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私は旅に疲れてしまったんだと思っていた

「旅がしたい」
日本を出る前よりもそう思わなくなっていた自分に焦っていた。

あんなに旅が好きで、大好きな旅と生きていきたいと思って選んだ今の道はもしかしたら失敗だったのだろうか、間違った選択をしてしまったのではないだろうか。
言い知れぬ不安と少しの後悔が、見えない重しとなってずんと肩にのっかっている気がしていた。

あんなに旅が好きだったのに。
旅で出会える非日常が好きだったのに。
タイで流れるような毎日を過ごしていると、現状に満足しているというよりは、変化を恐れている自分がいるように感じていた。

 

そんな時、自分へのごほうびに久しぶりに遠出をした。
バンコクを離れ、エアコンもない、現地の人しか乗っていないようなバスに乗って、少し遠くまででかけた。

英語なんてもちろん通じなくて、タイヤのパンクをみんなで笑って、分からないことも身振り手振りで教えてくれて、ありがとうを伝えて笑顔で分かれる。
そんな1日を過ごしていると、がちがちに凝り固まった何かがほぐれるのを感じた。

 

そうか、わたしは旅に疲れてしまったわけではなかったんだ。
疲れてしまっていたのは、今わたしを取り巻いているこの環境で、決して旅ではなかった。
と同時に安堵感がふわりとわたしを包む。

これからも安心して旅を続けよう。
心むくままに移動して、好きな場所で好きなだけ滞在する。
そうやって大好きな場所をたくさんこの世界に作っていく。

 

好きなものはやっぱり好き。
疲れてしまってなんかいなかった。ましてや、飽きてしまってなんかいなかった。
これからも好きを大切に、私らしくのんびりと歩いていく。

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