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コロナ禍に造血幹細胞提供(骨髄提供)をしてきました・②

※この記事は、最後まで無料で読めます。

ということで、前回からの続きです。予告した通り、今回は初めて届いた適合通知とコーディネートの終了について話をしていきたいと思います。



初めて届いた適合通知

SMSによる通知当日

ドナー登録から 1年ほど経った頃、「ドナー候補に選ばれた」という最初の通知がショートメッセージサービス(SMS)でスマホに届きました。

【日本骨髄バンクからのお知らせ】あなたとある患者さんのHLA型が一致し、ドナー候補者に選ばれました。書類一式を郵送しましたので、受理後7日以内にご返送ください。

私のスマホに残っているSMSより

通知自体は午前11時頃に来ていましたが、私がSMSに気付いて内容を確認したのは夕方になってから。ドナー登録をしている以上はそのうち来るものだと想像はしていたものの、SMSを見た時は「ついに来たか」という動揺もありました。

その日は改めてドナー経験者のブログを開いて、これから自分にも始まっていくことを確認しながら気持ちを落ち着かせつつ、ドナーとして協力する意思を固めていきました。

私のところに封書での適合通知が到着する前にSMSが来たのはこれが最初で最後で、以降は封書での適合通知が第一報という形でした。SMSの省略は事務作業量の軽減になるのだとは思いますが、個人的には漏れなく事前にSMSを送った方が話は円滑に進むと思うため、途中から第一報でSMSを使わなくなった点には疑問を感じています。


SMSから 3日目(適合通知の封書)

SMSによる通知から 3日目、骨髄バンクからA4サイズの分厚い封書が自宅に届きました。

自宅の郵便受けに入っていた骨髄バンクからの封書を最初に見つけたのは家族で、当初の反応は「えー、大変じゃん」とあまり好意的なものではありませんでした。一方、私自身は通知が来たらドナーとして協力することを決めていたので、家族を説得する準備をきちんとしようと考えていました。

自室で封書を開けると適合通知、返信用紙Ⅰ(提供意思確認書)、返信用紙Ⅱ~Ⅴ(問診票)、面談施設一覧、被ばくに関する確認書類、ドナーのためのハンドブック、返信用のレターパックが入っていました。

①適合通知
受け取った適合通知には「骨髄または末梢血幹細胞提供についてのご案内です」とありました。この文面は、患者さんが造血幹細胞移植を希望されているものの、骨髄での提供となるか末梢血幹細胞での提供となるかは未定ということを表しています。

仮に患者さんの側で骨髄提供をして欲しいということが決まっていた場合は、「骨髄提供についてのご案内です」という文面の適合通知が届きます。

②提供意思確認書
自分自身の提供意思を示す返信用紙ですが、「2.家族の同意について ※ご提供には必ず家族の同意が必要ですのであらかじめよくご相談ください。」という項目もあります。

③問診票
年齢や身長・体重、血圧、既往歴、現在治療中の病気やケガ、現在使用している薬、健康診断や献血で指摘された異常、アレルギーの有無、海外渡航歴などの項目がありました(※)。問診票で聞かれることは、献血をする時の事前問診と大きくは変わらない印象です。
※コロナ禍に入ると新型コロナウイルスについて、陽性になった経験の有無、何回目のワクチン接種を何月何日に受けたかの項目が増えます

④面談施設一覧
返信用紙Ⅰ~Ⅴを送ると、後日、担当コーディネーターと直に会う確認検査面談および調整医師による問診・診察・採血がありますが、その面談場所として使える近郊の病院施設(主に血液内科のある病院)の一覧です。基本的には家族が同席する最終同意面談でも同じ施設を使うため、通院手段・通院時間などを考えて通い易いところから複数の希望を出します。

⑤被ばくに関する確認書類
東日本大震災により東京電力福島第一原子力発電所で発生した事故に伴う作業に従事していた人を対象とするもので、作業をした場所、被ばく線量、測定期間を聞かれます(※)。
※この頃までは問診票とは別紙になっていましたが、現在は上記③の問診票に一項目として入っています

⑥ドナーのためのハンドブック
骨髄バンクが発行している75ページほどの冊子で、コーディネートの流れやドナーになるに当たって予め理解しておく必要のあることが記載されています。ドナー候補がコーディネートを先の段階に進めるかどうかを決めるための資料であり、後日に行う確認検査面談、最終同意面談の際にもこのハンドブックを使って担当コーディネーターから説明を受けることになります。

