百寺巡礼（014）東大寺 奈良 2022年7月22日
「東大寺、大仏の許しが、、、」
奈良の夏。国立博物館での仏像展を目当てに、夜行バスを絡めた一泊三日の強行軍で奈良を訪れた。その道中、東大寺に足を運ぶ。コロナ禍で静寂に包まれていた前年とは異なり、修学旅行生たちの笑い声が境内に響いていた。
東大寺の魅力は数多いが、特筆すべきは本堂内での写真撮影が許可されていることだろう。案内役の信者の方はこう語った。「お留守番の方々にも、大仏様を感じていただきたい。それが東大寺の思いです」と。その一言に、この寺が持つ開かれた心を感じた。
対照的に、先月訪れた大分の羅漢寺ではカメラや携帯電話の持ち込みが厳禁だったことを思い出す。同じ仏教の教えを紡ぐ寺でも、その姿勢やルールには個性がある。だが、どちらも仏の前で人の心を結びつけているのは間違いない。
大仏様の微笑みは、時代や場所を越えて心に届く。その一瞬を切り取れる自由が与えられた東大寺での再訪は、また一つ旅の思い出に深みを加えてくれた。