証言構成『ポパイ』の時代 ~ある雑誌の奇妙な航海 赤田祐一~
モノ作りにたずさわってる人必読かも。この現場には、ピクサースタジオと同じ感じで本物の遊び人がいる。
・47Pでは仕事中夜の銀座でスケート?
・目的のあいまいな計画はかならず失敗する
・必要な無駄
・大衆化し、システム化した雑誌はつまらん。
・編集会議なし。雑談がすべて。スタッフが笑えばOK
・あとはいいだしっぺが取材執筆。
・より多くの人々に支持された保守的な情報ばかりの雑誌がおもろいわけない!
・ちょっと自分だけの美意識もってる奴を偏集仲間にひきこんだいった。
・みんなの幻想を掘り起こす雑誌。
――52p
創刊して本が軌道にのるまでの間っていうのは僕はひとりの具体的な人間をモデルにしてその人が喜ぶ本を作ろうと思うんですよ。そいつの好みをずっと眺めていってだいたいこいつがモデル読者だなっていうあたりがついた時に本ができる。非常に原始的なやりかただが。ただし、モニターはすべて雑誌がとくに好きな奴ばかりだった。
きしみ:そうだよな。まず一人に伝えられないものが万人につたわるわけない。この作りかた正しい。
――81p熱いページ。
本気で自分が訴えたいことがあるとき、どうしてその訴えたい相手である読者を「一般」などというかたちで想定できるのだろうか。「この企画は一般にはわからないだろうから……」と言って見えない「一般」のことを持ち出すのは、本気で何かを訴えたい者のやることではない。単に自分が怠けているだけだ。
人間は、皆、ひとりひとり違った肉体を持ち違った考え方をもち、その時々によって違ったものの感じ方や受け取り方をする存在だ。「一般」のことなんか考えないで、思い切って訴える。
自分のやりたいことに溺れきり、怒ったり、感動したり悲しんだり、みじめになったりすることでそれを誠実に積み重ねていく。非常に真剣なオルタナティブ。それが結果として読者を感動させることなのではないだろうか。
ただし、こうした独善的な雑誌が、いいか悪いか、楽しいのか、楽しくないかそれは読者が選ぶべきものであり決定すべきものだと思う。
ぼくたちの一番好きなことだけを媚びずに徹底してやればいいし、また、そうしなければ「嘘」なのではないだろうか。もちろん、好きなことだけやるには、厳しい勉強とトレーニングの裏打ちが必要なことを忘れちゃいけない。そうしなければ、雑誌は相対的でスーパーフラットでつまらないものになっていく。
きしみ:くー熱い!真実はいつだって熱いのだ。「とんがったオンリーワン!」を目指さねば。それがエポックメイキングなものになるかどうかはこっちの姿勢と読者の腹ひとつ。
きしみ:押井守もサイトという雑誌で言ってたけど、結局は映画も、自分のフェティッシュなものをいかに正当化して作品化できるかでしょ?みたいな。
・ぼくたちは技術に感動するのではなく底に込められている主張に感動するのである。
きしみ:うむ。これはどこの世界でもそう。
・そばにいると明日が楽しい感じがある。だから、もっと傍にいたい。そんな人間たち。
・いつでもどこからでも拾い読みつまみ食いできるスナック雑誌。掘り下げずに表面をさらっと分かりやすく書いてみせる。目に映るとんがったあらゆものをそうして軽く友達に話すみたいに書く。
(しかしある奴はこう批判する)↑みたいに作るからいきづまったんでは?目に見えるモノしか対象にしてこなかったから。本当の文化を浮き彫りにできなかった雑誌。消費社会のシンボル。おきらく簡単快楽バブル雑誌。
きしみ:なるほど。そういう見方もあるか。ポパイのクラブ活動的ワイワイつくりのよさは認める。が、ぼーっとした瞬間がないと見えてこないものまで取り込めなかったポパイには、はじめから限界があったと。趣味雑誌は高校の3年で卒業すべしってか。
・かと思えばその軽薄な、脱力するくらい稚気があったからカチッと深刻にならずあそこまで売れたとみる奴もいる。
きしみ:むぅ。やはり、物事には必ず二通り以上の見方があるなあ。
・やっぱり組織は少人数にしてがーっと作るのがいい。そして風通しがいいのがいい。酒でも飲んでいろんなことをどんどん言える場所が一箇所でもあること。醒めちゃってるのは駄目。雑誌はノリが肝心。
・会社に元気がない!おもしろいガキ大将がいない。おぼっちゃんばかり。
・~ねばならない!だらけの雑誌!
・発信せよ!
・締め切り破る奴に、むなぐらつかんで「心の中に時計をもてといったろ!!」という奴。熱い。
・味のないガム
・ゴミみたいな仕事
きしみ:目に飛び込んで訴えてくるいい文字があるね。雑誌は鮮度か。25歳すぎたら男はみな同じ少年。だから稚気のある雑誌が50万部までのびた。
中年ゴルフ用ポロシャツを爽やかに着こなすアメリカ人にショックうけてポパイが発想された。青い空、自転車。テニスラケット、健康的イメージでババーンとしらけた日本人にうちだした。
・「編集者は自分を喜ばせるものしか活字にしない」ハロルド・ロス
・「情報過多の時代、理屈はやめろ。妄想で立ち向かえ」