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推し、ジム辞めるってよ。【5. Kさんにハマッた理由】

さてこのシリーズ、
推し、ジム辞めるってよ。【1.その日が来た】
推し、ジム辞めるってよ。【2.沼にハマる前提にあるもの】
推し、ジム辞めるってよ。【3.沼にハマるシステム〜パフォーマー】
推し、ジム辞めるってよ。【4.伝える力とYUUKIさんの話】

ここまで来てやっと、「ジム辞めた推し」の話(本題)に至ります。ぐすぐずしてたから辞めてからもう2ヶ月以上経過してしまった…。
好きなものの話をする時は「そのヒトやモノ、そのジャンルに全く興味がない人でも分かりやすいようなるべく客観性を失わずに書くべし」という掟を己の中に作ってはいますが、今回は読む人を完全に置いてけぼりにする予感しかないし何なら同じジム所属の人ですらついてこれない可能性が高いので先に謝ります、ごめんなさい。

私のいちばんの推しパフォーマーはKさんという方でした。イニシャルトークではなく、パフォーマー名が「K(けー)」です。

■始まりは「『彼じゃなきゃ』が特にない」

【4】でも書いたように、YUUKIレッスンの完成度が座標軸でYUUKI原理主義者だった私ですが、それ以外のレッスンにももちろん出ていました。
フリーランスかつ朝に弱い私がいちばん通いやすい時間帯は平日11時台〜16時台。その時間帯で家から最寄りの恵比寿スタジオのスケジュールによく入っていたのがKさんでした。最初のきっかけは、ただそれだけ。

2017年夏。デビュー直後に受けた第一印象は「頑張ってるけど空回ってるな」。でもデビューしたては彼に限らず全員そんなもん。その後、受けた時は「よくなってる…!」と思いました。ソツなくバランスよくまとまってるし、元ダンサーらしくステップ多めで楽しさもある。でもまだ「Kじゃなきゃ!」というひと押しがない。「Kのレッスンわりといいよね」と友人が言っても「悪くはないよ。フォームがきれいだしフックの時の上腕筋美しい。でも『通いたい!』までいかない」とか偉そうに言ってました…。

当時「私の青山の双璧」と勝手に呼んでいたYUUKIさんILSON(現A-ZSON)さんは一発目から「何!?この人のレッスンすげーいい!」でした。ゆえに「二度受けてそこまでハマらない人の印象は上向かないだろう」と思ってたのです。しかしKさんはどんどん変わっていきました。なにせいいタイミングにスケジュール入ってるので1ヶ月に1度くらいの割合で受けてたけど、自分のカラーが出始め、キューイングも流れもよくなり、楽しいポイントが増えてった。当時はまだvol.1しか持ってなかったけど、受けるたびに中身がブラッシュアップされてキツくなっていきました。(リバースプランクのまま片足あげさせられそのままヒップダウンとかキツかったな〜)

■「おもしれー男…」

さらにいいなと思ったのはその接客です。レッスン終了後、Kさんとお話してる常連の方の後ろを会釈しつつサッと通り過ぎようとしても、いったん話を区切ってこちらと目を合わせて「ありがとうございました♪」と言いながら両手を振ってくれたり「1ヶ月ぶりくらいじゃないですか?また来てね!」と言ってくれたり。私はコワモテで人にあまりフレンドリーにされないタイプなので、そういうのがシンプルに嬉しかった。「認識されている」「何かを言及してもらえる」というのはモチベーションの上がる大きな要因ですね…。
そうやってひとことふたことお話するようになったあるレッスン終わりに腹筋すごいって言われたんですよ。その時まだ腹直筋がしっかり出てたから(今はどっか行った…)。でもその言い方が「田んぼの『田』みたい(笑)」だったので、どーゆーこと?と思って腹を見たら、

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納得しました。その時に「フッ、おもしれー男(言語センスが)…」ってなりました(私にとって「言葉のセレクトが面白い」というのはかなりの惹かれポイントです)。

・思いがけず上がり続けるクオリティ
・個性を活かしたダンサブルさ
・顧客把握力と分け隔てない接客
・好みの言語センス

こうしてデビューから5ヶ月経った2018年には「恵比寿ではK推し!」と言うまでには至りました。

■テツヤコムロで咲いた花

そして2018年3月、「TKコラボ」企画の担当パフォーマーにKさんが入りました。TK、それは言わずと知れたテツヤコムロ。全篇TKサウンドにあわせてボクササイズをするなんて今のアラフォー以上ならもれなく「なっっつかしーーー!」と狂喜する企画。しかしパフォーマーの皆さんの年齢は主に20代。世代的にTKサウンド通ってない人がほとんど。担当パフォーマーは複数いましたが、誰とは言わんけど「まあ、懐メロですね…」と言い放った人もいて「ああ、この企画あんまり担当したくなかったんだな(笑)」と気づいたり。
そんな中、KさんのTK3プログラムが素晴らしかったのです。ダンサブルさにはさらに磨きがかかり、歌詞の一部を歌い上げながら流れるようにキューにつなげるさまもめちゃめちゃ格好よく、「ああ、この人にはやらされてる感も借り物感もない。TKを完全に自分のものにしてる…」と感動しました。

