『ふしぎの国のバード』
ふしぎの国のバード 1・2巻 (ビームコミックス) 佐々 大河
これも見るからに良質漫画なにおいを放ってたので購入したもの。
そして大正解! ギャグが地味なテルマエロマエといったら的外れだろうなあ(笑)実在したイギリス人の女性冒険家が、明治初頭、東京から蝦夷まで日本人すら踏み入ったことのない地図なき道を旅するわけだけど。そのお供は、たった一人の通訳、伊藤鶴吉(イト)のみ。
この佐々 大河って人も新人らしんだけど、いやはやかなりの実力派で読ませる読ませる。
淑女から見た古き良き日本文化は、驚きに満ちていた、本当にカルチャーショックがあったと思うし、そこもよく描けていて楽しい(混浴にびびるとかね)のだけど、テルマエロマエ的な面白さよりなにより、主人公の偏見や差別を乗り越えていく等身大のピュアな葛藤や、日本人の本当にきめ細やかで優しいおもてなしの心遣いとか、人情やヒューマニズムが実に丁寧に響くように描かれていて、とてもすがすがしく瑞々しく、おいしい漫画になっていた。現在2巻まで出ていて、続きが待ち遠しい。
こういう地味だけど、奥行きのあるおいしい漫画が描ける人って、素敵やわあ。
個人的には、イトのどこまでもクール(内省的ともいえる)な眠たげな眼や言動が、主人公との距離感をいい感じに保って、読者をけん引しているヘソであり、なかんずく、読者を置いてきぼりにしない客観性のシンボルだと思う。そこがへそであり、ミソなんじゃないかな。しかし、イトくらい博学な通訳は本当に助かると思う。学者顔負けだな。ちょっとうらやましくなる。
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