私は、以前に骨髄提供について調べたとはいえ、それから既に 1年ぐらい時が経っており、末梢血幹細胞提供の方は全く調べていませんでした。また家族と話をする前に家族への説得材料をきちんと揃えておく必要もあると考えていたため、この日は『ドナーのためのハンドブック』をしっかり読み込む日にしました。


SMSから 5日目(家族の説得①)

私は同居する家族が 2人居ますが、昨日までの準備を踏まえて順番に話をしていくことにしました。時間で急かさないよう、後ろに時間の余裕があるタイミングで話をしたいと考えたため、日は一日空いてしまいました。

最初に骨髄提供について話をした家族は、「子どもじゃないんだし」「人助けに成るなら、いいことじゃん」と拍子抜けするほど簡単に同意してくれました。祖母が家と病院を行ったり来たりしているのを見て献血を始めたところから話を準備し、最終同意の時には家族にも同席してもらうことになるなど話をしましたが、すぐに賛成してくれたのはうれしかったです。


SMSから 6日目(家族の説得②)

もう一人の家族と話をしたのはこの日。「後遺症が残ることが心配」と言われましたが、しばらく話をして「あなたの体のことだから、最後はあなたが決めれば良い」というところまで譲歩してもらえました。

家族と話は付けたため、この日の晩に返信用紙を書いていきました。

困ったのが面談施設選びで、地元にあるのは 1箇所だけ。その他となると、バス・電車を乗り継いで県庁所在地まで出た方がむしろ短い通院時間で済む状態でした。第 1希望は地元の病院とし、県庁所在地の病院からも幾つか候補を挙げて提出することにしました。

返信用紙を書き上げると、入れ忘れが有ると余計な時間をかけることになるため、抜けがないかを何度も確認して返信用のレターパックへ。翌日、ポストに投函しました。


SMSから13日目

骨髄バンクから、担当コーディネーターと調整医師、面談施設を知らせる封書が届きました。

複数希望を出していた面談施設は、結局、地元の病院になっていたため安心しました。県庁所在地の病院でも通院は可能とはいえ、通院時間は倍以上になるため、近くでやってもらえるならその方がずっと助かります。


SMSから14日目

担当コーディネーターから電話が入り、問診票をもとに花粉症などについて幾つか質問を受けました。面談施設は通知にあった通りで、確認検査面談の日程について挙がっている候補から希望を聞かれました。挙がっている候補はどれも都合を合わせられる日時だったため、お医者さんの都合を優先してもらって構わないと答えて電話を終えました。


SMSから15日目

再び担当コーディネーターから電話が入り、確定した面談の日時を知らされました(SMSから数えると32日目)。封書でも同じ内容の話を送ってくれるという話でした。

当日は、本人確認書類(マイナカードや健康保険証など)とドナーのためのハンドブック、交通費精算のために印鑑を持ってきて欲しいと言われました。次いで、当日の移動手段を聞かれたため、公共交通機関を利用することを伝えました。

担当コーディネーターとのやり取りで面談日時も決まったことで、自分がドナーとして協力することの実感も強くなってきました。


SMSから17日目(終了の通知)

担当コーディネーターから電話が入ったため電話を取ると、患者さん理由によるコーディネートの終了を告げられました。

患者さんのプライバシーに関わるため詳しい理由を話すことは出来ないものの、患者さんの方から取り止めにするという話が来たため、これでコーディネートを終了するという話でした。

骨髄バンクから適合通知を受け取った後、私も家族の説得などそれなりに対応をしていた訳で、このあっさりしたコーディネート終了に思うところはありました。しかし、患者さん理由でコーディネートが終了することがあるという知識は持っていたため、この時は、「まあ、こうなることもあるのか」という感じで受け止めていました。



2件目の適合通知

適合通知を受け取った当日

 2件目の適合通知は、SMSによる事前通知なしに、いきなりA4サイズの分厚い封書が届きました。今回は提供方法も決まっている状態であるらしく、適合通知の文面は「骨髄提供についてのご案内です」となっていました。

患者さん理由によるコーディネート終了となった前回からあまり月日は経っておらず、ドナー登録から最初の適合通知まで10年待ったという方などと比べると、ずいぶんと速いペースで次が来たという印象でした。

