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UFC観戦雑記【2022年6月②】

まさかの二部制の6月備忘録。

パート②です。


①カン・ギュンホvsダナー・バットゲレル (6/11 UFC275)

韓国のギュンホと、モンゴルのバットゲレルのアジア人同士のバンタム級戦。

ギュンホはロー(&カーフ)とジャブが良い。
どちらもよく当たっている。
ローがあるからジャブが当たる。
ジャブがあるからローが当たる。

バットゲレルは右狙いか。
ギュンホはこれは対策バッチリという感もあったが1R終盤、ガード上からでも効いたか、まとめられてしまう。
ギュンホは受けると固まったり真っ直ぐ下がってしまう場面がチラホラ。

試合は2R以降もローとジャブを的確に当てていったギュンホがスプリットながら判定勝ち。
ジャブはかなり当たってたな。
ただジャブも右のクロスも単発。
繋げたいところ。

リアルタイムで観た時は難しい判定かなと思ったのだけど(実際スプリット判定だし)
改めて見直すとギュンホは完封勝利と言っても良い内容なのでは。
ただやっぱりもうちょっとアグレッシブさは欲しいところ。

なんでこの試合をピックアップしたかと言うと
試合を見ていてRIZINのバンタム級トップ勢はこのアジア人UFCファイターと比べるとどうなるのだろうと。
ギュンホもバットゲレルも、UFCだとランキング入りも厳しいラインだけどアジアではトップだと思う。
このふたりに対して、海選手、扇久保選手、井上選手あたりはどうなるのだろう?
ギュンホは清水俊一選手、田中路典選手、石原夜叉坊選手と日本人に軒並み勝っているし
バットゲレルはこれで2連敗も、それまでUFCで3戦連続1RKOなんてしちゃってるし。
と興味が湧きましたね。


②ダミル・イスマグロフvsグラム・クタテラーゼ (6/18 UFC Ausin)

18連勝中のイスマグロフと、9連勝中で前戦は当時17勝無敗だったガムロット(現UFCライト級12位)に初黒星をつけたクタテラーゼによるライト級実力者対決。
2人ともコンスタントに試合をこなしていればランカーでしょう…
イスマグロフは約1年1ヶ月振り、クタテラーゼは約1年8ヶ月振りの実戦。

速く鋭いジャブを軸に攻めるイスマグロフと
パンチ→ローのコンビネーションを中心に、ロー、ミドルと蹴りも多彩に出していくクタテラーゼ。
打撃もテイクダウンを狙う攻防も五分。
1R中盤過ぎに四つ組みの状態からクタテラーゼの膝が顎にヒットし、効いた様子のイスマグロフ。
追撃のダメージは許さずもやや大振りになってしまったイスマグロフ。
1Rはクタテラーゼかな。
しかし2R以降は持ち直しジャブをどんどん当てるイスマグロフ。
クタテラーゼも上下に身体を動かしてフェイント、多彩な蹴りと良いが
イスマグロフは打撃を見切ってきた様子。
クタテラーゼが踏み込んで打つワンツーもクリーンヒット許さない。
クタテラーゼは打撃にタックルを混ぜて行くもイスマグロフもディフェンス続ける。
3Rになると更に回転力上げた感もあるイスマグロフ。
ジャブを的確に当て続け判定勝利。

レベル高くてめちゃくちゃ良い試合。
これがノーランカー同士の試合なのか。
敗れたけど個人的にはクタテラーゼの良さが光ったなあ。
パンチからローへ繋げるコンビネーションに、ミドルと良い。
もっと試合してください。笑

イスマグロフはなんだか強かった頃のファーガソン感あるな?
これで19連勝。
次はいい加減ランカーと見たい。
飛び級感ありますがRDAあたりどうでしょう?


③アルベルト・デュラエフvsホアキン・バックリー (6/18 UFC Ausin)

2020年ノックアウトオブザイヤーのバックリー。
全身のバネと突進力を活かした打撃が武器。
2020年どころかUFC史に残る衝撃KOの印象がめちゃくちゃ強い、むしろそれしかないと言っても過言では無かったのですが…
10連勝中でロシアACBで2階級を制した怪物グラップラー(だと思ってた)デュラエフのタックルを防ぎまくり、ハイキックなどでダウンを奪い完封勝利。
全然印象違う。強くなった?
飛び込んでの打撃とかパンチからのハイとかやってることは変わってないと思うんですけど
試合をコントロールというか、落ち着いて試合を作っていた印象。
ごめんなさい一発屋かと思ってました。


④エイドリアン・ヤネスvsトニー・ケリー (6/18 UFC Ausin)

