百寺巡礼(028) 東寺 京都 2022年10月23日。
東寺を訪れる度に、私は何かを取り戻していく気がする。何度足を運んだだろうか、コロナ禍の前も、後も、そして今も。毎回違う顔を見せるその寺に、私は少しずつ引き寄せられているのだろう。
行きは近鉄の各駅停車でのんびりと。人々の流れに身を任せながら、駅を降りてからの道程もまた、私には意味がある。普段目にしない裏京都の町並みを眺めながら、ふと立ち止まり、無駄に立ち寄った路地を歩く。そこには、都会の喧騒とは異なる静かな空気が漂っている。その静けさの中で、自分の足音がどこか心地よく響く。
東寺の堂内に足を踏み入れると、そこで待っていたのは曼荼羅の仏像群。どこからともなく感じる圧倒的な力に、思わず息を呑む。目の前に広がる仏像たちは、時を超えて私に語りかけてくるような気がする。その一体一体に込められた祈りと智慧が、まるで私の中に直接入り込んでくるような感覚だ。どんな時でも、私はその空間に身を委ね、エンパワーを感じる。アッと言う間に、心が洗われ、何か新しい力が満ちていくのを感じる。
帰り道、私はゆっくりと歩きながら、その感覚を噛みしめる。京都駅へ向かう道のりは、時間がゆっくり流れていくようだ。街の喧騒を背に、足取りは軽やかに、そして少しだけ立ち止まりたくなる。東寺で感じた力は、私の中で静かに熟成されていく。こんな瞬間が、人生にとっての宝物なのだろう。