本当はこの直前に彼は自身のvol.2をリリースする予定でした。vol.1のセットリストは運営から与えられたものなので自分の好みとは全く違う。でも2はすべて自分セレクト。なので意欲を燃やしていたはずですが、そこにTKが入り込んでしまった。その時にKさんが言っていたことを今でもよく覚えています。「vol.2のリリースは延びたけどTKをやってよかったと思ってます。色んな学びがあってそれをvol.2に活かすことができたから」
前向きな仕事の仕方だ…!と思いました。実際、このTKでKさんの評判は確実に上がったと記憶してるので、思っただけでなくちゃんと結果を出してる。まだ若いのに、そしてデビューしてまだ1年経ってないのに、すげーなと思いました。

■恵比寿で惚れ込んだ3つのポイント

その頃にはもう「わざわざ受けにゆく価値がある人」となっていたのですが、彼のレッスンでいつも気づく「素晴らしいこと」がありました。

ひとつには「前説が長い」ということ。決して「長くて飽きる」という意味ではありません。前説の時間は10分と決まっているのですが、Kさんのレッスンだけは「他のパフォーマーよりかなりじっくり丁寧に話してるけど時間大丈夫なのかな…?」と毎回心配になるのです。その理由は「説明が決して駆け足にならない」から。
【4】でも書きましたが、毎日毎日同じ説明を繰り返していれば「流れるように」がそのうち「早口」になり、人によっては読経のごとくサーッと暗唱するようになる。初めて聞いた人にとってそれは決して頭に入ってくるものではないのです。でも10分の間にはやること言うことはたくさんあり(こと恵比寿ではボックスマスターの調整にも時間がかかる)、駆け足にならざるを得ない場合もたくさん見ました。
でもKさんは決してそういう話し方をしない人でした。あえてゆっくり、目の前の人に聞かせるように、そして理解できる早さで、何かをはしょることなく話していました。焦りを悟らせないこと。さらに時間内でそれができること。すごいなと毎回思っていました。

それに関連して気づいたふたつめ。私が「この人本当に素晴らしい!」と惚れ込んだポイントが「クロス」の言い方です。
トライアルさんに動作説明をする時、いちばん最初に教えるパンチがジャブとクロスなのですが、その言い方が「クロスです」ではなく「ク   ロ  ス、って言います」なのですよKさんは。分かりますかこの違い…。
舞台役者でもない限り、普通の人が言葉をサッと発音すると、初めて耳にする人には頭の一音(ク)が消えたり、一音めとニ音め(クとロ)がつながって一音に聞こえたりしがちです。前説時にはわりと大音量で音楽がかかっているのでなおさら聞こえづらい。それをKさんはすべて分かっていて、ちゃんと一音ずつ区切ってはっきりゆっくり発音してあげるんですよ。「初めての人がちゃんと理解できる言い方で伝えてあげる」工夫。また「言葉」と「伝える能力」の高さですね。この「ク   ロ  ス」の言い方で私はさらにKさんに惚れました。

みっつめはレッスン終了後の言葉です。暗闇ボクササイズでは「ザッツ・オール!45分間お疲れさまでした!」という言葉と共にレッスンが終わり、そのあとストレッチに入ります。その時Kさんがよく言うことが「皆さんが頑張って(または「楽しんで」)くれたので僕も楽しかったです!」でした。
パフォーマーさんはほとんどの方が終了後に会員の頑張りを褒めてくれるのですが、「自分も楽しかった」と付け加えてくれる人は私はKさんが初めてというか唯一でした(他にもいたらすみません)。
私たちは毎回レッスンを楽しませてもらっていますが、ふと気になるんですよね、パフォーマーさんはどうなんだろうって。もちろんお仕事ですし日に複数回、毎日毎日やってるわけだから「あーっ楽しかったあああ!」っていつもなるわけがない。
でもKさんのように「僕も楽しかったです」と言ってくれると心底はどうあれ、すごく嬉しいしホッとするのです。「一緒にいい時間を共有できたんだ、よかった…(まあ作り上げてくれたのはご本人なのですが)」と。


「レッスンがいい」というのは大前提なのですが、「言い方」「伝え方」「ことば」。私がKさんというパフォーマーを好きになった理由は全部そういうところからでした。
特に運動の神様に愛されてるひとで言葉に強いタイプのひとはわりと珍しい(言葉で語るのが得意ではないから身体で語る、というひとが多い気がする)ので、そのギャップにどんどんやられてゆきましたね。

そしてやっぱり語り切れない…(笑)次回は「Kさんのすごいところ」を語ります。

(ちなみにタイトル画はKさんがレッスンでよくやる「エアで銃を打つポーズ」です)




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あゆみ
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