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行方不明。

2024年9月14日、自死についての2作品を上演する舞台『タムケ=ハナムケ』の幕が上がる。

私は、「あの日間違った全ての僕に」という物語を書いた。

人口の99%が自殺志願者になった世界。
世にも珍しい〈生きたがり〉の男は、
「自殺サポートAI」と行動を共にすることになる。
そんな折。
ひそかに想いを寄せる女性が、自死を企図していることを知る──
これは、間違った誰かのための、生と死をめぐる、小さな祈りの物語。

「あの日間違った全ての僕に」作品紹介


「生きる」ということを考えると、寂しい気持ちになるのはなぜだろう。

哀しい事ばかりで、悲しい言葉借りて。

私はharassmentを撒き散らす人でなしで。

普通なんてどこにもなくて、正しさすらもどこにもなくて。

私はずっと間違っていて、誰かもずっと間違っていて。

でも生きている──


生きるということは、闇をさまようことである。

過去なんてどこにもなくて、でもずっと過去が続いていて、ずっと今で。

裏切られたことも、裏切ったことも、それから目を瞑ったことも、全部、過去であり現在である。

過去がなければ現在もない。どれだけ君が失望しても、どれだけ君が生まれ変わっても、君は君からは逃げられない。君の過去と現在からは逃げられないのだ。

君は絶望してしまうだろうか。


でも覚えていてほしい。
錬金術師の門を通らずともわかる事だ。

過去を知ることと、未来を知ることは同じなんだ。
そして、現在を変えられるのは、現在の自分だけ。

間違った私は正しくなれない。
しかしこれに気付けないほど悪ではない。

あの物語を届けるくらいの良心はまだ残されている。

君にも知ってほしいのだ。


自死を考えることは、生を考えることだ。
生を考えることは、自分を考えることだ。

あの物語が、君を救えるかは分からない。
君を救ってきた歌はあるだろうか?
物語が、その歌を優しく呼んでくれればいい。

それだけでいい。


私のことは捨て置くがいい。
私は人間ではないからだ。

私は精神です。
私は思想です。
私は言葉です。
私は物語です。

私は、行方不明になった物語です。


2024年9月13日 薊詩乃

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