好きではなかった。むしろ憎んでいた。勝手放題で家族を振り回し、脳梗塞で救急車に運ばれては戻ってくる。そんな父親が退院し、町内会の役員として挨拶をしていた。口もよく回らないのに何か気の利いた冗談を言おうとして目を泳がせている。失笑が広がった。瞬間、父を笑った人間全員に殺意を覚えた。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。