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【エッセイ】捨て猫の親になった弟の話[動物の命を考える]


私には9歳年の離れた弟がいる。
彼は私の知る限り三次元に彼女と言われる存在を把握したことがない。
いわゆる”アニオタ”の彼は二次元の世界に理想の女の子像を求め続けて早〇〇年。
まぁそれはさておき(笑)

そんな彼がおよそ3ヶ月前、自宅の横で1匹の子猫を保護したという話を、久しぶりに話した母からの電話で知った。

実家では昔、三毛猫のメスを飼っていた。
当時中学生だった私が学校に捨てられていた猫を
連れて来たのがきっかけだった。
子猫の時は病気することも多く体も普通の猫より
かなり小さく、手のかかる子だったけど特に私と
母は溺愛していた(笑)

その子はずいぶん長生きした方だと思う。
というか人間の年齢で言うと100歳以上生きていたことになる。
長年家族として過ごし、だんだん身体も弱り目もほとんど見えなくなっていったようで、いつ逝ってもおかしくない状態になっていったが 母は看取る覚悟をしていた。

そんなある日、その子は玄関の戸のほんの少しの隙間から出て行ったらしく、忽然と姿を消した。そして二度と母の元へ戻ることは無かった。
それがその子とのお別れになってしまったのだ。

母は酷く落ち込んだけれど「きっとみんなを悲しませたくなかったんだね」
時間はかかったけど そう思うようにしたし 思えるようにもなっていった。

そんなことがあって母は「もう二度と動物は飼わない」と心に誓っていたのだ。


母猫に捨てられた子猫

母に子猫の話を聞くと詳細はこうだ。

まず保護する数日前から子猫と思われる鳴き声が随分と聞こえていたらしい。
しかし姿を見つけられずに数日が経ったある日、とうとう実家の塀の陰に母猫と思われる猫と、その前に横たわり弱々しく鳴いている子猫を母と弟が見つけたのだ。
母猫は母と弟の姿を見ると子猫を置いて居なくなった。

「もしかしたら子猫を連れに戻ってくるかもしれない」

そう思って半日そのまま子猫を心配しながら様子を見ていたけれど、母猫はとうとう姿を現さなかったらしい。
弱々しく泣き続ける子猫を放っておけるはずもなく母も弟も悩んだけれど 母は前の猫の件もあって決心できないでいた。

しかし 弟は覚悟を決め 意を決して猫を保護し
家に連れてきたのだ。

覚悟


僕の猫だから僕が最後まで責任をもって面倒を見る!

そう弟は母に宣言したらしい。

それを聞いて少し驚いた。
弟はずーっと実家暮らし。
弟がまだ小学生だった時に父は癌であっけなくこの世を去った。

それから一度も実家から独立して暮らすことなく、現在に至る。
母は気が付いていないようだけど、やっぱり末っ子という事もあるのだろうし、ずっと一緒に暮らしてくれてるという気持ちもあるのだろう。
とにかく母は弟に甘く また弟も母になんでも頼りっきり、そんな弟を見ていて私は心配だった。
偏見があるわけではないけれど、今まで彼女の一人も出来ないでずっとアニメの世界に浸って生きていた弟だ。

現実の世界で"本当の命のあるもの"に彼はちゃんと向き合えるのだろうか。
話を聞いて一瞬そんな気持ちも過ぎった。

でも、彼は彼なりに悩んで、"最後まで面倒を見る!"と覚悟を決めたのだろう。

母によると、弟は今 その子を「僕の娘」と呼んでるそうだ。
もう早、その"娘"にメロメロだそうで、親バカがさく裂していると聞き 可笑しいやら 微笑ましいやらで姉の私は苦笑いだ。


動物の育児放棄?

時々聞く、動物による”育児放棄”

特に動物園で飼育されている動物ではよく聞話。
その為、飼育員は人工保育で育てるなんてことも
よく見聞きする話だ。
では、なぜそういったことが起こるのか。

一説によると、子育てに必要な”経験”が未熟で
ある場合があるそう。
その他では、子孫を確実に残す為弱った、もしくは弱い子を捨て、強い子を残すということもあるようなのだ。

人間だってある意味、動物と同じ面もあって、親として未熟であるがゆえに 育児に悩んだり行詰ったりって事 ありますからね。

野良猫の世界ではある意味 仕方のない事なのかもしれません。

そういえば、私が昔連れて来た猫。
一番弱そうで、誰にも連れてってもらえず残ってた最後の1匹だったんです。
身体が弱くてちっちゃくて手のかかる子だったな。なんかそういう子に縁があるのかもしれませんね。

3ヶ月が経って

弟が”娘”と呼んでいるその猫。

保護した時は目も開かず、背骨が浮き出るほどガリガリに痩せていて毛並みも悪くとても弱っていたそう。
すぐ病院へ連れて行くと、とにかくノミが全身に広がっていたらしくそれによる搔きむしりもひどく皮膚はボロボロだったそうです。
それから毎週のように通院してやっと最近見た目も普通になったと話していました。

その猫ちゃん、とにかく気性が荒くとてもやんちゃで、昼間面倒を見ている母はとても手を焼いているそう。
一方、弟はというと、すっかり甘々な”お父さん”と化しているらしく、毎日あれやこれやとおもちゃや、おやつを買ってくるらしい。

正直それを聞いて驚きました。
弟にもそういう一面があったのかと(笑)

多分もう結婚とかもないでしょうし、いずれ母が亡くなったらひとり残された弟は大丈夫なんだろうかとずっと思っていました。

でも、その猫をきっかけに二次元から抜け出し、目の前にいる リアルな命を目の前にして ”愛おしい”という気持ちを彼が初めて知ったのではないかと思うと 母の話を聞いているうちになんだか嬉しくなりました。

ペットショップで動物は買わない

母は昔から動物の命がお金で”売り買いされている”というのが許せないとよく言っていました。

今回保護猫だったから迎え入れるという決断をしたんだと弟も言っていたようです。
ま、弟がペットショップで買うと言ったところで母が買うことを許さなかったでしょうけど(笑)

でも母の言う通り、何の気なしに見ていたペットショップ。よく考えたら人間が繁殖させ売っているんですもんね。
前に ”売れ残った動物はどうなるのだろう”と考えた事がありました。
繁華街でペットショップを経営していたお客さんに昔聞いたことがありましたが その時は何となくはぐらかされた記憶があります。

さらに何度か「安く買わないか?」しまいに「タダであげるよ」と言われたことも。

今思うと、、、、💧ですよね。

当時はよくわからなかったことも今ならネットで検索すれば、売れ残った動物がどうなってしまうのかはすぐにわかります。

noteでもこんな記事を見つけました。コチラ👇

一概にペットショップが悪いとは言いません。
しかし、売れ残ったペットがどうなってしまうのか。また一時的な感情で飼った動物の行く末にもちゃんと目を向けるべき。

コチラの記事もとても貴重な記事です。

※本当に辛い現実を知る為に貴重な記事です。
残酷な現実が記されているため心が締め付けられますが是非知って欲しい現実に起きていることです。

コチラ👇


今回 私の弟が自ら保護した猫を飼うにあたり、色々思ったことを書きました。

今一度、動物の”命”について考えるいいきっかけになったし、読んでくださった方が改めて考えるきっかけのひとつになればと思います。

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