バンタム級プロスペクト8連勝(6KO)のヤネス。
これだけ期待されてるヤネスを僕なんかが改めて書くことなんてないんですけど
強いです。

基本はジリジリと圧かけて、それでいて踏み込み速い。
踏み込みが速いから、踏み込むだけで圧になる。
1R後半にはかなり圧が効いてきたか、ケリーが固まるとパンチのコンビネーション。
最後にボディにまとめるところも良い。
あとはパンチの軌道も独特というか多彩。
フックのようなやや外側の軌道のジャブ、ストレート。
見えにくいだろうな。
フィニッシュもこのフックっぽい軌道のストレートが耳裏らへんに当たったか、効いたケリーにパンチをまとめて打ち込みKO。
回転力もあってハンドスピード速いし、パンチが『THE体幹』て感じ。身体でぶち込んでる。
それとケリーの蹴り終わり、蹴り足をキャッチした後に打ち込むパンチが良いすね。
キャッチ→パンチまでが速い。
やっぱ自分が攻撃した後って隙が生まれやすいから、そこをあのスピードで打ち返されると嫌だな。

これでヤネスは9連勝。
遂にランキング入り。
オマリー、ムニョス、ベラ、フォント、クルーズらへんと観たい。
ってもうバンタム級ランカー鬼すぎて誰とやっても楽しみです。
ランク外でもバリエフ、ウマル、サイード、ロニーローレンス、カイラーフィリップス、バルセロス、ケイシーケニーとか誰とやっても面白いけどね。
いやーバンタム級地獄ですね。


⑤ジャスミン・ジャスタビシアスvsナタリア・シウバ (6/18 UFC Ausin)

3連勝中のジャスタビシアスと7連勝中でUFCデビュー戦のシウバによる女子フライ級戦。
シウバ一回り小さい。本来ストロー級の選手か?それくらい体格差を感じる。
シウバは7連勝中の内6つがサブミッションでの一本勝ち。
寝技師かと思いきや、どうやらテコンドー出身の模様。
小柄な体格を活かして、華麗なフットワーク、下がりながらロー、サイドキック、ミドル、後半にはワンツーも当て
ジャスタビシアスを完封。
捌き切った。何もさせなかった。
なんだこの選手。
蹴りも多彩で、下がりながらの打撃も上手い。
打撃能力はかなり高い。
なんとか捕まえたいジャスタビシアスは、
焦りか手詰まりか手が出ず素直に組み付こうとするも捌かれ続け
なんとか組み付いた場面もテイクダウンには至らず逆に投げ返され上から殴られる場面も。
ジャスタビシアスはキツい敗戦。
何もさせてもらえなかったというか、もうお手上げ状態というか、手札の少なさを露呈させてしまった印象。
シウバの打撃能力がかなり高かったが、打撃でかなり差があった。
シウバは適正階級も含め今後楽しみだな。
軽く幻想を抱ける。


⑥アルマン・ツァルキヤンvsマテウス・ガムロ (6/25 UFC Vegas57)

5連勝中11位のツァルキヤンと21勝1敗で3連勝中のガムロによるライト級ランカー対決。

フットワークに上体を振りながらジャブのツァルキヤン。
無駄な力が入ってなくて伸びる。
ツァルキヤンはここ数戦でかなり打撃が向上してるなあ。
蹴りも良い。
ミドルは強烈だし、パンチからミドルで終えるコンビネーションも良い。
めちゃくちゃ好き。
ガムロのパンチには左フックを合わせている。
スタンドの展開ではツァルキヤンが勝っているな。的確に当てている。

組みの展開も互角!!
スクランブルに次ぐスクランブル!
極上のMMAレスリング。
お互い良いタイミングでタックル入るも、TDDも互いに素晴らしい。
完璧な綺麗なテイクダウンこそほとんど無かったものの、バックを取っていた時間などではややガムロか。
ただダメージに繋がるとか完璧にコントロールしてるって程じゃないんだよなー。

個人的には
1.2Rは的確に打撃を当てたツァルキヤン
3.4Rは見方によると思う
けど個人的にはどちらもツァルキヤン。
ただバックに付いてる時間も長くガムロの印象も悪くないんだよな。
5Rはガムロ。

結果は48-47、3〜5Rを評価されたガムロの勝利。
いやあ分からなくはないんだけどね。
ヒット数もダメージもツァルキヤンだったと思う。
4R目にバックブローでダウンしてるしだな。
3R目にもタックルで誤魔化したというか、ガムロのタックルにツァルキヤンのパンチがゴツンと当たっていて一瞬落ちたようにも見えたんだよな。
めちゃくちゃレベルの高いレスリングの攻防だったけど、だったからなのかレスリングの攻防ばかりフォーカスされてツァルキヤンの打撃が評価されていない感。
コントロールタイムと言っていいのかバックに付いている時間が長かったガムロにラウンドを振り分けちゃった印象。

いやガムロ批判じゃないんすよ。
個人的にこの試合は上半期で一番レベルで好みな試合でしたし。
1.2Rと打撃で厳しいと感じたか3R以降完全にレスリングにシフトしたガムロの手腕も素晴らしい。
トップレスラー同士?トップグラップラー同士?だからこそ、こういった判定になったのかなー?ってだけ。

勝ったガムロは勿論、敗れたツァルキヤンも評価は落ちてないだろうし、早く次が見たい。上位陣と。


⑦ニール・マグニーvsシャフカト・ラクモノフ (6/25 UFC Vegas57)

15戦全勝全フィニッシュのパーフェクトレコード継続中の15位ラクモノフが
初のvsランカーで10位マグニーと対戦。
マグニーは2013年からUFCで闘い長きに渡りランキングに名を連ねている中堅ランカー。門番的な。

