押入れから天上裏に出ると灰色の坂がどこまでも伸びていた。空は一面の赤。坂の両脇に建物は一軒もなく踏切の音だけが鳴り響いている。上っていくとむしろ下りている感覚の方が強まった。瞬間――ゴォーッという轟音! 真っ青な電車が鼻先を掠めた。「まだ君の番じゃない」耳元で囁くような声がした。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。