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三重県のコミュナス見学「つながりカフェ」「筆談カフェ」訪問

私は、2024年から、コミュニティーナース活動に興味を持ち見学させて頂いている。コミュニティーナース活動の聖地である島根県・大阪府・東京都・奈良県の施設を訪問している。

今回は、2024年11月に、奈良県のコミナス活動の見学をご一緒させていただSUNシャインズの皆様の活動を見学させて頂く事と、同じく三重県で活動されている別のコミュニティーナースの方の活動を見学させて頂くために、三重県にお邪魔した。

賑やかなSUNシャインズがいらっしゃるMONZEN「つながりカフェ」と、静寂を楽しむ「筆談カフェ」という、音量の差が激しくて風邪をひきそうな両施設を1度に訪問したのも良い経験で、コミュニティーナーシングは、人それぞれの色々な形があっていい。そんな事も感じられる学びの多い1日だった。取りまとめてくださった狩野良太さん。奈良コミナスの皆様、三重コミナスの皆様、ありがとうございました!

<1日の流れ>


2月14日(金)
10:00 善西寺MONZENでの「つながりカフェ」見学 SUNシャインズの取り組みのお話し
12:00 はまぐりプラザでランチ
14:30 いなべ市へ移動
15:15 桐林館 筆談カフェにてお茶 ぱっちさんより案内
16:45 終了

<今回の学び>

SUNシャインズ編
①3人チーム
②お寺・廃校は、元々の社会的信頼性の貯金がある
③屋台は何も売らなくても良い

筆談カフェ編
①喋らない空間の心地よさ
②音声を出して喋る事の価値を改めて認識
③けん玉コミュニケーション


<SUNシャインズ編>

いきなり始まるSUNシャインズ劇場

①3人チーム


最初におじゃましたのは、桑名市にある善西寺の目の前にあるMONZENの「つながりカフェ」。ここでSUNシャインズの取り組みの話を聞くためにお伺いした。

今回、私は、奈良コミナスの皆様の「2/14奈良コミ遠足in三重桑名・いなべ」という遠足に、お願いして参加させていただいているため、初めましての方が半数以上だった。MONZEN「つながりカフェ」の扉を開いた瞬間「どこに座ろうか」「初めましての人との挨拶はどのタイミングかな?」とか、不安な気持ちが頭をよぎったが、「つながりカフェ」に行くと、既に自分の席が用意されており、机の上には裁縫用の布もおかれていて、いつの間にか、私達はガーゼ帽子という裁縫のお針子としての役割がスタートしていた。知らない人達が沢山いる場にいる不安な気持ちは秒で吹き飛び、「ペンで書いた線が消えるんだけど、なんで??」「糸通しの使い方がわからない!」「どんな縫い目なの?」など、作業を開始する事で初めての人との会話も弾んだりと、スムーズにその場が一体となった。

会場に入っていきなり、裁縫がスタート!

当然、針仕事が苦手だったり、誰かが使う物を作るのは、迷惑がかかりそうなので、針仕事をご遠慮したい声もあちこちで出て来たのだが、SUNシャインズの皆さんに「私も作れているから大丈夫」などと言われて、断る理由の持ち弾も無くなった私たちは、半分騙されているような気持ちなりながらも、作業を始めた。だんだん作業が進んでくると、不思議な事に、もくもくと作業に集中していった。

「完成図や設計図を見せない事で、ハードルを下げる」

座っていきなり縫物を始めたのだが、参加者のほとんどが、「一体、何を縫っているのか?」「さっきから、”ガーゼ帽子”って言ってるけど、”ガーゼ帽子”の完成形ってどんな感じなのか?」「作業プロセスはあとどれぐらいあるのか?」などを知らずに作業をしていた。この、冒頭であまり説明しない方法は、混乱をする参加者もいると思うが、もしかしたら「針仕事初めてさん」や「針仕事苦手さん」でも、苦手意識にとらわれずに始めやすいというメリットがあるのかもしれない。また、「教える側」「教えられる側」という先生・生徒のような上下関係ができづらかったり、全員「何やっているか、よくわかっていない」という場の一体感が、平坦な人間関係を保っていたのもしれない。この、冒頭であまり説明しない方法は、多様な方が参加する事が前提の活動に合っているのではないかと思った。

左下にあるのが、ガーゼ帽子の完成形。抗がん剤の副作用で脱毛したお子さんが使う

「とにかく喋る・喋る・喋る」

MONZEN「つながりカフェ」に1歩踏み入れてから、SUNシャインズの3人は常に話をしている。3人が参加者8人の間に入って、3人共全員違う事話している。質問に答えたり、SUNシャインズの活動について説明をしたり、ガーゼ帽子の作り方を説明したり、バラバラだ。デシベルチェッカーで測っていないけど、デシベル数は相当高いのではないか?と思った。でも、それぐらいの賑やかさの方が、「初めまして」で緊張している人達でも気軽に口を開いて話ができるし、個々が自然と場になじむような、心地良い場づくりの一つになるのではないかと思った。

・・・ここまでSUNシャインズの事を乱暴者の様に書いておいて何なのだが、SUNシャインズの3名の気遣いの細やかさは凄い。その細やかな気遣いを感じさせない(逆に気を使わせない)爆発的な明るさが、更に居心地を良くしていると思った。