試合は
ラクモノフがテイクダウンからコントロールし続け
2R残り5秒程のところでギロチンチョークで一本勝ち。
1.2R目のテイクダウンは共にマグニーが簡単にやらせ過ぎた感もあるけど
マグニーを漬け切って極め切った。
マグニーをここまで一方的にした選手もいないのでは。
残り10秒くらいでセットして、残り5秒くらいで極め切ってしまうフィニッシュ力も凄い。
未だパーフェクトレコード継続中か。

僕にグラップリングの知識は少ないので、理解不十分の部分もあるとは思うのですが、強いというのはよーく分かる。
何が強いのか、何が突出してるのか、よく分からない。見えない。
けど強い。間違いなく強い。
強いという事実だけが、漂ってくる選手。

でもまあ身体はめちゃくちゃ強いんだろうな。
重石のような盤石のコントロール力に、
パウンドとかもゴツゴツしてるし。

今回の試合はスタンドの時間が少なかったけど
ラクモノフはジャブも良い。
リーチで負けているのに、よく当たるんだよな。
特にマグニーがジャブ打った後に打つジャブがよく当たっていた。
これってしっかり距離感を把握してないとできないと思うんだよな。

この勝利でラクモノフはトップ10入り。
ウェルター級は最近のタイトル挑戦者を見れば分かる通り(コビントン→バーンズ→マスビダル→マスビダル→コビントン)、
長い期間上位陣が固定されていたから
ここにきてチマエフ&ラクモノフの登場は凄く面白い。


⑧ クリス・カーティスvsホドルホ・ヴィエイラ (6/25 UFC Vegas57)

2018年のコンテンダーズシリーズで勝利も契約に至らず、その後はPFLで3連敗を経験後、ローカル団体で勝ち星を重ねてUFCへの切符を掴んだ苦労人カーティスのUFC3戦目。
UFCでは当時7連勝中だったフィル・ホウズを、その1ヶ月後にブレンダン・アレンを連続KO。
スッ、ドン!と言った風なスマートで重たいパンチが武器。
注目のオールドルーキーと言った感じでしょうか。
対するヴィエイラもここまで8勝1敗のプロスペクト。
8勝のうち7つが一本勝ちの寝技師。

試合はヴィエイラのタックルを切りに切りまくったカーティスが判定勝ち。
ヴィエイラの1R一発目のカーティスのカウンターのパンチに合わせたタックルは素晴らしすぎたけど
あれを切られるとなあ。
それ以降は素直にタックルに入りすぎてしまった印象。
ヴィエイラはジャブが凄く良いんだよな。
ストレートも真っ直ぐコンパクトで良い。
もっと打撃とタックルを混ぜられればテイクダウン率も良くなるのでは。
それでもこれだけ切り続けるカーティスのTDD能力らすげえ。
カーティスはボクシング技術が高いというか、上下の打ち分けが素晴らしいな。
特にジャブ(もしくは右フック)から左のボディアッパーが良かった。
なんでこれだけ左のボディアッパーが当たるかって言ったら
左ストレートが良いというのもあるはず。
左ストレートをノーモーションで打つから、左手が少し動いただけで意識が上に散るのでは?
そこから左ボディアッパーを打つから当たるし効く。
ジャブみたいに左ストレート使うんだよなー。

カーティスはこれでまさかの3連勝。
3試合とも内容良いし次当たり下位ランカーにぶつけてみてもいいのでは?
言うてミドル級もランク外にも良い選手揃ってるんだよなー。


⑨シャイラン・ヌアダンビヌvsTJ・ブラウン (6/25 UFC Vegas57)

中国のシャイランが判定勝ち。
なかなか難しい判定ではあった気もするけど
シャイランは身体が強い印象。
テイクダウン取れるしコントロールできるし
パワー負けしないのは大きい。
あとはなんだろう、気性の荒さですよね。
打撃も退かないもんな。
この気性の荒さって日本人じゃあまり無いよなーと。




6月以上になります。
6月はなんだかアジア人選手の試合も多くて感じることが多かった。
1ファンとしてやっぱ日本人にも頑張って欲しいですよね。
中国人も韓国人も出来てる。日本人も絶対できる。

6月備忘録を大量に書き終えてひと段落ですが
今週末はUFC276。
早いて!!
6月良い試合、良い大会多すぎて
全然心の準備ができてないです。

UFC276もかなりの好カードが揃ってまして
久しぶりのvsストライカーで本領発揮が期待のアデサニヤvsキャノニア、
フェザー級頂上決戦ヴォルカノフスキーvsホロウェイ、
タイトル挑戦目前?6連勝中ストリックランドvsアデサニヤをKOした男ペレイラ、
ムニョスvsオマリー、リデルvsターナー、ジムミラーvsセラーニ、ホールvsムニス、タヴァレスvsプレシ、ギャリー、ロビーローラーと
現場だったらいつトイレ行くの?って感じです。

7月はたぶんこんなに書けませんが…
それでは7月も宜しくお願い致します。


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