『透明な私』
荒野にポツンと秘密小屋
裏には大きな焼却炉
焼かれる前の赤い下駄に
白い蝶々が優雅に止まる
それもすぐに灰になった
また少女が一人
人形を抱いたまま
顔のない夫婦に連れられて
小屋に入った
レンガで骨を潰すような鈍い音と
鋸を挽くような小気味いい音が
しばらく続いた
焼かれる前の人形に
また白い蝶々が止まった
やがてそれも灰になった
私はただ
それを見ていた
小屋の中で
あるいは外で
私はただ
それを見ていた
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水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。
ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。