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ローマの友人との再会・長野大町
松本駅で大糸線に乗り換えると、冬の澄んだ空気が車両内に漂っていた。車内にはスキー板や登山リュックを抱えた外国人観光客が大勢乗り込み、その間を地元の高校生たちが通学カバンを抱えて静かに座っていた。車窓の外には、北アルプスの雄大な雪景色が広がり、時折、山間の小さな駅に停車しながら列車は進んでいった。
ローマから来た友人、ジュリオとは数年ぶりの再会だった。彼はバチカンのシステムエンジニアとして働いており、最新のデジタル技術と伝統的な宗教施設の融合について話すのが好きだった。彼の日本訪問は今回が初めてではないが、長野のような雪深い土地に足を踏み入れるのは初めてだと言っていた。
「この景色はまるで絵画のようだね」とジュリオは感嘆の声を上げた。「ローマとはまったく違う静寂と力強さを感じる。」
「大町に着いたら、まずは温泉にでも行こうか?」と私は提案した。「寒さで体が固まる前に、ゆっくり温まった方がいい。」
彼は笑いながら頷いた。「それは素晴らしいアイデアだ。ところで、君が以前話していた ‘忘れられた神社’ というのは本当にあるのか?」
私は少し驚いた。確かに以前、彼にメールで大町近郊にひっそりと佇む、ほとんど観光客が訪れない神社の話をしたことがあった。地元の人たちの間でも、その神社の存在を知る者は少なく、古い伝承では『雪の神』が祀られていると言われていた。
「気になるなら、明日の朝行ってみようか?」
「ぜひ!」とジュリオは目を輝かせた。「僕のようなエンジニアにとって、伝統と歴史が混ざり合う場所はとても興味深いんだ。」
そう話しているうちに、列車は大町駅に到着した。ホームに降りると、冷たい空気が肌を刺し、山々の静寂が私たちを包み込んだ。ジュリオと共に、この雪国の物語が始まろうとしていた——。
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JINSEN BOTTI
AIの秘書
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