前回とは大きく変わっていないため、返信用紙に必要なことを記入して翌々日には投函を済ませることが出来ました。


適合通知から 6日目

骨髄バンクから問診票について追加で聞き取りをする電話があったため、対応をしました。この後、問診票を医師に回して確認検査に行くことが決まれば、担当コーディネーターの連絡先を書いた手紙を送るとのこと。


適合通知から 8日目

問診に特に問題はなかったらしく、担当コーディネーターと調整医師、面談施設を知らせる封書が届きました。日付こそ違いますがその他は前回と同じ、地元の病院で面談できることになりました。


適合通知から 9日目

担当コーディネーターから電話が入り、確認検査面談の日程について挙がっている候補から希望を聞かれました。速い日程の方がより良いものの、いずれも都合を合わせることはできるため、お医者さんの都合を優先するように伝えて電話を終えました。


適合通知から11日目

担当コーディネーターから、医師と調整した面談日時(適合通知から数えると29日目)を電話で伝えられました。前回はこの後、確認検査面談を迎える前にコーディネート終了となったため、また取り止めとならないか心配しながら面談日を待ちました。


適合通知から28日目

担当コーディネーターから前日連絡として電話が来ました。私の都合はつけてあるため、予定通り『ドナーのためのハンドブック』を目印に現地で落ち合うことを約束し、当日の待ち合わせ場所を確認して電話を終えました。


適合通知から29日目(確認検査)

予定通り公共交通機関を利用して面談施設となる病院まで行きました。

面談施設を選んでいた際に調べて知ってはいたものの、自分の用事で訪れた大きな初めての病院には興味深い物事がたくさんありました。自分が病気やケガで掛かるのとも違い、また誰かの見舞いに来た訳でもないため、過去に大病院を訪れた時の自分とは心情がだいぶ異なるらしく、大病院は興味本位の好奇心が高まる場所でした。


・確認検査面談

交通ダイヤの関係上、約束した時間の20分前に着いてしまったため病院受付の椅子でしばらく待つことになりましたが、無事に担当コーディネーターと合流することができました。顔を合わせるのは初めてだったため相互に名前を確認し合うと、応接室のような場所に移動しました。

そこで改めて名刺を受け取るなどした後、その日の交通費を精算しました。

自宅から持参してきた『ドナーのためのハンドブック』を取り出したところで、ドナー登録した動機を聞かれたため、前回の note で書いた動機をひと通り話しました。

・池江選手の白血病公表でドナー登録が増えたと聞いたときは「自分はそこまでやらなくても良い」と思っていた
・半年ぐらいして、ドナー登録は増えたものの辞退者が多く骨髄バンクの業務に支障が出ているという報道を見た
・辞退者続出の報道を見て「そもそも骨髄提供とはどういうものか?」と興味を持ち、自分で調べた
・ドナー側の辞退だけでなく検査結果で跳ねられることもあり、適合しても移植まで行けるケースが実は少ないことを知った
・提供を受けた患者さんの話、骨髄を提供したドナーの体験談を読み、さらに骨髄採取の手術マニュアルを読んだ
・そうしたことを踏まえて、ドナー登録をして自分は協力したいと考えた

担当コーディネーターの方がメモを取りながら聞いていたため、途中から入社試験か何かを受けている気分になりながら話をしたのを覚えています。この頃は note 用に下書きもしておらず、ドナー登録の動機をまとまって話す初めての機会だったため、だいぶ長く話した気はしますが、ちゃんと話した分、中途半端な覚悟で来ている訳ではないことは伝えられたと思います。

ひとしきり動機を話した後は、担当コーディネーターと一つひとつ『ドナーのためのハンドブック』の内容を確認する作業が始まりました。

興味の有る方にはWebで公開されている『ドナーのためのハンドブック』を開いて欲しいところですが、同冊子を30分ぐらいかけて、担当コーディネーターと 1ページずつ一緒に読んでいきます。

・ドナーに決まった後のスケジュール
確認検査から造血幹細胞提供まで約 2~ 4カ月間のスケジュール確認。

・骨髄バンクとは

・造血幹細胞移植とは

移植前に患者さんは無菌室へ移され、移植を受ける前に強い抗がん剤や放射線照射で患者さん自身の造血幹細胞をすべて破壊してしまい、そこへドナーから提供してもらった造血幹細胞を点滴で移植します。
移植にあたっては限られた無菌室や医療スタッフの調整が必要となり、一度決まると簡単にスケジュールを動かすことは出来ません。
また、すべての患者さんの病気を治せる訳ではないという説明も受けます。

