『レイリ』
岩明均版「あずみ」か!? 「ヒストリエ」の続きを早く読ませろ!って気持ちはよくわかる。だがその前にこの1・2巻同時発売の漫画を手に取ってみては?
岩明均は無論知っているけど、室井大資って人はごめん、寡聞にして存じなかった(^_^;) そんな私でも楽しめる戦国歴史もの。戦国がもの好きなら、悪いこと言わないから1巻だけじゃなく、2巻まで買って一気読みがおすすめ。
構成がいんだろうなあ、冒頭からぐいぐいするする引き込まれる。
冒頭に、殺して殺して殺しまくる戦国のインパクトがバーン!ときて、そこから舞台は長篠の戦いから4年たち、弱体化してゆく武田軍と台頭著しい織田軍団の歴史のはざまを生きる、少女レイリの「今」にスイッチする。
そこでは、男たちがお金を賭けて剣の腕を磨きあっていた。
その勝ち抜いた強そうな男が、一人の少女剣士にぼっこぼこにされる。そのぼこぼこにする少女がレイリだ。いったい彼女に何があったのか?
そこを通りがかった武田の武将、岡部元信にレイリは叫ぶ。
戦になるなら自分を連れていけと。
こいつら男衆より強いし、殺して殺して殺しまくって
最後は岡部様の盾になって、死にます!
ちゃんと死にますから!と(趣意)
おい……大丈夫なのか、このレイリってヤツは?
と読者はなる、たぶん。
なんだこの死にたがりやの美少女剣士はと思うはずだ。
岡部は顔をゆがめる。どうしてこうなった?
で、また4年前の長篠の戦いが終わった後に戻り、回想する。
いくさを生き残った岡部元信が落ち武者狩りを逃れて
とある農家にお世話になる場面。
そこの百姓の娘がレイリだ。まだ幼い。
そこへ、手柄ほしさに、敵の民兵くずれがやってきて
両親やら兄弟が、レイリの目の前で、
自分をかばうために死んでいく。
最後、レイリが犯されそうになったときに
岡部が戻ってきて、救う。
そこから岡部がひきとって、4年。
死にたがりの強い美少女剣士のできあがりとなる。
こんなに内容しゃべっちゃったら、誰も読まないじゃん?
って心配になるかもしれないけど、心配ご無用。
ぶっちゃけ1、2巻終わっても、プロローグのプロローグぐらいの
ところだと思う。
第一、ここまででいいところは実は、レイリの過去なんかじゃなく
じっくり抑制のきいた、高潔な武士、岡部のじじいキャラなのだ。
こいつができる武将で、口数が少ないだけに内圧は高くて
こいつがいるだけで、ぐっと場面がひきしまるのがわかる。
本編でもさらってくれているけど、この岡部元信の逸話で有名なのが、「桶狭間の戦い」で敗れた後も織田信長に抗戦し続け、とられた今川義元の首と引き換えに鳴海城を開城し、信長から首を渡されてゆうゆうと鳴海城を去ったという話。信長らもあっぱれと思ったに違いない。しかもそのあと、たしか、なんだかやられただけで自軍の城に帰るのしゃくだから、その手勢だけで別の敵城ひとつ落として帰ったんじゃなかったかな。まあ、それはまた別の話か。
(閑話休題)
で、さらに、そんな岡部とレイリの元を訪れた土屋なる武将がいて、そいつは歴史好きならわかるんだろうけど、これまた武田で一番強いかもしれないっていう武将で、その死にたがりのレイリをぼっこぼこにするわけ。レイリは悔しかったろうなあ。
その後、レイリは岡部から、この土屋にひきとられて、別の密命をうけるわけだけど。その密命というのが武田信勝の○○○になれ、というやつで、これがレイリにうまくはまっていきそうなんだよね。ってところおわっちゃう。ちょっとしたヒキをつけながら。
いやあ、するするっと読めて、本格の味わい。
これは次巻が楽しみですなあ。
キングダム、アンゴルモア、と時代物が熱い。
あとゴールデンカムイとサンチャゴも忘れちゃいけない。
どれもこれもおすすめできる。
そして、今、自分は途中で買わなくなったヴィンランドサガの続きを買いなおそうと思ってるのだが、果たして何巻まで買ってあるのかわかってないので手が出せないのが目下の悩みだ。段ボールの山々を開けて調べなきゃないなんて、面倒すぎる!><
でも、いつかはやらなきゃなあ。頭から買うと高くつきそうだし(^_^;)