏季五輪パリ大会(以下、パリ五輪)が開幕します。
(ただし、7月24日(水)には既にサッカー男子や7人制ラグビー男子の1次リーグが開始されております。)

2大会ぶりに「有観客での開催」となるパリ五輪を目標に、世界各国のアスリートの皆様が鍛錬を積み、競技本番にベストを尽くせる様に準備を進めて来た事でしょう。

ただ・・・・・
これは個人的な感想になるのですが・・・・・

どうしてもパリ五輪が開催されるという実感が全く湧かないのですよ。

他の方々はパリ五輪に盛り上がっているのかもしれませんが、ワタクシ自身は全く盛り上がりも盛り下がりもしないのですよ。

何故にその様な感覚になっているのかを語って行こうと思っております。

過去とパリ五輪との「五輪前の空気(ムード)」の違い

過去大会の場合

まず、自国開催だった前回大会(2020東京五輪)およびその約1年後に開催された北京冬季五輪につきましては、様々な要因からそれまでの大会とはあまりにも「日本国内での空気(ムード)」が異なるので比較対象として除外致します。

その上で、過去の五輪(夏季、冬季ともに)の開催前における「日本国内での空気(ムード)」につきまして語らせて頂きます。

  • まず、開幕の1~2年ぐらい前から各種メディアによる「開催地の準備の模様」および「五輪への出場が有力視されるアスリートの動向」に関する報道がなされ、開幕迄残り1年を切った段階から「五輪出場権のかかった選考会の結果」に関する報道がなされる。

  • 次に、”五輪イヤー”を迎えた1月の初めからは選考会の結果(五輪出場決定)に関する報道に加えて「五輪開催の盛り上がり」を煽る様な報道等も各種メディアにて展開されるとともに、様々な業界でも「五輪に因んだ商業展開」が開始される。

  • そして、開幕3か月前(その年の4月)ぐらいからは「五輪に因んだ商業展開」が更に本格化され、開幕1か月ぐらい前になって「現地観戦の準備を進める人々の様子」をニュース番組等で報じられる等、世間(国内)が盛り上がりを見せたまま、本大会の開幕を迎える。

という流れであったと、ワタクシは記憶しております。

まぁ、我々庶民は「五輪ムード」というものでマスコミ・広告業界を含めた各種業界に煽られ、踊らされていたという事なのですね。

かくして、2020東京五輪以前の大会では、大体開幕1年前ぐらいから「五輪に盛り上がっている」空気(ムード)になっていたと、ワタクシは記憶しております。

そしてパリ五輪の場合

しかし、今回のパリ五輪におきましては、過去の大会の様な「五輪ムードを盛り上げる」動きがマスコミ・広告業界を含めた各種業界からは全く感じられなかったのです。

  • まず、過去の大会の様に、開幕の1~2年ぐらい前からなされる「現地の準備の模様」に関する報道を目にする事も耳にする事もありませんでした。

  • 次に、「五輪への出場が有力視されるアスリートの動向」および「五輪出場権のかかった選考会の結果」に関する報道はなされはするものの、国内でのプロスポーツ(プロ野球およびMLB、Jリーグおよび海外サッカー、バスケットボールやラグビー等)に関する報道に比べたら控えめの様に思えました。

  • 更には、各種業界にて展開されるはずの「五輪に因んだ商業展開」が、今年の4月になっても開始されている気配が全く感じられませんでした。

  • 加えて、開幕2週間前になっても「現地観戦へと向かう人々の様子」に関する報道を目にする事すらありませんでした。

ここで具体的な例を挙げますと、某大手ファーストフードチェーンにおいて、毎回その年の7月初めに「五輪に因んだ期間限定商品の発売(商業展開)」が為されるのですが、今回は

という、「五輪に因んだ商業展開」とは言い難いラインアップでした。

ちなみに、(パリ五輪開幕2日前に発売開始となる)その次の期間限定商品も

という、これまた「五輪に因んだ商業展開」とは思えないラインアップになっております。

この様に、過去の大会の時の様な「五輪に因んだ商業展開」が周囲で見当たらない上に、「現地観戦へと向かう人々の様子」に関する報道も確認できなかった事もあって、「今年の7月にパリ五輪が開催される」とは感じられないのです。

力を無くしたマスコミ・広告業界

先述の通り、ワタクシは過去の大会の時に「五輪ムード」というものでマスコミ・広告業界を含めた各種業界に煽られ、踊らされました。

だからこそ、何故今回(パリ五輪の開幕前に)各種業界が「五輪ムード」を煽って人々を躍らせていない事に疑問を感じ、ワタクシはその答えを探し求めました。

そしてワタクシは「マスコミ・広告業界の弱体化」という結論に行き着きました(とは言っても、それしか思い付かなかっただけですが)。

マスコミ・広告業界の隆盛(?)