・ドナーになれる条件、HLA型について
提供後、ドナーが無事に日常へ復帰するのも重要なことであり、健康であることはドナーになる上で必須条件です。
A型やB型といった赤血球の血液型と同様に白血球にも 6座の型(HLA)があり、高い成功率を期待できる適合度の高いドナーを探しています。

・この後で受ける確認検査について
確認検査面談の後で話を先に進めるということであれば、確認検査の同意書に署名後、ドナーの健康チェックのために一般血液検査を行います。
確認検査の結果をもとに、患者さんの主治医がドナーの選定を実施。ドナーに選定されると選定の通知が、第 2候補などでしばらく待機してもらいたい場合は選定保留の通知が届きます。

・最終同意面談について
ドナーとして選定されると、ドナーと家族代表が同席する最終同意面談を行い、コーディネーターと調整医師から骨髄提供に関して説明を受けます。十分に理解した上で骨髄提供に協力するということであれば、提供意思の最終確認として「骨髄提供に関する同意書」に署名・捺印をします。
署名・捺印前であればドナーはいつでも辞退することはできますが、署名・捺印後に最終同意を撤回することはできなくなります。

・採取が決定した後、体調管理などの注意点

・コーディネートの終了と保留
最終同意前までは、ドナーはドナー都合による辞退をいつでも申し出ることができ、辞退の理由が患者さんに伝わることはありません。
一方、患者さんは、病状変化や治療方法変更など患者都合によるコーディネート終了をいつでもすることがあります。過去には、ドナーが採取のために入院した手術前日に採取が取り止めとなった事例もあるそうです。

・骨髄採取について(スケジュール、自己血採血の実施、術後の症状)
担当コーディネーターが用意してきた手術台などの写真付き資料を拡げて、手術は全身麻酔で、ドナーの自発呼吸を止めて呼吸管理を人工呼吸器で行うことや、皮膚に開けた 1つの穴から腸骨に何箇所も穴を開けて骨髄を吸引していく方法など、どういう手術になるのか詳しい説明を受けます。
また、術後には吐き気や発熱、気管チューブを抜いた後の喉の痛みが出ることもあること、骨髄を採取した腰に筋肉痛に似た鈍い痛みが出ることがあるといった説明があります。

・麻酔の安全性と合併症
・ドナーの費用負担と骨髄バンクが加入している団体傷害保険

骨髄採取のための医療費は患者さんの保険で賄われるため、ドナーに費用はかかりません。また、入院時の支度金として5,000円が支給されます。
ハンドブックの終わりには、過去にあった健康被害の事例集や報告件数のグラフ、傷害保険の適用件数などが記載されています。特に事例集では、それぞれのドナーに何が起こって、事後の経過はどうなっていて、今はどういった予防対策が取られているのかを 1件 1件読んでいきました。

・ドナーと患者のプライバシー保護
プライバシー保護に関して、患者さんとドナーが互いを特定できる情報の公表を禁止しています。過去には、患者さんから届いた手紙に喜んだドナーが手紙の写真をSNSにアップロードして問題となった事例があるそうです。

プライバシー保護に関しては自分でハンドブックを読んだ際に理解していた話で、担当コーディネーターから SNSをやっているかどうか聞かれた時も、Twitter を使っているけれどもそこに逐一投稿するつもりは無いことは話しました。

その上で、note で体験談を書く予定であることを、この機会に担当コーディネーターにも話をしました。これは、自分が骨髄採取について調べた時はドナー側の情報が少なくて困ったからで、「通知から何日目」など明かせない情報は明かさないままで書く工夫も考えてあることを併せて話し、今後ドナーになる人たちのために自分の体験談は書いておきたいと伝えています。

ひと通り説明を受けた後で、改めて骨髄提供の意思を聞かれたため、「やります」と返答をしました。この時、採取が決まった場合の話としておよそ 2~3カ月後に手術が入る予定であり、その辺りの予定を空けられるようにしておいて欲しいという話がありました。


・問診、診察、採血

面談後は、身長・体重・血圧を測ってから、診察室に移動して調整医師による問診となりました。調整医師からは、事前に提出していた紙の問診票を元に、血液に関する病気の有無や自分や近親者について遺伝する病気の有無、飲酒や喫煙の習慣の有無などを確認されました。

