航空会社の運行状況データから見えた、コロナ以前の航空会社と路線の状況
航空会社の国内輸送実績として、定時運航率・遅延率・欠航率に関するデータが国土交通省から公開されていたので、コロナ前はどのような状況だったか調べた内容を書きました。
前提
データ元
出典)
国土交通省 航空輸送サービスに係る情報公開より、データを加工して作成
注意点
・データ公開元の注意点を考慮して加工していますが、詳細についてはデータ公開元でご確認ください
・記載しておりますが、基本的には公開されている最新3年分(平成28年度〜平成30年度)のデータがベースです
・バニラエアは2020年現在、Peachに統合されたが、参考指標として記載
2019年のデータはおそらく今回紹介する傾向に近いと思いますが、2020年については大きく落ち込みが考えられるため、違った傾向が出る可能性が高いことをご理解の上、ご利用ください。
それでは定時運航率から見ていきます。
航空会社別「定時運航率」
※以下、定時運航率の定義は「全体の便数に占める出発予定時刻以降15分以内に出発した便数の割合」とする
国内航空会社の2016-2018年の推移
ほとんどの航空会社が80%以上の定時運航率達成をしていました。
数値上では、出発が予定より15分以上遅れるのは、4・5回に一度程度と言えます。LCCも他の航空会社より少し低いものの、75%以上は達成していました。
15分以内ではなく、定刻通りの出発がどれぐらいなのか気になるところですが、データがありませんでした。
ANAとJAL比較
ANAとJALにフォーカスして見ると、両社とも定時運航率は90%前後となっており、大きな違いは出ていませんでした。
LCC比較
各社とも80%台を前後している形の結果でした。
LCCは定時運航率だけで見れば、どの会社を選んでも大きな違いはなかったように見えます。
航空会社別「遅延便」
※以下、遅延率の定義は「出発予定時刻より15分を超えて出発した運航便数の割合」とする
国内航空会社の2016-2018年の推移
遅延割合で見ると、LCCが高くなっていますが、離島系路線が多い航空会社も平成30年度は高くなっていました。
ANAとJAL比較
全日空がJALよりも遅延割合が高かったものの、最新データである平成30年度で見ると、改善された結果となっていました。
年度別の遅延理由の割合です。
割合として多いのは、機材繰りとなっておりますが、欠航理由と合わせて見ると、どういう時に遅れ、どういう時に欠航になりやすいかが理解でしやすくなります。
航空会社別「欠航便」
※以下、欠航割合の定義は「運航予定便数に対しての割合」とする
国内航空会社の2016-2018年の推移
欠航割合が高いのは離島航路を持つ航空会社が多く、天候による欠航が多いのが大きな要因となっていました。
以下に、離島航路の多い航空会社の天候理由の欠航割合を出しました。
欠航割合の中でも天候理由が多いのがわかると思います。他に、運航機材が少ない航空会社では、機材周りで欠航になることも多かったようです。
参考までに、離島については大型船でも天候次第では着岸できないこともあるので、航空便だけの事象ではありません。
離島に行く場合、どの交通手段でも天候によっては島に入れない可能性があるという認識をもっておくのがよいと思います。
ANAとJAL比較
平成30年だけ、ANAの欠航率が上昇していますが、それ以外はANAもJALも似たような欠航率になっていました。
欠航理由の割合を出してみましたが、比較的似た傾向にあるものの、平成30年のANAは「その他」での欠航が大幅に増えていました。
ここからは輸送人員や旅客収入のデータを分析した結果です。
航空会社別「輸送人員」
国内航空会社の2016-2018年の推移
国内輸送実績を見ると、ANAとJALが突き抜けており、他の航空会社の状況がグラフで確認できないほどの状況でしたので、切り分けて紹介します。
ANAとJAL比較
ANAとJALはどちらも輸送人員数は伸びてきていました。比率については同じような割合でここ数年は来ていたようです。
その他航空会社比較
旅客数データを見ると、スカイマークは復活の軌道に乗ってきたなという感じを受ける推移をしていました。また、オリエンタルエアブリッジが伸びていますが、どういう理由かがわからずでした。仮説でもよいのでわかりそうな方がいたらコメント欄で教えて下さい。
旅客収入(百万円)
国内航空会社の2016-2018年の推移
旅客収入も輸送人員と同じくANAとJALを入れると他の航空会社の増減がわからないので、分解しました。
ANAとJAL比較
旅客収入で見ると、JALの方が伸びが良い傾向が出ていました。
その他航空会社比較
基本的に国内線で大きく料金が変わるわけでもないので、旅客数の変化と同じような形の結果になっていました。
輸送人員あたり旅客収入(千円)
国内航空会社の2016-2018年の推移
輸送人員あたりの旅客収入で見ると、ANA・JAL・スターフライヤー・フジドリームエアラインズ・アイベックスエアラインズが比較的高い結果になっていました。
離島や飛行距離の短い航路が多い航空会社は、どうしても低めになってしまうのはしょうがない部分ではあるかと思います。
最後にLCCですが、こちらもライバル同士が競り合ってるだけに、似たような傾向が出ていました。
主要路線の旅客数と座席利用率
旅客数
座席利用率
主要路線の旅客数と座席利用率をまとめました。
旅客数が多いのは、鉄道利用だと時間がかかって不便だったり、飛行機でないと行けない大都市間のルートでした。
座席利用率については、LCCが力を入れている区間(成田-札幌、成田-福岡など)の座席利用率が高い傾向となっていました。
全体的に座席利用率は上昇傾向にあっただけに、コロナでブレーキがかかったのが惜しまれます。
最後に
航空業界がコロナ前までどのような状況だったか気になって調査した内容でしたがいかがでしたでしょうか。
今後、コロナ騒動が落ち着いた後、旅の形がどうなってくるかは様々なケースが想像できますが、航空業界も再び上昇傾向になると良いなと思いながらまとめました。