その昔、インターネットというものが無く、人々(無論ワタクシを含め)の情報源がマスコミ(新聞、ラジオ、テレビ、書籍)しかなかった頃は、人々にとってマスコミの流す情報が全てと言っても過言ではなく、人々は広告代理店の手掛けた企業広告を(新聞、ラジオ、テレビ、書籍)見て様々な物を購入する等、人々に対するマスコミ・広告業界の影響力は強大なものだったと、今にして思っております。

また、商業主義路線に舵を切った1984年のロサンゼルス大会以降の各大会においては、「如何に人々を躍らせ、カネを落とさせるか」を熟知した広告業界は各種業界に「五輪に因んだ商業展開」をさせて人々を躍らせ、マスコミ業界も大会の放送権料の高騰もあって広告業界の目論見に乗っかって、マスコミ・広告業界は莫大な利益を得られたと思うのです。

マスコミ・広告業界の衰退(?)

この様に人々(無論ワタクシを含め)を躍らせて肥大化していったマスコミ・広告業界でしたが、インターネットが人々の生活に浸透し始めると、マスコミの影響力が低下し始めた事で人々がこれまでの様に踊ってくれなくなり、広告業界がインターネットを活用したビジネスモデルを模索し始めたものの、徐々にその影響力を弱めて行ったと思っております。

ただ、インターネットが人々の生活に浸透しても、それ以降に開催された幾つかの大会(大体2000年のシドニー大会辺りから2018年の平昌冬季大会辺りまで)の時には各種業界による「五輪に因んだ商業展開」に人々は未だに踊らされていた、と思っております。

しかし、2020年に発生した新型コロナウイルスの感染拡大による”緊急事態宣言”をきっかけに人々の生活様式がかなり変わってしまったために、これまで築いてきたマスコミ・広告業界のビジネスモデルが完全に通用しなくなり、マスコミ・広告業界の弱体化が更に進行した様に思えます。

更に追い打ちをかける様に、2020東京大会の運営業務を巡る談合で大手広告代理店2社を含む複数の広告代理店が起訴され、マスコミ(および週刊誌)からも連日のニュースで糾弾され続け、ただでさえ弱体化していた広告業界全体にとって更なる大きな痛手となったのではないかと推測しております。

一方、正義マン面して広告業界を糾弾しまくっていた大手マスコミ各社でしたが、これまで番組作り(or紙面作り)で散々広告業界の助けを借りていたにも関わらず自らその命綱をぶった切る真似をしてしまったために、広告業界を追う様にマスコミ業界も更なる弱体化を進める事になったのではないでしょうか。

そして今年、パリ五輪が開催されると言うのに、全くそんな実感の湧かない世間の空気(ムード)。

この様に、かつての影響力をほぼ完全に失うまでに弱体化し切ったマスコミ・広告業界には、パリ五輪において「人々を躍らせて、五輪ムードを盛り上げる」事なんて出来るわけが無いと思うのですよ。

最後に

上記の通り、ワタクシが「パリ五輪開催の実感が湧かない」事について語りました。

本当に、2020東京大会(過去の大会と比べて異質過ぎるので除外)以外の過去の大会の様な「大会直前の盛り上がり」が、今回(パリ五輪直前)に限って全く感じられなかったので、その実感を文章にしてみました。
(それ故に「思います」等の「断言を避ける言い回し」を多用してしまいました。)

さて、確かにワタクシ個人と致しましてはパリ五輪開催に対する実感が湧いておりませんが、その事に関して競技に挑む選手の皆様には全く罪は無いので、選手の皆様には全力と最善を尽くし、悔いの無い結果を残して頂いた上で無事に帰宅して頂く事を、ワタクシは願っております。

以上、長文乱文失礼致しました。

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