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暗がりのスポットライト

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深夜2時。首を吊るためにやって来た神社で、人語を話す三匹の動物——カラス、ゴキブリ、黒猫と出会った。
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【小説】暗がりのスポットライト【#2】

【小説】暗がりのスポットライト【#2】

(前話はこちら)

「問題はこの人間をどうするかだ、そうだろう」肝が冷えるほど低い声で、蜚蠊が言った。

「人間。君はなぜここに来たのだ。ここが我々の聖地だと知って、たとえばわしを踏み潰すために、この地に足を踏み入れたのではあるまいな」

黒猫、鴉、蜚蠊に睨まれたまま、少年は動けなかった。声も出せなかった。第一、声を出したところで彼らに通じるのだろうか。そもそもなぜ人語を話しているのだろうか……。

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【小説】暗がりのスポットライト【#1】

【小説】暗がりのスポットライト【#1】

月のない夜を選んで逃げてきたわけではない。

少年が家を飛び出したとき、月齢になんか気を配ってやしなかった。彼は、御守りやら風水やらを全く信じるたちではなかったし、縁起を担ぐこともしなかった。

新月の夜に決行したのは、まったくの偶然であった。
ただそうせざるを得なかったから、ほんの少し勇気を出して、靴を履いて、サムターンのツマミを回しただけなのだ。

人生や運命というものは、偶然性で形作られた砂

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