私の場合は、事前に自分で調べた上に、担当コーディネーターとハンドブックを読みながら情報を確認・整理した直後で、患者さんに必要とされて検査で問題がないなら協力するという意思も既に固めていました。そのため、改めてお医者さんに聞かないと不安なことなども特に無く、調整医師からの問診に答えて、触診など簡単な診察を受けただけで終わりました。

しかし、確認検査時の問診は医学的なことを調整医師に質問できる機会となっている訳で、手術や造血幹細胞提供後のことで不安がある場合は、聞きたいことは沢山聞いた方が良いと思います。

診察が終わると、採血室へ移動して一般血液検査用の採血となりました。この時は採血管を付け替えながら 6本分採血した気がします。「自治体の健康診断とかと比べると、ずいぶんと沢山採るなぁ」と思いながら、取り外した採血管をゆっくり振っている看護師さんを見ながら採血が終わるのを待っていました。

採血が終わると担当コーディネーターとも現地解散して、その日は帰宅の途につきました。


適合通知から38日目(血液検査通知)

確認検査で行った血液検査の結果が封書で届きました。結果は、「骨髄バンクの基準では問題ありませんでした。」となっており先ずは一安心。ここからは患者さん側のドナー選定を待つことになります。


適合通知から48日目(終了の通知)

この日、担当コーディネーターから電話が入り、患者さんの都合によりコーディネートを終了するという通知を受けました。前回のコーディネート終了の時と同様に、詳細を知らせることはできないという話でした。

血液検査で私の側に問題はないことが分かっているとはいえ、いや血液検査のために嫌いな採血までしたからこそ、患者さん側の理由がまったく知らされないこのコーディネート終了の通知を受けた時は、疎外感で感情がいっぱいになりました。

知識として「そういうものだ」ということは分かってはいます。ドナー都合によるコーディネート終了時には患者さんも詳細な理由は知らされないためお互い様ではあるものの、この簡単な終了通知は自分が雑に扱われた印象を受けて、割りと心が乱れました。患者さんは同時に最大で10人のドナー候補とやり取りをしている場合もあり、その候補全員から辞退された時に受けるダメージに比べればドナー側が受けるダメージはずっと小さいものだとは思うものの、それでもかなり精神的に堪える終了通知でした。

2019年7月にドナー登録をして以来、初めて「こういう扱いなら辞めてしまおうか」と思う程度に気分が落ち込みました。

私よりも適合度の高い他の候補者がドナーに選ばれたのか、
さい帯血移植を選ぶことが可能で骨髄採取よりもそちらを選んだのか、
化学療法の経過が良好で移植そのものを見合わせることになったのか、
逆に病状悪化で移植どころではなく体力の維持回復が第一となったのか、
悪化したのだったら私のドナー登録が 5年早ければ協力できたのか、
 5年早かったら他の患者さんからの移植希望が来ていたのではないか・・・
この日は自分で自分の心を立て直すために、患者さんの側で何が起こったのかを色々と考えていました。



患者さん理由によるコーディネート終了の内訳

note を書くにあたって造血幹細胞移植について再度調べている時に、骨髄バンクのWebページで「過去10年間における骨髄バンクコーディネートの実態把握調査」という資料を見つけたため、それをここで取り上げておきます。

日本骨髄バンクは2016年に25周年を迎えているため、同調査はそれに向けてまとめられたものだと思われます。その25ページ・26ページに、患者さん理由によるコーディネート終了の内訳が掲載されていました。

患者さん理由によるコーディネート終了の内訳
過去10年間における骨髄バンクコーディネートの実態把握調査(2016年)

この資料と私がコーディネート終了の通知を受けるまでの日数(17日目と48日目)を考えると、患者さんもどうしようもない理由で終了に至った可能性が高いことが見えてきます。こうしたギリギリのところで闘っている患者さんに協力の手を差し伸べているという自覚が、あの時の私にはまだまだ足りなかったように思います。



次回は、 3回目の適合通知から最終同意まで

以上、初めて届いた適合通知とコーディネートの終了についてでした。

私が骨髄提供をするまでの頃は、適合通知に同封されている紙の返信用紙をレターパックで送るようになっていたため、適合通知から確認検査まででも 1カ月間の時間が掛かっていました。

前項で示したように、患者さんの病状は移植の希望を出してドナーの選定を待っている間にもどんどん変わってしまいます。現在はWeb問診票を利用できるため、こちらを使うことで確認検査までに要する日数を少しでも短くするのが望ましいと思います。(了)



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