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百寺巡礼 (011) 中尊寺 (平泉)2022年6月25日

中尊寺。私がこの名刹を初めて訪れたのは三十歳代、義父の案内で家族と一緒に参拝した時でした。あれから四十年、まさか再びこの地を踏むことになるとは、少し不思議な気がしました。その日、私は久しぶりにその金色に輝く仏像群を目にし、かつて感じた印象がよみがえりました。

金ピカに光り輝く仏像たち。その姿は圧巻ではありますが、なぜか私は心の奥で違和感を覚えてしまったのです。何故だろうか? その仏像たちには、ある種の距離感が漂っているように感じられました。馴染みきれない、少し冷たい印象。それが何なのかは分からないままでした。

昨年、私は上野の東博でこの中尊寺の仏像群に再会することがありました。そこで改めて目の前に立った時、あの時感じた違和感が少しだけ解消された気がしました。それでも、どうしても心が安らがない。私はその理由を見つけられずに、ただ黙って仏像を眺めていました。おそらく、それが私の心の中で何かを掘り起こすための、長い時間を必要としたのだと思います。

四十年ぶりの再訪。時が流れ、人生もまた大きく変わった私。中尊寺の金ピカの仏像たちの前に立つと、何か大きな壁が私を待ち構えているような気がしました。それでも、心の中でその壁を乗り越えなければならないという強い思いが湧き上がってきました。人生とは、こんな風に少しずつ向き合っていくものなのかもしれません。


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