②お寺は、元々の社会的信頼性の貯金がある。

【オンライン勉強会】“コミュニティナース”と考える 〜地域やお寺が元気になるヒント〜 | Peatix

事前に参加した上記イベントでSUNシャインズが紹介されていた時に登壇者がおっしゃっていた事で印象的だったのが、お寺で活動するという事は「社会的信頼度の高い所で行うというスタートダッシュの切りやすさがある」「参加する事で徳が積める」といういい所尽くしだという事だ。


MONZENから白い線が、対面の善西寺さんに伸びている
白い線の先にある善西寺さん

特に、善西寺さんは、コミナス活動だけでなく「子供食堂」など多様なイベントを頻繁に開催されており、地域に開いた場であるお寺である事も、MONZEN「つながりカフェ」へ足を運びやすいポイントだと思った。

③屋台は何も売らなくても良い。
下記リンク先記事の写真にもあるのだが、SUNシャインズの3人が、屋台を持っている(組み立て式で、各々の車での運搬も可能)。「この屋台で何を売っているのか?」聞いたところ「何も売っていない」とのこと。でも、屋台があるだけで、「何をやっているの?」と興味を持ちながら、人は寄ってきてくれるらしい。この他にも屋台に設置する事で、集客効果を発揮した空き缶で作られたキラキラの飾りも見せてもらった。屋台はそれぞれ3人のご主人の手作り。お寺という社会的信頼性に加えて、手作りの屋台の前に立っている事が、人に話しかけてもらいやすい環境になっているみたいだ。

キラキラした物があると、人が来てくれる!


<筆談カフェ編>

①喋らない空間の心地よさ

午後は、にぎやかなSUNシャインズのMONZEN「つながりカフェ」を離れ、静寂の場所へ。いなべ市の桐林館筆談カフェに向かった。桐林館は、戦前の木造小学校を移築した国登録有形文化財だ。そして、筆談カフェには、ぱっちさんというコミュニティーナースがいらっしゃった。

桐林館
音声を使わないコミュニケーションを楽しむ空間


「耳がきこえないうささ ウワサのユニバーサルスポットをゆく」に筆談カフェが紹介されている事を教えてくれているぱっちさん。(静寂タイム終了後なので声を出している)

筆談カフェには、耳栓やヘッドホンがあり、より静寂を楽しめる工夫がされている。またノートやメモ用紙、ペンなどの筆記用具もそろっているため、筆談で会話をする事ができる。

一緒に行った皆さまは、活発に筆談で会話をしている人がほとんどだったが、私は本棚に置いてある「注文を間違える料理店」や「おばあちゃん新聞」などの書籍・新聞を読んだり、展示されている絵などを眺めていた。

普段の、話す事が当たり前のカフェであれば、話をしている人の話に耳を傾けたり、話をしている人の言葉に合わせてあいずちを打ったりしていると思うのだが、音声を使わないコミュニケーションを取っている事で、勝手に一人の時間を楽しむ事ができたのは、気をつかいすぎなくてもOKな、心地よい雰囲気だと思った。

周りの同行者の行動を気にせずに、気になる本を読み漁っていた。



②音声を出して喋る事の価値を改めて認識

私は、音声の無い空間を一人で楽しんでいたのだが、読んでいた「おばあちゃん新聞」に、同行者Rさんが寄稿しているのを発見した。音声を使わずに伝えるべく、がばっと新聞から大げさに顔を上げ、Rさんをガン見。Rさんに私への注意喚起をし、新聞を大きな動きで指さしながら「この記事、Rさんが書いたんだね!」という感じのジェスチャーをした。すると、Rさんは、私の言わんとしようとする事を理解してくれて、筆談で返事をしてくれた。私は、更にRさんの筆談に対して質問をしたかったのだが、Rさんは、私から2つ遠くの席にいて、私の手元にある小さなノートだと、Rさんには字が小さすぎて筆談が成立しない。「大きな字が書けるA4の紙が私の手元にないから、カウンターまで取りに行こうか?」「いや、そんな事をするほどの質問でもないし・・・」「ああ、話ができれば、秒で解決したのでは!?」と、一人で悶絶しながら、音声を出して喋る便利さも改めて感じていた。

③けん玉コミュニケーション

静寂の中で過ごしていた中、1人の方が、本棚の上に置いてあったけん玉を席まで持って来て、隣にいる人にけん玉をするように促した。促された方はけん玉をした後、隣の方へバトンの様にけん玉を渡して、そこにいた全員によって、次々とけん玉の技が披露されていった。成功したら、拍手をするなど、静寂ながらも全員参加型のコミュニケーションが取れた経験は、きっと筆談カフェ以外でする事はなかったので良い経験だった。
後から聞いた話によると、ぱっちさんは、コミュニティーナースの研修時に、けん玉を首から下げて、いろんな人にけん玉をしてもらって回っていたらしい。けん玉は、誰もが知っていて、誰もがやった事があるおもちゃなので、言葉を使わないコミュニケーションツールにもなる事も気づかせてもらった。

いきなり始まった、けん玉リレー


<おまけ>

コミナスさん訪問は、ご当地の美味い物を食べられるのも楽しみの一つ。
ハマグリ御前やお土産で買ったパリパリのりは美味しかった✨今後も、どこかのコミナス活動におじゃましてみたいと思ったのでした。

はまぐりプラザのはまぐり御前


はまぐりプラザの1階でgetした味付きのり


筆談カフェの塩あんバタなこっぺ
(私は食べてないですが!あんこも手作りで美味しそうでした!)

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