ダンシング50overゼネレーション【これまでのあらすじ】
いきなり何の話!?って感じですがこれが第0話です。
まずは、これまでの(ダンスと私に関する)あらすじをざっくり羅列していきます。
★大学〜会社員時代
高校時代、マイケル・ジャクソンや一世風靡セピア(!)に魅せられ、大学時代にサークル活動を通して始めたダンス。それによって生まれたきらきらした青春の日々が捨てきれず、社会人になってたった3年で「ダンサーになりたいから」というアンビリーバブルな理由で広告会社を辞めた。それが私である。
なのに他のダンサー志望の友人のように毎日ごりごりにレッスンを受け鍛錬したりしなかった。週に数回レッスンを受け、下手なくせにオーディションも選り好みした。ダンススタジオの発表会だけは皆で出られるので楽しんだ。なのでダンスの仕事はたまにしかなくて、基本アルバイトで食いつないでいた。そしてそれを「運に恵まれない」と思っていた。
私はきっと「仲間と踊る日々をおくる私」「文化祭のような日々を過ごす私」が好きなだけであって、何がなんでもダンスで食っていく気概などなかったのだ、と今は思う。
その後ひょんなことから創業したばかりのベンチャー企業に勤めることになる。安定した生活と月給は得たが、激務の中であっという間にダンスをする生活は失われた。
あるとき社員総会で出し物として社員を踊らせたいから指導をしてくれと頼まれた。その結果、毎年2回、1ヶ月間というリハーサル期間をとりスタジオを借り、ダンス経験ゼロの自社社員にガチンコでダンスを教える不思議な風習が生まれるようになった。それは10年近く続いた。その期間限定の部活のような、文化祭のような日々で、私はダンス成分をかろうじて摂取していたのだ。
★総合フィットネスからビーモンへ
アラフォーになってからは近所の総合フィットネスクラブにあるダンス系のPGMを受けるようになったけど、健康維持のための場は参加者の意識や感覚も含め、ちょっぴり物足りなくはあった。
その後「NYで流行りの」と鳴り物入りで登場した暗闇ボクシング「b-monster」を始めた。ボクシング自体に特に興味はなかったけど、クラブのような照明の中、流行りの音楽に合わせて踊るように動くボクササイズはめちゃくちゃ楽しく、すごくキツく、圧倒的な達成感があってすっかりハマった。「3ヶ月やってダイエットに成功したらやめよう」と思っていたのに気づけば6年。いまも通っている。
踊ることからすっかり遠のいても、いや遠のいたからこそ「やっぱりダンスをやりたい」と思っていた。大学時代にダンスの道に進んだ友人たちはダンサーとしての実績を積み、今ではダンスを教える立場になり、私がそうつぶやくたび「いつでもスタジオに来なよ」と言ってくれてた。「今日がいちばん若い日なんだよ。やりたいならすぐやるべき」と。
しかし今さらあの「ダンサー志望の若者たちが集うダンススタジオ」に行けるわけがない!と思ってしまう。しかも中途半端な過去の経験とただ「楽しく踊りたい」という気持ちだけ持った中年の私が。
というわけで何年も何年もずーっと尻込みしっぱなしだったのだ。
★カーディオのトライと挫折
b-monster(通称ビーモン)ではすっかり古株会員になったけど、その頃から自分の身体が「ビーモン向き」になっていることが気になってきた。
別に「ビーモンに通っていると誰しもこういう体型になる」というのではない。実際、通っている人の体型はさまざまだし。
でも私の場合「自分の好きなPGMで動きやすい筋肉に偏る」とか「すこやかに腹が減るので部活帰りの10代みたいに飲み食いしてしまう(つまり節制をしない)」とかがあって、結果、まあまあイカツい感じに育ってきたのだ。全部自分のせいですけどね。
ダンススタジオに行く前に、まずは踊れる体型に少しずつ戻していきたい。踊るのに適した筋肉の使い方に慣れたい。
というわけでビーモンと並行して「CARDIO BARRE(カーディオバー)」にいくことにした。カーディオバーはLAで人気のバーエクササイズ。バレエのバーレッスンをもとに考えられたPGMだ。
ビーモンのキツさに慣れていたのでそれよりは楽だろう、バーレッスンなら昔やったことあるし、とたかをくくっていたらとんでもなかった。身体の使い方が全然違うからだ。
ビーモンでは主に身体の外側の大きな筋肉を瞬発的に使っていた。でもバレエをもとにした動きでは、主に身体の内側の筋肉を細く長く絞り上げるように使う。私の内側の筋肉(特に内もも)は完全に衰えていて、スタジオ内でいちばんイカツいのにスーパー動けなかった。
カーディオバーに通っていれば間違いなくサボッてた筋肉が目覚めるだろうとしばらく通っていたのだけど、その頃ちょうど更年期が始まる。何をしても身体は重くこわばる。ビーモンは発散型なので「動いてりゃ何とかなる」のだけど、バーレッスンはそうはいかない。
速いペースでノンストップで動くバーエクササイズで周りについていこうとすると、つい間違った筋肉(使い慣れた外の筋肉)を使って無理やりポーズをキープしてしまう。今どこを使うべきかを考えるヒマがない。「今の体型と今の動けなさのまま、ハイペースでバーをこなすと私の身体は間違った作りになっていくな」と思った。なので思い切って退会した。
PGM内容も本格的で良いし、インストラクターの皆さんも本当に素敵な人ばかりでとてもいいジムだったけど、その時の私には向いてなかっただけだ。
★そして今
更年期問題はホルモン剤を服用するようになってだいぶ解決し、相変わらずビーモンにだけは通うという日々に戻った。この段階で、ダンスに関してやりたいことはまあまあハッキリしてきた。
・予想以上に動けないので初心者レベルで始める
・先生や振付(コンビネーション)の好み以前に、基礎からやる
・基礎の動きを細かくゆっくりやってくれるクラスでやる
・身体についてる変な偏りやクセを取っていく
大事なことはゆっくーりやること!基礎の基礎からやること!
そう、大学時代、パドブレやピルエットの練習から始めた頃みたいに。
それにしてもあれだな…細部はだいぶはしょっても、こうして書きつらねて痛いほど分かるのは「私はぜんぶ中途半端」ってことだ。書いてていやになったよ。
ダンスって本来、心のおもむくままに楽しく動くことでいいんだけど、人前でかっこよく素敵な動きをするためにはある程度の鍛錬が必要だ。自分と向き合ってだめなところを認識し、そこを練習で少しずつ直してゆく作業。私はそれが全然できていない。たぶん、ダンスだけじゃなくて仕事とか他のこともだ。できないくせに自意識が過剰。わー。こういう自分との対峙をせざるを得ないのが芸事のおそろしいとこだった、私そこからスタコラ逃げ出したんだった…と思い出す。
今の自分は人生の中でもかなりかっこ悪くてしょうもない状態にいると自覚しているので、それで却って「どうせみっともないからジタバタしてもまあいいや」と思えてるのかもしれない。人生後半戦でかっこつけるとこはどこにもないってのもあるし。
というわけであんなに長年尻込みし続けたくせに今年になって私は急に「あ、4月から始めよ」と思い立つのであった。
つづく。
(ヘッダ画像は槇村さとる先生のダンスまんがの名作「ダンシング・ゼネレーション」。ある年齢以上の人は間違いなくこれに影響受けてダンス始めてます)